俺とセラと対話と
すみません、更新がかなり遅れました。
と言うのも、今回はこの作品に於ける非常に重要な回の内の1つなので、時間をかけたからなのですが…(描いてる途中に寝落ちしましたがそれは置いといて)
なので、結構長めの話になってます。
初期の頃に比べれば短いし読みやすいと思いますが…
それではどうぞ、お楽しみ下さい。
踊り場を行き、階段を登り、荘厳な扉へと突き当たる。
「この先に女王様が待っておられる女王の間があります。
粗相の無いよう、ここで一旦呼吸を整えると共に心の準備をして下さい」
入り口からここまで一気に駆け抜けたラルを除く俺たちは、少しばかり息が上がっていた。
「はぁ、はぁ…キッツイなぁ…はぁ…」
中でも小虎は、特に堪えたらし。
絨毯の上に膝をついて呼吸を整えていた。
対してラルは呼吸を乱すどころか、汗一つ垂らしていない。
流石は近衛兵。と言ったところだろう。
数分後。
汗も引いた俺たちは乱れた服装を正して、ラルに視線を向ける。
「準備が出来たのですね。
…それでは、くれぐれも失礼の無いようにお願い致します」
その声は、耳の中で鈍重に響いたような気がした。
扉の先。そこには指の動き一つで、人1人を生かすも殺すも出来る人物がいる。
「(王都で感じた違和感。その正体をきっと、聞き出してみせます)」
隣にいたセラの独り言が聞こえる。
確かにその事も気になる。
けれど、セラには悪いが、今の俺の関心はそれには無い。
ネフェンは『王都に座するルフェンに翡翠を渡せ』と言っていたが、まさか『王都で最も位の高い地位に座する女王・ルフェンに渡せ』と言う意味だとは考えもしなかった。
そこで沸いた疑問。
何故、ネフェンはルフェン女王と知り合いなのか、贈りものをする程の仲なのか。
この二点が気になって仕方がない。
しかもだ。
『翡翠を渡してからの女王の様子が変』だと言うラルの言葉。
これは何を意味するのか。
当初の目的だった『討伐の報酬を貰う』を蚊帳の外に追いやれるだけの謎の数々。
セラに習うわけじゃないが、考え始めたらこのまま何も出来なくなりそうだ。
兎にも角にも、まずはルフェン女王と謁見しなければ。
「では、開けますよ!」
ラルの一言で一気に緊張が走り、重厚な音を上げて扉が開かれる。
「ルフェン女王!
かの者達を連れて参りました!」
正面を歩くラルの声は、反響して部屋を満たす。
煌びやかで力強く、厳かな空間。
目の前にある十数段の階段の終わり、終着点にて頂点に当たる場所。
その玉座に座するは、およそ一国の長とは思えない程に質素で落ち着いた服を着る、黒茶色の髪を両側それぞれで束ねた少女が1人。
見た目から年齢を考えるなら、十七、八歳くらいだろうか。
とても国を治めるに足るだけの力は感じない。
本当に彼女が?
