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俺とみんなと緊迫した現状

どぞ。


王都帰還後、俺とセラは女王の間に招かれた。

サルナを先頭に進む城の中は慌ただしく駆ける兵士が多く、見ようによっては苛立っている風だ。


「ツキミさんとユキミさんのことは安心してくれて大丈夫です。私達が全霊をもって治療にあたりますから」


城の門前で別れた五人のうち二人の話を始めるサルナ。

こちらに帰ってきた時に彼女から聞いた話だと、『最新の治療を受けられる王都で二人の怪我を癒して欲しい』と刃ノ国の新しい長・ヤヒロから直々に申し出があったそうだ。

その為、しばらくの間二人は治療に専念するため一時的に城で預かる事になった。

外出や面会を許されていないわけではないので会おうと思えばいつでも会える。

だが、当人達の希望により面会は出来ないそうだ。

なんでも『治療の妨げになるかも知れないから』だとか。

きっと、集中してすぐに治したいのだろう。


「それと、フタさんとナリさんと小虎さんには少々雑務を手伝ってもらいます。各国への援軍を送ったり、要所になり得る地域へ派兵したりなど、現在王都と城の人手は非常に薄いのです。

心ばかりですが、もちろん給与も支払いますからその点は安心してください」


女王の間に通じる扉の前で話し合えたサルナは、見慣れない服装…戦闘服と彼女の言った服を正すと、僅かに緊張感をのせた視線を俺たちに向ける。


「これからあなた達二人にルフェン女王様がされるお話は全て現実です。

その事実だけは、ゆめ忘れぬように」


不安な言葉を残し、サルナは扉を叩いた。


「失礼します!刃ノ国より帰還したルフト隊の内二名、ルフトとセラを連れて参りました!」


「入れ」


扉の向こうから聞こえるルフェン女王の声は重く、初めて彼女と対面した時の事を彷彿とさせる。

開かれた扉。その先に見えるのは、目が痛くなるほどの煌びやかな飾りと、赤い布に装飾の施された絨毯。

そして、いくつもの駒の乗せられた大きな机の側に立つルフェン女王とネフェン。


「よく戻ったな、褒めてやろう。貴様達の活躍はヨウを通して聞き及んでいる。

カキフミの件は残念だったが、最悪の事態だけは免れた。今はそれで良しとするしかあるまい」


言い終え、ルフェン女王は短くも深い黙祷を捧げた後、「こっちだ」と俺とセラを大机へ近づくよう促す。

言われるがままに側へ寄ると、一昔前までは貴重品だった世界地図と、どこかの地域の縮尺を大きくして書いた地図の二枚が引かれていた。


「これは言わずと知れた世界地図だから説明はしない。

もう一方のこれは、ラルが戦死した場所とされる例の禁域、名を深山幽谷と言う。

我々が制圧すべき土地だ。

そして」


人差し指で示すのは深山幽谷の地図中央にある、城にも都市にも見える場所。


「制圧するために陥落させねばならないのがここ、獄魔都市・ゴルデアルだ」


トントン、と指先で二度突くルフェン女王。


「ルフト隊には、別働隊としてここに攻め入ってほしい。

受けてくれるか?」


状況が全く見えない中、告げられたのは新しい任務。

…ちょっと待て。


「あ、あのルフェン女王!?その、話しが全く見えないんですけど…」


俺と同様、理解が追いついていないセラがルフェン女王に混乱を投げる。

すると、ネフェンが口を開いた。


「あー、すまぬのぅ。そう言えばルフト達にはなんの情報もいってなかったか。

ほれ、ルフェン。詳しく説明してやらんか」


「そ、そうでしたっけ。ごめんなさい二人とも。てっきり、全部ご存知だと思ってました」


ネフェンに言われると途端にルフェンに戻り、さっきまであった威圧感や有無を言わさない支配感のようなものが綺麗に消えて無くなる。

俺としてはルフェンの状態で話をしてもらえると聞きやすくて良いんだが…。


「それでは…えぇっと…」


ルフェンは辺りを見回して何かを確認し始める。

そんなルフェンに向けてサルナが口を開く。


「ルフェン女王様。室内及び付近には他の兵は居ませんので問題ありませんよ」


「そうでしたか。ありがとう、サルナ。

…では、改めて説明をしますね。少々長くなりますから、隣の部屋に移動しましょう」


サルナとネフェンに目配せをしたルフェンは振り向くと、会議室へと歩き出した。


「では、私はお茶を用意してくるので」


軽い会釈をしたあと、サルナは女王の間の出口へと去っていった。


「どれ、わしらは行くとするか。

ふふ、中々刺激的な話じゃぞ?」


いたずらな笑みを浮かべ、ルフェンの後についていくネフェン。

あの悪魔が笑うと言うことは、多分、刺激的なんてもんじゃないってことだよな…

どんな話しなんだろうか。


「……とにかく、私たちも行きましょうか」


不安に満ちた声に縦に首を振り、ネフェンの後をついて行った。




質素ながらも気品を感じる長テーブルの付近に配置されているソファに腰を下ろすルフェン。その隣にネフェンが、向かい側にあるソファに俺とセラが座った。


「お茶が来るまで待ちますか?それとも、もう話しても良いでしょうか」


「サルナのことじゃからすぐに来るじゃろうし、少し待とう。

その間に、軽く質問でもしたらどうじゃ?刃ノ国で起きたこととか」


脚を組みつつネフェンが答えると、ルフェンは少し考えた後。


「そうですね。ヨウさんから聞いたのは、おおよその被害と敵軍の侵攻方法だけでした。

被害の詳細等は後ほど送っていただける事になりましたし、それ以外で何かありませんでしたか?」


そう尋ねてきた。


「えぇっとですね、敵…かどうかはまだわからないのですが、新しい情報はあります」


「と言うと、半人半魔に出会った、とかですか?」


ルフェンはピタリと言い当てる。


「あ、あぁ!そうなんだ!」


俺が答えるのとほぼ同時ぐらいだろうか。


「失礼します。お茶の用意が出来ました」


部屋の扉を開け、お盆にカップを乗せたサルナが入ってきた。


「…あの、何か?」


あまりの間の悪さにサルナに視線を向けていると、睨むような引いた目で視線を返される。


「大丈夫です、サルナ。

ルフト君、セラさん、あなた達のお話はこれからする私の話の後でも良いですか?

…多分、無関係ではないと思いますので、書き終えた後だと少々解釈が変わってしまうかもしれませんが…」


「いや、大丈夫だよ。そういう約束だったし、聞くのを変に伸ばしたくない」


セラと顔を見合わせて頷き合い、答えると、ルフェンは「ありがとうございます」と言い、本題に移った。













To be next story.

それではまた次回。

さよーならー

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