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ハント!グラスウルフ

そうして数週間が経過した。アリスのバックパックの中には

金貨が10枚ほどになっていた。(銀貨50枚で金貨1枚)

アリスは金貨3枚で疾風の弓小(子供でも引けるよう小型)

疾風の胸当て、疾風のスカートを購入した。

全身の姿見を見ると、冒険者っぽくなっている事に満足感が湧く。

意気揚々と冒険者ギルドへ行くものの

討伐系は見慣れないモンスターだらけ

『あっ!グラスウルフ!』

グラスウルフ討伐があった。


討伐グラスウルフ5匹

1匹につき銀貨2枚

追加報酬

グラスウルフの毛皮1枚につき銀貨2枚

依頼者 ベルフィールド商工会


この町ベルフィールドの商工会からの依頼だ

確かに荷馬車や商人が通行する道と生息域が、かなり被っている

グラスウルフならば深夜6匹に囲まれても何とかなった

そんな意図で選ぶ事になった。

「すみません、これお願いします。」

ギルド証と一緒に依頼用紙を提出をする。

「グラスウルフはスライムとはわけが違うけど大丈夫かしら?

アリスさん。」

受付のお姉さんが心配する。

「前に6匹に囲まれたけど大丈夫でした!」

一瞬おねえさんは面食らったものの

『保護者が付いているのでしょうね。それなら安心だわ。』

と勘違いをして特定の得物を特定の数だけ仕留めた事を

証明できるセンサーバッジを渡してくれた。

「気を付けてね。」

笑顔でお姉さんは送り出してくれた。

ギルドの外へ出てセンサーバッジを見ると

グラスウルフと表示されている。

カウントが0となっている。

町を出て爽やかな風が吹き抜ける街道を歩いていく。

ポカポカしていて、その辺に寝そべったら寝てしまいそうな陽気だ。

いよいよグラスウルフ生息地に差し掛かった。

道を外れ、草原に入り込んで行く。

「よし……」と小さく呟くと、まるで草原にセンサーが走るように

息遣いや気配が手に取るようにわかる。

『小さい息遣いと気配は多分、グラスラット

もう少し大きいのはグラスラビット

そして、この大きさは……』

その方向に足をすすめると

遠くに丸くなって寝ているグラスウルフが見える

夜行性のため日中は寝ているのだ。

『毛皮持ち帰りを考えると火じゃなくて雷だよね。』


キリリリリリ……


弓を引き絞る。

「空気を切り裂きいかづちを叩き込め…ライトニングアロー…。」

アリスが詠唱すると引き絞った弓にいかづちの力を宿した矢が

具現化し番えられる。


ヒュン!!


矢は唸りを挙げてグラスウルフの頭上を通り過ぎる。

『外れちゃった。もう少し下ね!』

当たり前である。アリスは弓を使うのが初めてだった。

見よう見まねで、ぶっつけ本番をしたのだ。


弓を引き絞る。

「空気を切り裂きいかづちを叩き込め…ライトニングアロー…。」

アリスが詠唱すると引き絞った弓にいかづちの力を宿した矢が

再び具現化し番えられる。


ヒュン!!


ドスッ!!


「ギャゥッ!!!」


矢は見事心臓に命中し雷が放たれる。

即死だ。

「やった!」

小さくガッツポーズをする。

バッジのカウントを見ると数値が1になっていた。

近づいて普段使いの尖った石のナイフで皮をはぐ。

刺さった矢は魔法による具現化が解かれ消えていた。

皮などはいだこともないのだが、ナイフを入れる。

毛の付け根である皮の裏側にはびっしりと

迷路のように血管が張り巡らされている。

自然に血管を避け当然の如くナイフを入れて行く

それは当に肉眼によるマイクロサージャリーであった。

「血が付くと汚れて、めんどくさくなっちゃうからね。」

そう言うアリスの手元には血一滴

傷一つない綺麗に切り取られた毛皮があった。

それを丸めてバックパックに入れる。


その後アリスは索敵しては

一発も外さず、いかづちの矢で確実に心臓を貫き

毛皮をはいでいった。

5匹倒すとバッジは青色に発光し

コンプリートの文字がディスプレイされる。


ギルドへ戻るとお姉さんがカウンターで出迎えてくれた。

「アリスさん大丈夫でしたか?」

優しく声をかけてくれるお姉さんに

「はい。何とか。」そういうとバッジを差し出す。

「はい。お疲れさまでした確認しました。」お姉さんが言う。

「あと、毛皮もあります。待ってくださいね……。」

ごそごそとバックパックから5枚のグラスウルフの毛皮を取り出す。

お姉さんは毛皮を手に取り裏返す。

「?!」

『一滴の血もついていないし、傷すらない……

やはり手練れの保護者がいたのね。安心したわ。』

とまた勘違いをした後

「はい。これは報酬になります。」

銀貨20枚を手にしたアリスは

「ありがとうございます。」と一礼をして冒険者ギルドを出た。

『スライムより面白いかも!!』

そう考えながら緑の息吹亭へと足を運んだ。

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