俺だけではなく、みんながそう感じただろう。
けれど。
少女ーーールフェン女王が口を開いた瞬間に、そんな甘い考えは消え失せた。
「随分と遅かったな」
言葉が耳に届く。
途端に本能が喚き散らした。
逃げろ、と。
けれど、それはもう遅過ぎた。
「余を待たせるとは、いつの間に貴様はそれ程偉くなったのだ?」
可愛らしい女性の声に乗って送られてきた、途方も無い圧力。
脚を、体を、腕を、頭を、生まれながらにして持った身体の全てを上から押さえつけられるような感覚が
俺たちを襲う。
首が締まる。/頭に血がのぼる。
肺が潰れる。/嗚咽が漏れる。
腸を握られ、胃を押し込められる。/意識が瓦解を始める。
鼓動が破裂せんばかりに脈を打つ。/血涙が溢れる。
呼吸がままならない。
一度に吸える量が瞬く間に消える。
少しでも気を抜けば窒息しそうだ。
意識はぼやけ頭が狼狽を始める中、しかし理性は働いていた。
ここにいたくない。
早く逃げたい。
隣を見ろ。
そこに倒れる女は泡を吹いている。
背後を見ろ。
そこにうずくまる2人は既に意識が無い。
お前もそうなりたいのか。
なりたくは無いはずだ。
ならば直ぐに逃げろ。
歩け。
歩け。
死にたくなければ脚を動かせ。
頭ではわかっていても身体が言うことを聞かない。
辛い。苦しい。悲しい。
こんな想いを持ち続けるくらいならば。
残る意識を総動員させて、歯で舌を挟む。
ニチニチと音を立てて、鋭い痛みが脳を突き刺す。
血が滲む。
シタシタと口角から垂れる。
本来なら忌避すべき現象だが、今はそれがたまらなく心地いい。
ーーー痛みを感じる間は〔自分が生きている〕と実感できるから。
《やめんか!!!!》
刹那。
聞きなれた声が響くと、身体を縛っていた〔何か〕の一切が取り払われ、あらゆる動きに制限がなくなった。
滝のように流れる汗を拭える。
視線を変える事が出来る。
痛みを嫌悪すべき対象として取らえられる。
辛くない、苦しくない、悲しくない。
何よりも、呼吸が平常に出来る。
我に帰ったと理解した時、同時にみんなの事を思い出した。
「お、おい!大丈…!?」
周りを見れば、そこで立っていた…いや、立っている事しか出来なかったのは1人だけだった。
「ルフ…ト…さん?」
瞳孔が開き、顔が蒼白と化したセラは一言だけ呟くと、一滴、また一滴と大粒の涙を零す。
「大丈夫かセラ、おい!」
呼び掛けに、僅かに反応すると。
「私は平気、です…
でも、他の…皆さんが…」
弱々しい、なんて言葉では表現できない程弱り切ったセラの顔が向いた先。
そこには。
「小虎!?おい、しっかりしろ小虎!
フタもナリも、眼を覚ませ!起きろ!」
うつ伏せで泡を吹く小虎。
自分を抱え込むようにしてうずくまるフタとナリ。
三人を揺すってみるが、反応はない。
「そんな…嘘だろ…?なぁ、おい…!」
叩こうが抓ろうが、一切の反応を見せない。
考えたく無い、考えたくは無いが…
「気にするな、其奴らは死んでいない。
貴様の仲間も、其処で立ち尽くすばかりの余が誇る近衛兵もな」
声が聞こえる。
今日、初めて知った声なのに、二度と忘れる事の無い声。
もう、『可愛らしい』なんて印象は受けない混沌と絶望の渦を想起させる声は、更に続ける。
「ちと、寝ているだけだ」
寝て…いる?
「…寝ているとはどういう事ですか?」
この状況、あの現状でも、決して言葉を崩さないセラ。
丁寧が故に攻撃的。
胃を締め付けるような語気で質問を返す。
《わしを含めた4人で対話をしたいから、じゃろう。
そうだな、ルフェン?よもや、ここまでしでかしたのなら…》
「流石は〔おねぇさま〕です」
淡々と続けられるルフェン女王とネフェンの会話。
何を言っているんだ…?
4人で話をしたいから、他のみんなにこれだけ惨い事をしたのか?
「ふざけ…」
『ふざけるな』俺がそう叫ぼうとした時だった。
「ふざけないで!
どうして、たったそれだけの理由で皆さんをこんな目に遭わせたのですか!?」
紅い泪を落としながらセラが叫ぶ。
「何のために、私達にあんな事をしたんですか!?
本来なら人を救う為の力を、能力を!あのような使い方をしたんですか!?」
「…ほう?貴様は余と同じ力…即ち、術を持っておるのか。
面白い。
本来なら、今の発言で首を断つところではあるが…
よい、そう考えた経緯を語り、余を納得させれば不問にしてやろう」
『ほれ』
女王はそう続けると気味の悪い薄ら笑いを浮かべて、セラに促した。
受け取ったセラは、臆せずに堂々とした態度で口を開く。
「ルフェン女王の持つ術は、私が持つもののうちの1つ【回復の術】系統のものですね?」
「如何にも」
ルフェン女王は、表情を崩さずに頷く。
「しかも、相当に回復力があって、一度に行える範囲がとても広い。
私の場合は、両手を広げた分が精一杯ですが…恐らく、ルフェン女王は謁見の間と同じぐらいはあるかと」
「ふむ」
ようやく、薄ら笑いを消して真面目な表情に戻る。
どうやら当たりだったらしい。
「話を戻しますが。
私達の持つ回復系の術は、使い方を誤れば人を治すどころか殺す事も可能ですよね?」
回復の術なのに人を殺せる…?
