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アリスの生い立ち

アリスは没落貴族の捨て子だ。


父と母は名門貴族として名が通っている家柄だった。

アリスが6歳の頃、王からの咎で貴族を剥奪された一家は

財産も没収された。

最早平民以下の生活しかかなわぬと悟った父と母は

ある日先ず父がアリスを強くハグする。

「すまないアリス…力強く生きてくれ。」

続いて母がハグをする。

「ごめんねアリス…ごめんね…。」

それが父と母との最後の触れ合いだった。

物心の付いていなかったアリスは

面影すら霞んで、ただハグされた事だけを覚えていた。

使用人に連れてこられて行ったのは王都から離れた

交易都市ベルフィールドの中央広場。

「アリスお嬢様、用事をしてまいりますので

ここでお待ちください。」

そう言われアリスは待った。

1時間が経ち2時間が経ち、そのまま夕暮れになっていた。

使用人は任務を全うしていた為、既に王都へと向かっていた。

アリスはお腹が空いたし暗くなってきたし怖かった。

でも待っていろと言われたからには待っているしかなかった。

その夜アリスは広場のベンチで夜を明かす。

目が覚めるとお腹が我慢ならないほど空いていた。

市場からいい香りがしてくると堪らなくなって

市場へと出かける。

香ばしい香りのパン屋の前にアリスはいた。

このパンを一つください。

「あいよ!銅貨2枚になりやす。」

主人はご機嫌だ。

「お金はないです。」

アリスがそういうと主人は険しい表情になり。

「冷やかしならどっかへ行ってくれ!商売の邪魔だ!」

アリスには初めての経験だった。王都に居た頃は街中の商人に物を欲しがれば

喜んでくれていた。それは全て親への、つけとして請求されていたのだ。

そのような事を知らないアリスはとても悲しくなった。

どうしたんだろう。何が変わったんだろう。

どの店に行っても反応は同じだった。

アリスは待合場所へ行きシクシク泣いた。

今まで優しかった世界が急に敵になったのだ。

「どうしたのお嬢ちゃん?」

声をかけたのは外回りの用事を済ませたギルド受付嬢のミモザだった。

アリスは一連の話をした。

ミモザは色々と察した。

「お父さんとお母さんはね、これからあなたに一人で生きる為に仕事をして

生きて行って欲しいと願ったんだとおもうわ。」

「でも…グスッそんなのどうすればいいの?…グスッ」

「そうね……薬草摘みは出来る?」

「薬草を採ってくるの?」

「そうそうあなたにもできそうな簡単なお仕事よ。」

「……やってみます。」

「じゃあ決まりね♪」

「冒険者ギルドに戻るからついてきてね。」

頷くアリス。

ミモザは手を繋いでくれた。アリスはその温もりを忘れない。

ミモザは冒険者証を発行し宿の世話もしてくれた。

この町で最も優しくリーズナブルな宿屋。

緑の息吹亭だった。ミモザはコネクションがあり話はすんなりと通った。

アリスのお金の足りない時はミモザが替わりに影から宿賃を払っていた。

でもそれはアリスは緑の息吹亭の恩情だと思っていた。

そうして薬草採取のクエストをアリスは毎日続けた。

そこで真面目なアリスの様子にヨハンからミモザに要請があり

アリスをお抱えにしたいと願い出があった。

ミモザがアリスに伝えると2つ返事で了承し

専属の薬草摘みが日課となった。

ミモザへの好意は保護者に向けられる、それであった。

アリスは紆余曲折を経て今の位置に収まっていた。

この先は冒頭のエピソードへとつながる。

基本的には人を信じられないが、好意を持って接してくれる人へは

同じように好意を持ち、普段あまり感情を出さないが

好意を持っている人へは感情は素直に表す。

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