二人の自分。
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さぁ、戦える装備は整った。あとは力だ!
足を力いっぱいに地面の土を踏み込んだ。
前を見ると、魔獣は襲ってくる。その瞬間がスローモーションで見える。
死に物狂いで歯を向けて、こっちの首を狙ってくる。
なんで、こいつらは、命を懸けて戦うのだろうか…
執念?それとも、獲物?と思いながらも杖を振り下ろす。
ぐさりと首が切れた。こんな事を自分がしたのかと思うとゾゾっと身の毛がよだつ。
血が出てくる。互いの思いなんて押しつぶして…
辺りは、魔獣が一層警戒している。意外にも敵は弱かった。
それからは、何度も剣を振り下ろした。
死に物狂いで攻めてくる魔獣を…
ふと気づくと、もう敵はいなかった。自分が殺したからだ…
まるで、何者かに乗っ取られたかのように…
大量に魔獣を殺したことに自分自身が殺されるのではないか?と思い始めた。
そうだ。仕方がなかったのだ。
互いにこれは生きるか死ぬかの戦い。勝とうが負けようが仕方がないことではないか。
「ハッ」
忘れていた、あの青年は大丈夫か?
いや、自分が大丈夫ではないのかもしれないが…
そう思いつつも青年のところに慌てて寄り添った。
唇から血の跡がありつつも生きている。手が少し震えている…
もう死にかけかもしれない。
その時無意識に杖を見た。杖を見てしまったことに自分の心を殺したくなる。
「なんで、杖を見たんだ!」
倒して楽にしよって思ったのか?
この青年は一生懸命に生きている。苦しくても…自分を助けようとしてくれたんだ!
自分の中の二つの自分が葛藤していると、青年が言った。
「俺の胸ポケットから、ポーションを飲ませてくれ…」
自分自身の葛藤は必死に止めてポーションを探す。
あった…これを飲ませればいいのか…?
口にゆっくりと注いだ。すると、傷は癒されて戻っていった。
青年は、少しずつ回復していって、ゆっくりと立ち上がった。
「ありがとう…体が動かせないくらい瀕死の状態でね…助かったよ」
「ところで…君の名前は?」
名前を聞かれた。前もあったこの展開。
「ルビア…」
そう、ぼさっとつぶやくように言った。
「ルビアか…じゃあルビアお礼に家まで案内しよう」
「そっちの傷もひどそうだしな…」
「残念ながらポーションは1つしかないんだ…」
なんてやつだ。自分のためを優先したのだ…
こっちだってつらいのに…でも、あの状態では仕方がないか…
少し腑に落ちつつも何かの理不尽さを感じ苛立ちがあった。
「じゃあ、町まで一緒にこい!」
青年は力強くいった。




