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Re;Birth  作者: 波多見錘
良心の拒絶

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side01 金の匂い

 5分ほどで修正は完了した。

 ミスはあったものの、おおよそは完璧に終わっていたため、修正箇所の確認と総額の計算しなおしだけだからすぐに終わってしまうものだった。


 ある程度は仕方ない。

 だが、手持ち無沙汰になり、一旦食事をとろうという流れになった。


 各自弁当を広げて生徒会室の中で食事会じみたものが始まる。


 女子三人は各々弁当を用意しており、俺だけが特に目の前に広げずにいる。そうしていると、以外にも三条から声がかかった。


 「零陵は食べないの?」

 「ああ、俺は食事をとらない」

 「なにそれ?中二病?カッコよくないよ」

 「なんでお前に格好がいいと思われなきゃいけないのかわからんな。お前は俺の何だ?普通に気持ち悪いぞ」

 「は……?言っていいこととだめなことの見分けもつかないの?これだから、不良は―――」


 ダンッ!


 三条が言葉をつづけようとすると、それを遮るように会長が机に拳をぶつけていた。

 怒りというほどの覇気は見えないが、言言えないほどの圧を感じる。


 「三条、零陵には手伝ってもらっている立場だ。言いたくはないが、君のミスもカバーしてもらっている。私たちは相応の礼儀をもって接するべきだ。だというのに、不良がなどという発言は不用意だろう」

 「う……それは……」

 「それに命の恩人であることも忘れるな?私の命だけではないぞ。三条や荻原も巻き込まないように戦ってくれていたんだ。な、そうだろう?」

 「あ……?ああ、そうだな。一般人巻き込んでもいいことないしな」


 ここで話を振られると思ってなかった俺は反応が遅れてしまう。

 そんな反応をしたせいか、対面に座っていた荻原が疑いの目を向けてきた。


 なんだよ。実際巻き込んでないんだから、会長の言葉通りでも問題ないだろう。


 「零陵、その―――言い過ぎた。ごめん」

 「気にしてない。そんなことよりさっさと飯を食ったらどうだ?俺より作業が遅いんだから」

 「会長、やっぱりこいつ嫌いです」

 「零陵も零陵だぞ。人の神経を逆なですることを言うな」

 「そのつもりはない」

 「なおのことたちが悪いな。気を付けたほうがいいぞ」


 こんな空気感ではあるが、すでに三条の毒気も抜かれて空気は幾分か軽くなっている。

 しかし、書記の荻原だけは能面を張り付けているのかと思うほどに表情が変わらない。


 そんな様子を見て、三条が彼女に絡んでいった。


 「荻原せんぱーい!どっちが嫌な奴ですかぁー!」

 「うざっ」

 「零陵に聞いてない!」

 「……どっちもどっちだと思うよ」

 「えー!絶対にあいつのほうが―――!」

 「三条さん、早くご飯食べよう?言い方はキツイけど、あながち間違ってもないと思うよ?」

 「会長!荻原先輩がかばってくれないぃ!」

 「三条、騒ぎすぎだ。もう少し落ち着いて過ごせないのか」


 会長と書記の二人に諫められ、三条はおとなしく席に座る。だが、次に彼女の目に映ったのは荻原の弁当だった。


 「にしても、荻原先輩のお弁当って毎日豪華ですね」

 「そんなことないよ……」

 「あ、その分厚そうなお肉もらっていいですか?代わりに卵焼きあげます!」

 「あげるのはいいけど、私はいいかな」

 「なんでですか?先輩の家ほどじゃないかもしれませんけど、うちの卵焼きもおいしいですよ!」

 「駄目だよ―――三条さんを危険な目に遭わせるわけにはいかないから」

 「え……?どういう―――」

 「三条、それくらいにしよう」


 三条が話を深堀しようとしたところで、会長がそれを止めた。

 確かに話が少し不穏な方向に向きそうだったし、止めることが健全と言えるだろう。しかし、三条はあまり面白くは思っていなかった。


 「なんでですか、会長」

 「荻原は去年からあんな感じだ。家のルールとか厳しいんだろう。モデルらしいその体系を維持するのもいろいろ大変なのだろうな」

 「それは、そうかもしれないですけど……」


 三条はあまり納得した様子を見せない。

 だが、それは俺にも少しわかることだ。


 家のルールであっても、卵焼き一個にそんな過敏になるものか?


 俺の頭の中にはそれが回ってしまい、気になって仕方ない。

 こればっかりは三条の肩を持たざるをえない。


 だが、ここで俺がなにかを言うのも違うだろう。

 彼女自身の家の問題。そこにリアクトが関与していないのであれば、俺が出る幕ではない。


 「ここは下がっておけ。おそらくではあるが、そこで粘ってもお前の望む答えは出ない。もっともどんな答えを望んでいるかは知らないが」

 「……わかった」


 思いのほか聞き分けがよい。

 会長たちにも先に言われていたのが効いていたのか?それとも何か企んでいるのか。


 よくわからないな。


 そんなこんなで飯を食べ終わり、生徒会の仕事に従事していく。

 今日は体育祭での競技等の確認の作業だ。クラス種目以外にもレクリエーションなど目的で作られるその年だけの競技―――とは言いつつも、よくある競技の中でうちの学校にないものをアンケートで採決するだけなのだが。


 例えば、よくある競技として玉入れがあるだろう。だが、うちの学校の種目には存在しない。

 だが、アンケートで大勢の人が玉入れをしたい。となれば、その年の競技には玉入れが導入される。まあ、たいていこういうのは運動部などの組織票が動いて決まる。


 ちなみに今年のアンケートで種目入りした競技は『大玉転がし』だった。


 「大玉か……うちの学校には確かなかったな。手配の準備やらがあるが、特に問題なくできるだろう」


 会長がそう言って、とりあえず今日の生徒会は終了した。

 仕事が終わり、現在時刻は17時―――校内に響く声は、野球部の声ばかりになり始める時間だ。


 一番最初に帰宅したのは書記の荻原だった。その次に会計の三条が続いていき、特に用事のない俺も三番手で出ていった。

 会長は少し荷物整理をするとのことで、少し遅れるようだった。


 三条から遅れて昇降口に向かうと、そこに不審な行動をする人物がいる。三条だ。


 「なにしてるんだ?」

 「私、荻原先輩のこともっと知りたい」

 「なんで?」

 「先輩、たぶんお金持ちなんだよね」

 「まあ、そうなのかもな」

 「でも、先輩が遊んでるところも見たことなくて―――それどころかだよ。いっつも体育は休んでる。気になるでしょ?病弱って話も聞かないのに」

 「まあ、気になりはするな」

 「じゃあ、尾行しよう!」

 「やっぱお前のテンションについていけないな。仕事に悪影響出てるんじゃないの?」

 「うるさい!」

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