異質
初心者パーティーは一喜一憂しながら
各々役割分担をし楽しい探索となっていた。
「いやーアリスがいて本当に良かった。僕たちは助けられてばかりだな。」
カイルは言った。
「マジそうだよな。」
以外にも真面目な顔でルチオは答えた。
「本当ですわねぇ。」
ミリアも発言する。
「そんなことないですよ、みんなでパーティーなんですから。」
アリスがそういうと皆笑顔になる。
そのまま進んで行くと最奥に辿り着いた。
「ここは一方通行ダンジョン、折り返して冒険は終わりだ。」
カイルが言うと
「安全第一で帰りましょう。」
ミリアが言うとアリスは頷いた。
カイルが踵を返しダンジョンの入り口に戻る。
ここでアリスのセンサーが働く。
「そこの物陰に二人が潜んでいます。人間の息遣いです。」
「他の冒険者かな?お二人とももうすぐ最奥ですよー。」
カイルが言うと、男二人組が物陰から出てきた。
「なーんで俺達の事が分かったんだ?初心者のくせによぉ。」
甲冑の男が話す。
「気配を察知する間のいい奴がいるかも知んねぇな。」
短剣使いの男が言う。
「初心者狩りって知ってる?君達みたいなのを狩るんだよ。」
「グッヘッヘッヘ。」短剣の男は下卑た笑いをした。
「初心者の割になかなかいい装備してるじーゃん?」
甲冑の男は品定めするようにパーティーの武器防具を見回した。
「そ…装備を渡せば見逃してくれるのか?」
カイルが聞く。
「俺の名は騎士ボリスだ。」
「俺はスナッチャーのラズだ。」
カイルは問う
「何故名前を名乗る!ギルドで活動できなくなるぞ!」
ボリスは言った
「簡単な事だ、お前たちは皆ここで死ぬからな。ヘヘッ」
アリス以外の初心者パーティーに戦慄が走る。
アリスは歩み出て話す。
「変な考えは起こさないほうがいい。後悔することになる。」
「ギャハハハハハ!!!!お嬢ちゃぁーん威勢は良いが
頭がおかしいのか分別が付いていないのか?行くぞ!」
騎士が切りかかると同時に、アリスの中でスイッチが切り替わるのがわかる。
スローモーションとなった騎士はただの大振りだ。
アリスはダマスカスナイフを取り出し騎士の件を持つ手の健を切った。
同時に襲い掛かる低い体制のスナッチャーを上から両手で叩き落し
ナイフは奪い取り遠くに捨てる。
「ぐえっ!何が起こった!」騎士は剣を掴めず剣を落とす。
スナッチャーは無様に地面に突っ伏した。
初心者パーティーの面々は何が起こったか理解できずポカーンとしていた。
「もう一度言います。このまま引き下がれば何もしません。
ですが私達を殺めようとするならそれなりの覚悟は持ってもらいます。」
騎士はエクスポーションを体に振りかけた。
腱が繋がった。
「もう楽しみじゃねぇ上位職の名誉の為に皆殺しだ!」
騎士が叫ぶ
「・・・。」
アリスは愚かな騎士に言葉が継げない。
次の瞬間騎士は素早く後ろに回り込みミリアを袈裟切りにしようとする
スナッチャーは素早く短剣を拾うとカイルの首筋狙って
短剣を振るおうをする。
カチッツ。初めてアリスはミスからの意志で感覚のスイッチを押した。
先ずは騎士の首筋にダマスカスナイフをスッと入れる
それはまるでMRIの輪切りの様に滑らかに切断された。
騎士の首が舞う中、スナッチャーの両手両足の健を斬り
呼吸が出来ないよう首に刃物を入れる。
全てが終わったとにアリスは言った。
「人を殺す覚悟のある人は殺される覚悟がある人だ。」
アリスは初めて人を殺した
全てが終わり仲間を振り返ると皆怯えていた。
「もう大丈夫。」
アリスは声をかけるものの怯えは収まらない。
何故なら尋常でない動きで、いとも簡単に上級職を葬るアリスに
恐怖を覚えたからだ。
ダンジョンを出て馬車に乗りギルドについても
3人とも敬語で異様にアリスと持ち上げていた。
アリスはこんな関係性を体験するためにパーティーを組んだのではない。
3人はドロップを全てアリスに献上し、すぐさま解散した。
ギルド嬢の前に佇むアリス。
無性に空しくなった。とぼとぼ宿への道を戻る。
部屋へ戻ると殺害の光景が浮かび何度もトイレで吐いた。
涙も出てきた。アリスは悟った。私は普通じゃない。
異質な存在なのだ。この時確信した。
食事をとる気も起きずベッドに横になる。
すべて忘れたい。そう願いながら眠りについた。




