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夜の音  作者: くろねこ
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昼間

私は、大学へ向かう。

ただ、淡々と授業を受けるだけであった。

挨拶をする友人はいる。

しかし、一緒に授業を受けるような、くだらない雑談を言い合うような友人はいない。


お昼休み。

持ってきた小さな弁当箱を、人気のない簡易な椅子のあるスペースで広げる。

黙々と食べるだけであった。

砂を噛んでいるようだった。

味気はしない。

ただ、最低限必要な栄養を摂るためだけに、ご飯を口に運ぶ。

周りからは、楽しそうな声が聞こえてくる。

「昨日さ――」

「それ、めっちゃ面白いじゃん」

そんな声を聞きながら、私は弁当箱の中身を一つずつ減らしていった。


3限目が終了し、時刻は14時半前。

私はバイト先へ向かおうと、大学の駐輪場へ向かった。

そして、自分の自転車が置いてあったはずの場所で足を止めた。

ない。

何度見ても、ない。

鍵をかけたはずだった。

けれど、そこにあるはずの自転車は消えていた。

慌ててスマートフォンを取り出し、バスの時刻を調べる。

間に合わない。

私は鞄を抱え直し、バス停へ向かって走った。


バイト先。

「お疲れ様です」

息も絶え絶えに、決まり文句を口にする。

先輩が不思議そうに一瞥する。

普段なら余裕をもって、10分前に出勤する私が、今日は息が切れた状態でギリギリにバイト先に着いたことが原因だろう。


業務開始から終了まで私は、裏方作業に徹する。

誰かと話すこともほとんどない。

仕事をしている間だけは、余計なことを考えずに済んだ。

そして定時を5分過ぎたあたりに、他の人の話が盛り上がってないタイミングを見計らう。

「先、お疲れ様です」

そう言ってバイト先を出た。


バイトが終わった瞬間、自転車を盗まれたことに意識が向く。

そういえば、まだ何もしていない。

(交番って、24時間やっていたっけ?)

スマートフォンで調べながら、私はそのまま最寄りの交番へ向かった。


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