side02 彼の意と彼女の意
2週間ぶりくらいですかね?
第二章の執筆が終わったので、投稿を再開します。前章と同様に40話での構成となっています。
変化した僕の姿を見て、周囲の人たちは驚愕の表情を見せる。
いや、サイコリアクトと雨宮は変身していて表情はわからないが、息をのむような動きをしているので、驚いているのは間違いない。
神なる威光と言っても、はたから見ればリアクトと何ら変わらない。
驚くのも無理はないということだ。
そんな光景を尻目に、僕の手の中に専用の銃を生成する。
照準を花音を取り押さえている死体たちに合わせて、引き金を引いた。
発射されたすべての弾丸は死体の頭部に命中して、それらすべてを消滅させた。
死体が消えたことにより、花音は即座に開放されて、地面に放り出される。
「紀里谷花音―――」
「は、はい……」
「聞きたいことはあるだろうが、今は見逃してくれ。怖いというのなら、今後僕に近寄らなければいい。だが、僕は君の味方だ。これだけは嘘じゃない」
「零蘭君、私―――!」
彼女が何か言おうとしているが、僕はその場を振り返り、背中を向けてこれ以上は話すことないと暗示する。
しかし、今の射撃でわかったことがある。
相手の能力は死霊術じゃない。
「死体の一つや二つ!」
「いや、君の能力の種は割れた。降参し、デバイスを破壊したまえ。そうすれば、命だけは助かるかもしれない」
「黙れ!私は復讐するんだよ!私たちの生活を壊したあいつを!」
そう言って雨宮は花音を指さす。
復讐ねえ。それが正当なものかは興味ない。今大事なのは―――
「君が悪意を持って変身しているかだね。まあ、善意でなっていても困るんだけど」
「うるさいっ!私の邪魔をするなあ!」
彼女の絶叫とともに死体の群れが起き上がる。
その波にサイコリアクトも飲まれて、場の収拾がつかなくなる。
だが、意味などない。すでに死体の封殺はできているようなものだ。
「君のその一手は僕に確信を与える術でしかないよ」
「零蘭颯二、なにをするつもりだ!」
「復讐などという感情のために人を捨てようとする君とは話す気にもなれないね。なまじ、正気を保っているのも最悪だ」
「はぁ……?今の俺とお前は同じ敵を持つ仲間だろうが!」
「違うね」
それと同時に、僕は引き金を引いた。
たった一度だけの射撃。放たれた弾は、雨宮の頭部に命中する。
しかし、貫通はしない。少しのけぞるだけの威力に抑えている。
それでも結果は現れた。
動いていたゾンビたちが一斉に糸を切られたかのようにバタバタと倒れ始めた。
「な、なんだ?」
「それが雨宮の能力の答えだ」
「ああ?言ったろ、私の能力は―――」
「死霊術ではない。僕が認識していないだけかもしれないが、少なくとも、僕はその能力を把握していない」
「は?なんで、お前が知っていないとダメなんだよ」
「知ってるに決まっているだろう?その力―――リアクトの力の根源は、僕たちなんだから」
僕の言葉に、場にいた3人は驚き、声すらも上げられない。
「だからこそ、僕が君の能力を教えよう。能力の名前はPuppeteer、つまり人形を操る能力だ。死体を人形として扱うのは拡大解釈のようなものだね」
「人形師……ってことは」
「サイコリアクトの目論見は正解だ。もはやこの能力は、すべてリアクトに依存している。死体―――人形たちは無視して、本体のみを全力でたたけばいい」
「グアアアアアアアア!」
僕の言葉をきっかけに、サイコリアクトに再度群がり始めた人形を払いのけ、道を切り開いて雨宮に襲い掛かる。
サイコリアクトのほうは喧嘩慣れしているのだろうか?かなりそちら側が押している。
逆に雨宮のほうは、抵抗を試みているものの、もはや人形を完全に無視して切り込んでくる相手の勢いに呑まれている。
「このっ、クソっ、虎の分際で!」
「お前、本当に変わんないな!人をいじめて、あまつさえ友人だった死体を利用する!」
「あんたが殺したんでしょ!でもいいの!あいつらは私のことが好きだったんだから!」
「体よくヤれたからちやほやされてただけでしょ!このビッチ!」
「うるさい!そっちも死人のくせに!」
「あいつを守るために!死に意味を持たせるために!お前みたいに薄っぺらい関係せいじゃないんだよ!」
「黙れええ!」
ここで突然形勢が変わった。
突然雨宮の怪人態が赤く発光し始めたのだ。発光が確認された瞬間、彼女の動きが機敏に、そして鋭くなる。
まずい―――
察知した僕が、発光する彼女を撃った。
意図せずにサイコリアクトへの援護になってしまった。
「サンキューな!」
「なにを勘違いしているんだ?だが、倒すのなら早めにしたまえ。レベル4になれば、君のアドバンテージも消えると思うといい」
「レベル……?まあいいか。ウガアアアアア!」
咆哮とともに飛び上がり、相手に取りつく。
肩口に足を引っかけられて、態勢を崩している雨宮にそのまま追撃を加えるように動いている。
回転しながら顔面を殴打し続けて、相手の戦意を大いに削っていく。
さすが、人を殺しなれているだけのことはある。
彼、と言うべきではないだろうが、ここはまあいいだろう。
彼だけに任せるわけにはいかない。というよりこのままでは、雨宮が殺されてしまう。
僕個人としては、死んでも問題ないとは思うのだが、花音がどう思うか―――一度聞いてみればいいか。
「花音!」
「は、はい!」
「君が僕に思っていることは一つかもしれないし、もっとあるのかもしれない。しかし、そういったものはあとにして、質問に答えてくれたまえ」
「う、うん……後で答えてくれるよね?」
「聞こう―――君は雨宮が死ぬのを望むかい?」
「それは……嫌だよ!私をいじめてたとしても、今回の件を引き起こしたとしても……」
「甘えたことを言うな!」
花音の言葉に水を差したのはサイコリアクトだった。
言いたいことは理解しよう。だが、君の意見は聞いていない。
そんな僕の思いとは裏腹に、奴は進んでいく。
「こいつは!こいつは!俺を殺して―――花音を追い詰めたんだ!」
「しょうがないね。花音、君の意思は決まっているんだね?」
「う、うん……!」
「心得た。僕は君の思いを尊重しよう。君を想う者として」
「う、うぇっ!?ど、どういう―――」
彼女が何かを言う前に、僕は射撃の態勢に入る。
銃を腰の前に構え、照準を雨宮とサイコリアクトの二人に合わせる。まず初めにやることは、二人を引きはがすこと。
射撃のブレをなくすために構えている右腕とは反対の腕を添えて、引き金を引く。
すべての弾丸は僕の狙い通りに、標的へと吸い込まれていって二人をのけぞらせる。
「ぬあっ!?」
「きゃあっ!?」
さあ、決めようか