一体どういう事だ?
傷口に虫か何かを入れた状態で治せば、体内から食い破られて死ぬ。
という事だろうか?
「回復には主に2種類あります。状態異常の回復と外傷の治癒。その内の外傷の回復に於いて過度の治癒。
それは〔体組織の破壊〕を意味します」
「…そうだな」
ルフェン女王の声色が、余裕から驚きへと変わる。
「必要以上に水を与えた草木は腐ります。治癒も同じで、治し過ぎれば患部が腐ってしまうのです。
ルフェン女王、貴女が先程私達にした行為は、それの応用なのでは?」
試す物言いに、けれどルフェン女王は再び笑みを浮かべる。
「……セラ、と言ったか。
御名答、その通りだ。正しくその通りだ!」
ルフェン女王は椅子から立ち上がり、大仰に両手を広げて階段を降りてくる。
「余の持つは【蘇生の術】。あらゆる傷を即座に癒し、起こり得る異常状態を瞬時に回復する術」
風格と威厳に満ちた一歩は、ただそれだけで俺たちを圧倒する。
「貴様の、傷を治癒するのみにとどまる脆弱な術とは規模も効力も違い過ぎる、余達にだけ許された最上級の術だ」
ルフェン女王の辿り着いた場所。
それは俺とセラの間、三角形になる位置。
「お陰で…こうなってしまったと言えなくもないがな」
一瞬目を逸らして哀しそうな表情を作ったルフェン女王は、右手に持っていた翡翠に視線を向ける。
《ルフェン…?お前は今何を考えている?》
翡翠から響くのは、ネフェンの訝しむ声。
「おねぇさま、そんな風に言わないで下さい」
おねぇさま…?
そう言えば、少し前にもネフェンに言っていたが…
「ちょっとまて、気になったんだが、その「おねぇさま」ってのはなんだ?」
《気にするな、恐らくはすぐに知れる。それよりもルフェン。わしの質問に答えろ》
俺の質問など意に返さないネフェンは、再びルフェン女王を問い質した。
「私は今迷っているのです。私の掛けた過剰治癒に耐え、おねぇさまが認めた者達に真実を教えるかを」
《…何?》
ネフェンの口調の雰囲気が変わる。
驚きともつかないネフェンに、ルフェン女王は続ける。
「おねぇさま、アレからどれだけの月日が私たちの体に流れたのでしょうか。
私は…いいえ私達は、余りに長い時間を生き過ぎた。けれど、この生に終わりが無ければ果ても無い。
それならば私はと、女王として生きて…来たるべき時のために在ろうと考えました」
独白に近い言葉は続く。
「今の私の中にある過去は、全ての元凶とおねぇさまのコトばかり。
己の記憶など等に擦り切れて仕舞いました。
今では、何故もこうに宝石を集めるのかさえ」
言いながらルフェン女王が取り出したのは、乳白色を静かに放つ小さめの球体。
《そうか…ルフェン、お前は其処までに自我が…
ならば私は何も言わない。あんたの気持ちが、少しでも楽になるなら話すといいよ。
それが、あの日にあんたを一人にさせた私に許された言葉だ》
聞いたこともないネフェンの言葉遣い。
いつものじじい言葉ではなく、見た目相応の女性のような話し方。
何が起きているんだ…
疑念は困惑に変わり、困惑は怒りを呼ぶ。
今までに受けたストレスはとうとう爆発する。
「なんなんだ、一体何がどうなったんだ!?
