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ペリドットの依頼3

それは戻る時に起きた。

迂回できないルートにラヴァゴーレムがいた。

溶岩ならば氷に弱いのがセオリー


ギリリリ……


アリスは遠距離に狙いを定め弓を引き絞る。

「空気を切り裂けアブソリュートゼロ!アイシクルアロー!」


ドヒュッ!!

放たれた矢は唸りをあげてラヴァゴーレムに飛んでゆく。

パキッ!命中した箇所に黒ずみが広がる。

溶岩の冷やされた部分はガラス状の黒曜石と化すが

再び流動する粘性に飲み込まれ鈍いオレンジ色に染まり流動する。

『だめだ、やり過ごさないと…』

アリスはラヴァゴーレムが出口への通路から外れるのを待った。

実は氷の魔法の矢を連打をすることによって

水蒸気爆発で粉々に消し飛ぶのだがアリスは知る由もないし

魔法の矢の連打は先刻トラウマになっていた為、選択肢にはなかった。


数時間じりじりと観察をする。

ラヴァゴーレムが通路から逸れて数m、ダッシュで帰途を駆け抜ける。

地下1階へ向かう登りスロープには、やはりガードモンスター

アイアンゴーレムが立ちはだかっていた。

アリスの方を向いている。ただ置かれているだけではなく

何かに反応し通すまいと設計されているのがわかる。

来た時と同じようにスライディングで股下をすり抜ける。

そして走り去った後に

アイアンゴーレムの大振りの拳が空を切っていた。

アリスは弓をしまい、再びダマスカスナイフを手にする。

地下1階の雑魚を軽く蹴散らし廃坑の外に出る。

目を開けると日差しが目に突き刺さるように眩しい。というよりも痛い。

おでこに手で、ひさしを作り目元に影が落ちると

幾分か眩しい程度に落ち着く。

そして乗合馬車の待合場で待っていた。

30分もすると目も慣れてきたため手を下げる。

ここにきて、やっとアリスは安堵した。

待合場の簡素な椅子に腰かけ足をぶらぶらさせる。

ダンジョンに吹き抜ける風と違って

青空の下吹き抜ける風は息吹を含んでいる。

暫くすると馬車が来たので、それに乗った。

馬車はガタゴトガタゴト揺れる。

アリスは今、生きてるんだと感じていた。

馬車は夕暮れ前ベルフィールドの街についた。

馬車の駄賃を払い中央の鍛冶屋moon & starへと足を運ぶ。

裏口の扉をノックする。

コンコンコン!

「アリス ウェイズ、注文の品を持参しました!」

そういうと

「お疲れ様入んな!」

とエルマの声が聞こえた。

「失礼します。」

アリスは中へ行きエルマの前へと行く。

「それじゃ、見るとしようかね。」

エルマの言葉にアリスはごそごそとマジックストレージから

注文通りの塊を一つ取り出し渡す。

「ほう。優秀だねぇ。」

工房の床に置きつつ言う。

アリスは残り2つも取り出し隣に置く。

「何だい?!3つも!!」

驚くのも無理はないペリドットは希少性が高く

2日でおいそれと、この大きさの物を3つも用意できないからだ。

エルマは驚きながら言う。目を伏せた後、再び開き

「アリス…これはゴーレム産だね?」

アリスはぎこちなく

「は……はい…。」

と頷く。

「パーティーで行ったのかい?」

「いえ私単独で行きました。」


……


エルマは絶句し沈黙が流れる。

「あんた強いねぇ。あたしゃ昔、冒険者をしていたから

この凄さが分かる。どんな感じだったい?」

アリスは一連の出来事を身振り手振りで説明した。

「あんた。その昏睡は魔力を使い切って生命力を削っていた。

かなり危険な状態だったと言える。気をつけな覚えておくんだよ。」

有難い忠告を貰いアリスは頷いた。

そしてエルマは、まじまじと3つのペリドットを色々な角度から目を通す。

「これは上物だね。あんた目が利くね。僅かなクラック一つありゃしない。

楽に仕事ができそうだ。」

エルマは立ち上がる。

「さてっと…。報酬だね。」

そういうとエルマは歩いてチェストボックスへ向かう。

金貨を数えて袋へ入れている。入れ終えて戻ってくると

「ありがとさん。これは報酬だよ。」

そう言ってアリスに金貨の入った袋を渡した。

ずっしり重い。中を確認すると大量の金貨が入っていた。

「あの……これ30枚以上あると思うのですが……?」

エルマは笑って答える。

「あんた何で3つも持って来たのさ?依頼は1つだったろ?」

「失敗した時の為に一応…」

アリスが言いかけた時エルマは怒気をはらんで被せて言う。

「あたしが失敗するだって?舐められたもんだね!

これでも腕は一流だよ!」

「す……すみません、そんなつもりでは……」

「ハッハッハ冗談だよ。その気遣い、あんた良い冒険者だ。

金貨が多いのは勿論さね。100枚入っている。」

豪快にエルマは笑い、そう言った。

しかしアリスはもやもやした。

「それでも依頼は30枚でしたし……。」

「あんたの持ってきたペリドット、超高品質だ。

あたしの長い目利き経験がそう言っている。

ギルドに依頼したのは儀式用の短剣を貴族から依頼されたからさ。

このペリドット、あたしの腕なら間違いなく

3つともシームレスなやつが作れるね。断言してもいいよ。

それとペリドットの儀式用のシームレス短剣が出来たなら

値段はほぼ、あたしの言い値で売れる。

あんたの仕事は、それだけの価値があったって事さ。

本当はもっと渡しても罰は当たらないけれど、あたしゃケチだからね!」

そう言って、また豪快にエルマは笑った

釣られてアリスも笑う。

「いいじゃないか。あんたはその笑顔が似合う。

それじゃギルドに依頼完了の一筆書くから、少し待っておくれ。」

「はい!」

アリスは依頼完了の安堵と心が温かくなるのを感じた。

「ほいさ。おまたせ。これ持っていきな。ありがとさん!」

そう言うと2つに折りたたまれた手紙を渡された。

「ありがとうございましたエルマさん。」

アリスは出口で一礼する。

「ありがとうアリス。」

そう言うと笑顔で送り出してくれた。

扉を閉めると再びアンビルにハンマーを打ち付ける

カン!カン!カン!という音が聞こえた。

遠ざかる音と共に冒険者ギルドへと向かった。

町の煉瓦のオレンジに夕日のオレンジ色の光が重なる。

夕方の冒険者ギルド内はいつも賑やかだ。

受付のミモザさんの元へ向かうと手紙を渡した。

手紙を読むと言葉を紡ぐ

「ふふっ。アリスさん。お手紙の中は見たかしら?」

「いえ、私は見ていません。」

そう返すと。

「『腕のいい冒険者の紹介ありがとう。

また依頼する時はアリスにしておくれ。』

そう書いてあるわ。エルマさんに気に入られたようね♪

ギルドとしても鼻が高いわ♪」

「そ…そうですか…ははっ…。」

アリスは照れながら答えた。

「それでは、お疲れさまでした。アリスさん。」

「いえ、また宜しくお願いします。」

そう言うと緑の息吹亭へと帰る。

夕日に照らされたアリスの足取りは軽かった。

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