表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Re;Birth  作者: 波多見錘
その瞳に真実を

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/97

side02 力と弾丸

 「どういうこと……?」


 沈黙―――それを破ったのは花音だった。

 彼女としても驚きというものが大きかったのだろう。なんせ、記憶がおぼろげになり始めているとはいえ、彼女の頭の中にはいまだ楽しかった幼馴染の記憶があるのだろう。


 しかし、現実は非情だ。


 「実験体03番―――彼の僕の次に会ったから仮称としてそう言うけど、板倉芙美、君が実験体として僕らと同じ場所にいたというのには変わりない」

 「馬鹿かよ。だって、あたしは雄真と花音と―――!」

 「それが偽りの記憶だ。僕たちの起こした世界調律によって世界は変わった。そして、失ったものを修復するように、君たちの中身も変化してしまった。ついでに、その偽りの記憶を打ち破る手段が先刻判明した」


 僕のその言葉に、誰も喜びの声を上げない。

 だが、それ以上の現実が彼女を苦しめている。


 「記憶の書き換えを打ち破る手段として有用と考えられるのは、リアクトに変身している者のデバイスを破壊することだ。

 デバイスを破壊したうえで、使用者が生存することによって、その条件が達成される可能性がある。まあ、実例が一例しかないから、絶対と言えないのが歯がゆいところさ」

 「そこじゃない!」


 僕の言葉では不満だったのか、彼女が吠える。


 「あたしの、あたしと雄真の思い出は何だったんだよ!」

 「思い出……?」

 「あたしとあいつは恋人同士だった!だから、あいつの気持ちも何度も聞いてきた!それも―――」

 「君が実験を受けていた間に思い描いていた妄想だよ」

 「ああ、ああああああ!」


 現実に耐えきれないのか、彼女は絶叫する。

 しかし、僕はそこに追撃を仕掛ける。


 「本来なら、君はここにすらいれなかったんだ。それは受け入れて、新たな道を進むと良い」

 「うるさい……」

 「芙美、私も支えるから―――」

 「うるさい……!」

 「しかし、君は罪を清算する必要がある。君が不必要に殺してきた何人もの命に向けて」

 「うるさい!うるさい!」

 「だから、まずはそのデバイスを僕に渡せ」


 そう言って、僕は彼女に手を出す。

 この場でデバイスを出し、僕が破壊する。そうすれば、この件はすべて終わる。


 だけど、彼女はそう思っていなかった。


 「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい」

 「ふ、芙美……?」

 「やはり、浸食はすでに手遅れだったか」


 その時点で僕は察してしまう。

 すでに彼女にもう自我を制御するすべがないことを。しかし、それならそれで好都合。


 ここで排除させてもらう。


 「うるさいうるさいうるさああああああああいっっっ!!!」


 その絶叫の瞬間、彼女は左手を振り上げて、アプリを起動した。起動されたアプリから流れる力によって、彼女の体は変わっていき、僕たちが幾度も見たサイコリアクトへと変身する。


 「ふぅ……花音、離れていたまえ」

 「う、うん……颯二君―――よろしくね」

 「ああ、僕は君の助けたいと思う人を救う。それだけは守って見せるさ。それに―――」


 彼女が実験台だとするのなら、コアへの進化条件は満たしているはず。

 早々に決着をつけなければ、僕で問どうしようもなくなる。まあ、そうなったら、そうなったで好都合ではあるが。


 この後の展開をいくつか想定しながら、変身し、いつも通りの銃を生成する。


 「さあ、リアクト討伐戦といこうか」

 「黙れえええええ!」


 絶叫とともに、彼女はその場に落ちているあらゆる枝や石を能力で持ち上げて、こちらに射出してくる。

 僕もそれに対応して、飛び上がり、足を後ろにするように持っていき、空中でうつぶせのような態勢になる。


 それのおかげで、射出方向に対しての僕の面積が狭まり、投擲物の当たる可能性が平時よりも下がる。


 後は、その狭くなった面積内に突入してくるものを打ち落とせばいいだけ。


 そう考え、僕は銃を構えて球を打ち出す。

 木の葉はいい。木の枝や小石―――速度を持って当たると、傷になりかねないものだけを破壊する。


 わざわざ軽く、傷にもなりえないものを打ち落とすような無駄な真似は必要ないだろう。


 そうして、射撃を繰り返し、なんどか相手の弾を打ち落とすと、その間にだけリアクトへの射線が生じる。

 それを見逃す僕でもない。


 「しっ……!」


 僕は迷わず、引き金を引いた。


 放たれた弾丸はまっすぐ彼女の体へと吸い込まれていき、見事に着弾する。


 「かはっ……!?お前ぇっ!!」

 「戦力差は圧倒的だ。諦めたまえ」


 その言葉に答えはこうだとばかりに、彼女は猛攻を繰り広げる。

 接近戦に持ち込んで、どうにか一撃を入れようとしてくるが、僕はそれをすべていなす。


 能力が通じないことはわかっているのだろうから、単純な肉弾戦にしたいのだろうが、接近戦でも僕には及ばない。


 右から左から、繰り出されるパンチをかき分けて、彼女の腹に銃口を突き付ける。

 すると、動きが止まり、一瞬だけ困惑が見えるが、すぐに判断して射線から外れようとする。


 だが、簡単に逃げられるわけもなく、腹部の中央部分から少し左に外れた位置に弾痕ができた。


 着弾の衝撃によって吹き飛ばされるほどのエネルギーが、彼女の全身の軸からずれた位置に受けたことにより、後ろに行くのではなく、その場で回転しながら倒れこむ。


 うつぶせの状態で倒れこんだところに、僕が乗っかって、背中を射撃する。


 「クッソがぁ!」


 あきらめの悪い彼女は能力を行使して、周囲の地面を動かす。

 左右の地面から削られた土の板は、彼女のサイコキネシスによって押し固められながらこちらに迫ってくる。


 僕を挟み込もうとするそれに対して、僕も危機感を覚えてしまう。


 「これはさすがにまずいね」


 思わず、そう漏らしてしまうが、あくまで冷静に対処する。


 右側の壁を選び、それの一部を円形に打ち抜く。

 しかし、それで弾が貫通することはない。だが、狙いはそこじゃない。


 押し固めるという行為は、すべての物質が同じ方向に―――同じ一点に物質の力の向きが向くから可能なこと。

 しかし、その押し固めた物体には弾丸が撃ち込まれ、その位置の土は、中心に向かって力が向いるのではなく、僕と反対側のほうへと力が向いてしまっている。つまり―――


 「綻びが生じる……」


 僕はそこに向けて飛び込み、壁の一部を破壊した。

 次の瞬間に、土は能力によって閉じられ、僕のいた場所は無残になくなっている。


 しかし、僕はすでに外にいてその攻撃は無為なものとなる。

 だが、その分彼女も距離が取れてしまった。なかなか頭がいいから、大変だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