どっちでもいい、答えてくれよ!」
「そうです!私達が納得するように教えて下さい!」
便乗したセラも、語気を強めて2人を問い質す。
《だ、そうだ。どうするのじゃ?ルフェン》
普段通りの口調に戻ったネフェン。
ルフェン女王は僅かな間眼を瞑ると、決意したかのように再び眼を開いて、階段を登り始めた。
《ついて来い、だそうだぞ。二人共》
「まて、まだみんなが倒れて…!」
「心配は不要だ」
ルフェン女王は言い放つと、立ち止まって何かを呟く。
「……今、この空間にいる者全てに蘇生の術を施した。余達の告白が終わる頃には、無事に身を起こしているだろう」
「そんなの…信用出来ると思いますか?」
怒りのままに声を荒げるセラ。
勿論、俺も信用はしていなかった。
だが、どうやら今回は別らしい。
「…いや、さっきの言葉は信用していいかもしれないぞ?」
「えっ…?」
戸惑うセラに更に続ける。
「さっきまでの重だるい感覚が無くなったどころか、いつもより調子が良くなったように思わないか?」
「…言われてみると確かにそうですね…」
不服と言わんばかりの口調で、渋々と納得するセラ。
「しかし!」と、セラの言葉が出てくるのとほぼ同時の出来事だった。
「ぐっ….ゲホッ、ゴボッ…一体何が…?」
終始立ち尽くしていたラルが、突然膝をつく。
「丁度良い。
近衛兵三位・伝令隊長ラル!貴様に命令を下す!
其処で未だ倒れるルフト達の仲間を医務室に運んで介抱せよ!」
「は、は!承知致しました!」
「良い返事だ。あぁ、それと。余達は今から非常に重要且つ重大な話がある為、会議室に入る。
王都が転覆する程の事態ではない限り、決して近づくな」
「重ねて承知致しました!付近の兵、及び全ての近衛兵にも伝えて起きます故、ごゆるりと!」
当意即妙。
突然の命令にも頭を悩ませる事なく承服したラルは、すぐさま謁見の間を後にする。
「ふん、これで良かろう。
会議室は座から見て右の部屋にある。着いて来い」
反論は許さない。そんな雰囲気を持った言葉に、俺とセラはただ黙って従うしか無かった。
「其処にある椅子に好きなように座れ。話は長くなるだろうからな」
通された会議室は、謁見の間に比べれば幾分か小さいものだったが、それを感じさせはしなかった。
豪華ながらも落ち着いた長机に、触ると程よい反発をする不思議な椅子。
「そうか、ソファは初めてか。まぁ無理もないな。それが普及してるのは王都くらいのものだ」
聞きなれない単語にセラが反応する。
「そふぁ?とは、一体なんですか?」
「なんだもなにも、今其処にある椅子の事だ。気にするな、いずれ一般の者達にも手の届く物にしてやる。
さぁ、とにかく座れ」
納得のいかないセラを横目に、ソファという物に座る。
「うぉ!?なんだこれ!ベッドみたいだ!」
座った途端に柔らかさが全身を包む。
そう、まるでベットに腰掛けたような具合に。
「…本当です!しかも、お尻だけでは無くて背中やふくらはぎの辺りまで!」
続けて座ったセラからも驚きの声が上がる。
「ははっ、欲しければ貴様らにくれてやるがどうだ?」
何故か上機嫌になるルフェン女王。
「し、しかし…私達には家がありませんから…」
「ならば、此処に住めばいい。貴様らの仲間が一堂に暮らせるだけの家を用意しよう」
途端に緊張が張り詰める。
なんて事の無いただの世間話だった筈なのに、呼吸が僅かに苦しくなる。
「な、何を言って…?」
「言葉通りの意味だ。
これから余の話す内容は、間違いなく貴様らの持つ根幹を覆す。
故に、この話を聞いたならば、余に仕えるか、死ぬかのどちらかしか選べぬ」
「「は!?」」
《だが、これはお主たちが望んだ答えだ。であれば、今更覆すわけにもいくまい?》
どこまでも真面目に話に介入するネフェン。
確かに、これは俺たち二人が望んだからこそ成立した対話だ。
しかし…
「た、確かにそうですが、それ程までの内容だとは…!」
「『聞いていなかった』等と口にするのであれば、今すぐにでも貴様らの寿命を終えさせるが…?」
「ぐっ…!
