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Re;Birth  作者: 波多見錘
その瞳に真実を

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side02 鉛の腕

 板倉芙美に現れた変化―――胸の赤い光が示すのは進化だ。

 急激な身体の変化、そしてデバイスが体に完全に一体化することによって、よりリアクトより優れた存在へと昇華する。


 それが―――『コア』


 まさに神の器になる資格を得たと言っても過言ではない力だ。

 研究所の奴らも、すでにここまで到達していた。


 まあ、奴らのように実験によって力を引き出そうと何人も殺した者たちなら、可能なことか。

 しかし、正確にコアに昇格できる条件というのを聞かされていない。ただ、大まかにあの研究所にいた実験体がなる可能性が高い。


 と、聞いている。


 逆に言えば、実験体として生きていたというのがコアの進化条件と思われる。


 彼女もそこにいた。

 僕の推論ではあったが、これで確実だろう。


 彼女は実験体03番―――サイコキネシスに覚醒したコアだ。


 それに先ほどの口ぶりから、記憶が戻っている。

 世界調律サバト以前のものが。


 ただ驚きだった。

 デバイスを破壊しても、コアに進化できる。


 いや、記憶が戻ってから進化したようにも見えたな。

 もしや、感情が起点なのか?


 感情が高ぶることで、内に眠るコアの力がデバイスの有無にかかわらず覚醒してしまうのか。


 「颯二君……」

 「彼女はもう君の知る板倉芙美ではないだろうね」

 「でも、芙美は―――」

 「完全覚醒した。ああなった以上、僕も倒すのが難しいよ。でも―――」


 花音は板倉芙美との思い出をおぼろげになりながらも持っている。

 なんなら、自分を助けてくれた相手だと感謝もしていたくらいだ。そんな人間が目の前で死ねば、彼女は気に病むに違いない。


 そんな結末は望まない。

 彼女を殺さずに、完封する。


 なかなかのハンディキャップだが、僕ならできるさ。

 ああ、自身さえあればどうとでもなるさ。


 「あああああああああああああああ!」


 これから戦術プランをどうするべきか。

 たくさんのことを考えるが、彼女の絶叫に気がとられて中々思考が続かない。


 まあいい。

 今対策を考えるべきは―――


 ビシィッと僕に電流が走る。

 いや、感覚的な話だが、やられてしまった。


 「殺す殺す殺す!絶対に許さないいいいいいああああああ!」


 そう叫んで、板倉芙美は前に手をつきだす。

 瞬間、周りの形を持った物体たちが僕に襲い掛かってくる。


 しかし、僕は避ける体勢に移行できない。どうにか、創造の能力を使って、触れている地面を変形させることによって花音を遠くにやることができたが、僕はうまく逃げれない。


 いや、


 「(動けない……)」


 そうして僕は、無数の物体の射撃の前にひれ伏してしまう。

 生体装甲だから、今の僕に口という概念はないはずだが―――吐血してしまうほどの激痛だ。これは内臓が持ってかれたかな。


 そう、今必要なのは


 ―――コアに進化したことによって可能になった僕自身への能力の対策だ。


 コアとなった今の彼女は、僕と同じ次元に立っている。

 わかりやすく伝えるのなら、三次元の存在は二次元の存在に触れることができないということ。


 つまり、僕と彼女の力の差はそう大きくない。

 そうなれば、なにが勝敗を分けるのか―――


 ―――そんなものは単純だ。

 僕が力を使用して、彼女の能力を完封する。


 「互いの経験の差が明暗を分けるんだよ」

 「あ……?急になんだ?」

 「知能は進化できなかったか―――やはり能力に対する理解が低い。それが君の敗因だ」


 その言葉とともに、銃口を彼女に向ける。

 すると、待っていたとばかりに能力を使用されて、僕の身動きが完全に封殺される。


 だけど、それが彼女の命取りとなる。


 「死ねええええ!」

 「君は誰を攻撃しているんだい?」

 「―――っ!?」


 馬鹿な、とばかりに彼女は勢いよく僕の姿を見るために振り向く。

 しかし、すでに銃口を突きつけられて成す術などない。


 引き金を引き、火を噴いた口から鉛玉が撃ち込まれる。

 零距離という至近以下の距離から撃ち込まれた弾丸は、能力の介入を許さない間に容易にコアの体表を貫通した。


 攻撃を受けた彼女は膝から崩れてしまうものの、そのまま倒れることはない。

 ゆえに、彼女の戦闘意思は消えず、能力に僕は吹き飛ばされる。


 だけど、そんな程度で僕の炎も消えたりはしない。


 僕は間髪入れずに彼女の背中を射撃する。

 彼女は理解が追い付かないはずだろう。なんせ、彼女は先ほど僕のいる方向へと振り向いている。


 それの意味すること―――僕が、彼女の知らぬ間に後ろに移動していたということ。


 「どうやって―――どうやって私を攻撃しているんだ!」


 不思議だろう?

 君は確実に僕を攻撃している。だけど、君は代わりに攻撃を受け続けている。


 なぜだろう。わからない。

 そんな意味もない考えが錯綜し、回り続ける。


 簡単に想像できる。

 僕だって、僕のような能力が相手となれば、困惑し何度も思案するだろう。


 だから、僕は君に答えを上げよう。


 「僕は君に教えている。僕の名を―――『創造神』だと」

 「それがなんだ……」

 「すべてを生み出し、作り出す。世界だって、作れるし―――新たな自分の体を作ることも可能だ」

 「まさか!そんなことが許されていいと、自分自身すらも創造することがどれだけ愚かなことか!作られた自分が、本当の自分だとどう証明するんだ」

 「僕自身の体に価値はない。僕が信じる道は―――彼の言葉は、僕の魂に刻まれている。多少の摩耗はあれど、僕は僕だよ」

 「イカれてる―――だから、お前たちは私たちから奪えるんだ!絶対に殺す!」


 そう言って彼女は先ほどのように、その場にあるすべてを能力で持ち上げる。

 だけど、もうどうしようもない。


 君の体の中には、すでに僕の弾丸が彼女の中に入っている。


 『コア』にあって、『リアクト』にない弱点。それは、僕の力が体内に通るようになることだ。


 その瞬間、僕の思念を通して弾丸が変質する。

 腹部に侵入していたそれは、簡単に体の上の方向へと向いて―――


 「ぐっ―――!?」


 彼女の心臓を鷲掴みにした。


 突然心臓を掴まれたことによって、酸素の供給が止まり、もがき苦しみ始める。

 さすがの苦しみに胸を抑えながら、その場に倒れこむ。


 「な、なにを……」

 「君の負けだ。これ以上は、君のためにも―――あそこで苦しそうに見ている花音のためにならない」


 僕がそう言うと、彼女の心臓からツタのようなものが伸びて出てくる。

 これが僕の弾丸の変化した形か。


 それが縦横無尽に伸び、彼女の体を覆っていく。

 そして、最後に露わになった板倉芙美は、すべての行動が封じられる簀巻きになってしまった。

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