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Re;Birth  作者: 波多見錘
欲望の怨嗟

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side01 約束の王

 「人は進化を求めた」

 「あ?」

 「力を求め、お前たちのように神を模造することによってそれを実現した」

 「なに言ってるんだ?」

 「だが、人は人でなくてはならない。人類という名前は、この世界で最も高い知能を持ち、そして最も力無き者の名であることを忘れてはならない」

 「だけど、俺たちが強くなれば力もある存在になれるじゃねえか!」

 「それが奴らの計画の礎だとも知らずに、人は力に魅了されて死んでいく。憐れなお前たちに救済を与えよう。死という名の、な?」


 すでにリーダー格の男以外全員殺した。

 後は奴のみ。知能の欠片も感じられないゴミのような男がだ。


 「雑魚を殺したくらいでイキんなよ!―――おらあっ!」


 最後に対峙することになった漢は、距離を詰めて殴りかかってくる。まだ、本気を出すほどじゃないと俺を侮っているのだろう。さすがに腰は入っているが、近づき方が隙だらけ過ぎる。


 突き出された拳を、俺は左の掌で受け止める。


 「俺がこの程度を防げないと思ったか?」

 「なんだとっ!?―――なんてなっ!俺に触れたままでいいのか?」

 「ああ、小細工をしようとしているのならやめておけ。俺には通じない」

 「なっ!?なんで、死なない!」

 「お前がどれだけ力を込めようと、お前が俺を押しつぶすことはできない」


 言いながら足を払い、地面に組み伏せる。

 怪人態ゆえに上に乗りづらいが、別にマウントの姿勢を形だけでも取れれば問題ない。


 「このっ―――がっ!?」


 なにか言おうとしたが、構わず拳を振り下ろす。

 じたばたと逃れようと暴れてくるものの、攻撃の嵐に、抜け出せる道などない。


 しかし、どさくさに紛れて転がっていた石ころをトルーパーがつかみ、俺の顔にぶつけてきた。


 「そんなもの―――」


 ドゴン!


 「クソッ、力は使える。なんで、お前には!」

 「なに……爆発した?」


 なにが起こったかと言われれば、俺の顔の近くに持ってこられた石が爆発した。

 怪我をするほどではないが、十分怯んでしまうほどの威力だ。


 しかし、そうなると前提が崩れる。


 能力は力を増強し、相手を制圧する『Power(怪力)』だと思ったが、どうやら違うようだ。

 

 俺はマウントポジションをやめて、すぐさまそこから退散する。

 能力が使えなくなったという勘違いに気づいて、俺にだけ通じないとするのなら次は―――


 カラカラカラ


 飛びのいた先に、ゴミや石など雑多な物が転がってくる。


 「ちっ、触れた物を破裂させる能力か?」

 「しゃらくせえ!」


 次々に足元が爆発する。さすがに連続で受けるわけにいかないので、縦横無尽に動き回り、不規則な爆発による衝撃波を避ける。


 「爆弾ばっかり気にしてるんじゃねえぞ!」

 「くっ……」


 爆発によって発生した砂煙に視界がふさがれていたが、その中から蟻のトルーパーが現れる。

 その手には日本刀が握られていた。摸造刀じゃない。真剣か……


 「そんなものどこで手に入れたんだ」

 「とってきたんだよ。探せば、どこにでもあるんだよ」

 「そういう品じゃねえと思うけどなあ」


 物体に波を与え、それを増幅し、強力な『衝撃』を放つ能力か。


 「お前の能力は『Impact(インパクト)』か」

 「なんでお前に通じねえのかわかんないが、直接じゃなけりゃいいってことか!」

 「厄介なところに気づきやがったな」


 さすがにそこまで感づいてしまえば、相手も簡単に動ける。

 とにかく、数を畳みかければよい。


 そういうわけなので、ある程度の知能が働いている相手は俺に爆弾もどきをけしかけてくる。

 しかし、小さい石ころばかりを目くらまし程度に使ってくるので、爆破前提で突っ込んでしまえば、大した問題ではなさそうだ。


 「ぎゃはは!馬鹿が!突っ込むように仕向けてるのがわからないとはな!」

 「っ―――確かに考えが甘かったな」


 小石を手でカバーしながら前に進んだのだが、次に飛んできたのはドラム缶だった。


 ―――まずい。


 一番最初に浮かんだのは、そんな身もふたもない言葉。

 なんせ、もろに食らえばさすがに俺の体も吹っ飛んじまう。


 そう認識した時には、ドラム缶は炸裂していた。


 放たれた衝撃波が、俺に衝突し、体を吹き飛ばしてくる。

 防御の姿勢はとったが、やはり体が浮いてしまい、後方の元管理部屋のような小さい空間に突っ込んでいく。


 「零陵!」「はじめ!」


 瓦礫に突っ込んだ後に、それを認識した二人の声が聞こえてくる。

 だが、その心配は過剰だ。


 「ふはっ!雑魚を殺せたところで、やっぱり俺にはかなわないんだよ!やっぱり俺は、兄貴の弟だ!」


 そう言いながら男は小部屋へと近づいてくる。

 奴の目の前には、穴の開いた壁とその瓦礫しか見えていない。


 だから、不意の一撃に気づけない。


 「ふんっ」

 「なっ、ごはっ!?」

 「は、一……生きてるの?っ、その手……」


 瓦礫の中から伸びてきた拳が男を殴り飛ばす。

 そんな反撃に、遠巻きに見ていた美晴が一時的に安堵するが、すぐに俺の拳の異変に気付いた。


 そんなことお構いなしに、俺は瓦礫を分けて、立ち上がる。


 彼ら彼女らに映った俺の姿―――それは、憎ましいリアクトに似ている。そんな姿。

 点に掲げる一本角。武器にしようかというほどに、禍々しい見た目。


 カブトの怪人の姿になった俺が現れる。









                 第1章 欲望の怨嗟 完

闇に見つけたその道を

水面に見える君と行く

だけれど君が歩むのは

僕の届かぬ

遥か空



     ――――――零蘭颯二



次章 その瞳に真実を

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