い、いいえ。なんでもありません」
力無く頷くセラ。
「ルフト、貴様も良いな?」
有無を言わさぬ声色のルフェン女王。
けれど、これだけは返しておかなければならない。
「…わかった。俺とセラはもう、どちらかしか選べないのは理解した。
だけど、俺たちの仲間…小虎、フタ、ナリ達には、俺とセラがお前の話を聞いてなんと答えたとしても手を出さないで欲しい」
「………良いだろう。
だが、あくまでも余の話を聞いて否定した場合に於いてのみだ。
貴様らが肯定した場合、余の力となってもらうぞ」
「それで良い。
あいつらに危害を加えないならそれで良い。
だよな…?」
俯き黙り込んだままのセラに視線を向ける。
ほんの少しの間の後、微かに頷いた。
「では、本題に入るに当たってだが」
ルフェン女王は俺に顔を向ける。
「まず、貴様らは此処以外に世界があると思うか?
別の町や別の国では無い。言語も文化も歴史の成り立ちも全く異なる世界ーーー異世界を」
「なんだそれ…絵本の世界とか物語の世界って事か?」
「そうだな。今はその理解で間違ってはいない」
どこか含みのある言い方で、なお続ける。
「ではもし、その世界に飛べるとしたら?信じるか?」
「信じるわけないだろ。術によっては出来るかもしれないんだろうが…
少なくとも、今まで俺はそんな術を持つ奴には会ったことがない。だから信じられないな」
キッパリと言い切る。
《まぁ、当然の反応じゃな。わしらとて実際に起きるまでは信じてなどいなかったのじゃから》
「実際に起きるまでは…?それはどういうことでしょうか」
俯いたままのセラがネフェンに聞き返す。
《言葉通りじゃ。わしらは…》
「おねぇさま、そこから先は私が」
《おぉ、すまんすまん。どれ、質問はルフェンにすると良い》
それを聞くとセラはゆっくりと顔を上げて、ルフェン女王に視線を向ける。
「…改めて聞きます。一体どういう意味ですか?『実際に起きるまで』とは」
「単純な話だ。
余と余の姉である…この世界での名はネフェンだったな…は、別の世界から来たのだ」
ルフェン女王の答えを聞いた途端、セラの身体は凍りついたように固まる。
やがてその身体は震え始め、熱を帯びる。
「…ば、馬鹿にしているんですか!?
私達は!命を!賭けているのに!何故貴女はそうまでおかしな事を言えるのですか!?」
セラの怒声が会議室に響き渡る。
が、その声は即座に別の声へと変わった。
「馬鹿になどしているものか!!!」
声を荒げ、机を叩いて立ち上がったルフェン女王。
「余とて命懸けだ…
以前、この話を別の者にしたせいで…したせいで其奴は…!」
ルフェン女王の言葉は次第に弱まり、やがて力無くソファに座る。
「すまぬ。取り乱した。
…よいか、これだけは忘れるな。余とおねぇさまがこれから話す事は全て事実である。
一切の誇張は無く、また一切の矮小も無い。
故に、此処からは口を挟まず聞け」
あまりの迫力に気圧された俺とセラは、頷く以外に方法は無い。
ルフェン女王は、ネフェンの分身とも言える翡翠を一瞥する。
「…………それは、今から気が遠くなる程の過去。
神代にまで遡る太古の昔の出来事だ」
ネフェンの手によって静かに語り出すルフェン女王に耳を傾けるしか出来なかった。
To be next story
私的な見解に於いて、異世界転生というジャンルは好きです。
平凡な人間がなんらかの力を得て異次元の世界に飛ばされ、そこで笑いあり涙ありちょっとHありな冒険活劇を繰り広げる。
とても好きです。(煽りじゃ無いよ!)
ただ、ある時から変化球な異世界モノが読みたいと思いました。
主人公は異世界に住むヒトで、仲間もみんな異世界のヒト。けれど、彼らの住む世界には実は異世界の来訪者が居た。
そんな感じのお話を。
勿論、探せば沢山あるんだとは思います。
しかし、探すのが面倒だった私はこう考えました。
「いっそ、自分の望むままに話書いちゃえばよくね?」と。
そしてそれがこのお話。
【俺とみんなと時々魔物と】です。
現実世界で結構な時間を要しましたが、ようやくこの物語は1つ目の佳境にあたります。
本当は今回で全てを解き明かすつもりだったのですが、思ったよりも長くなりそうだったので、次回への持ち越しとなります。
今更ながら、申し訳ありません。
それでは、次回の更新でお会いしましょう。
さようなら。




