求められた「力」
ブックマーク感想等よろしくお願いします!
杖を持って走りだした。
事は一刻を争う。急がなくては…
こういう時こそ一つ冷静になろう…ひとまず深呼吸だ…
ふと見てみると高級そうな布が周りに巻かれており中でギラリと神々しい輝きを発している指輪のようなものを見つけた。
何か戦力になるかもしれないと思い布ごとポケットに詰めた。
ほらな…一つ冷静になるとだいたいいい展開になるのだ…
自分で自分のことを変な期待をしてしまう…
一階ではない早く降りなければそう思った時だった。
「ガガガ」
何か嫌な予感がした…魔獣のほうから聞こえる…
おそるおそる見てみると魔獣が威嚇している…
もう少しで突撃してきそうな雰囲気だ。
そうだ…あの雑草は?そう思った時、
「ウォェッ」
突然吐き気がした…時間はもうない…原因を突き止める前に先へ急ごうとした。
少し動いたところで今度はさっきより強い吐き気に襲われた…そしてめまいがしてくる。
もう少しで…外に出れる…どたどたと段差の高い階段を降りる。
「アッ」
階段を踏み外した。胴体から落ちていく。より一層体の傷が痛む。
手をつきたかったが体が鈍っていた。顔面から落ちた。
それどころではなく必死に立ち上がる。
そして、歩き出した。
そうだ、この原因は雑草だ。ふと、思い至ってしまった。
普通に考えて、あんな力が簡単に出せる訳がない。
そう思いながらも顔面からの多少の失血により一歩…一歩と進むごとに、カキンと痛む。
ついに、ドアを見つけた。遅る遅る開けてみる…
「ギギギィ」
嫌な音を立てた。まずい、予感がする。
予想どうり、廃墟から見た数よりもっと多く魔獣がいた。
「ガルル」
ついに、魔獣は襲ってきた。
なんて運の悪いのだろう。
人生そんなもんだと思っていながらも期待してしまう自分が恥ずかしい。
魔獣は、血で染まった歯を出して襲いかかってくる。
「グァッ」
右腕をかまれた。でもまだ運が良かった。
あの時、腕の感覚がなくなったため少しは痛くないだろうと思った。
すると、事態は良いほうに動いた。
全く出血しないのだ。傷は歯のあとだけ残る…
果たしてこれはいい方向なのか、悪い方向なのか…
”その”《出血しない》理由を出す時間もないので受け身をして体勢を整える。
さっきまで、続いていた吐き気とめまいに次は睡魔が襲ってくる。
強烈に眠たくなる。やばい…そう思った時だった。
誰かが前に来た。物音を立てずに…よくある助けてもらえる展開に賭けて目を閉じた。
「ハッッ」
目が覚めた。どこかのベッドで寝ている展開を想像していたが予想と違った。
前と同じ場所だ。そして、自分を死んでいると勘違いしていたのだろう。
驚いたような様子で再び魔獣が威嚇してくる。
「え…な、なんで…」
息が荒くなる…そ、そうだあの時助けようとしてくれた人は…
その答えはすぐ近くにあった。助けようとしてくれた人は青年だった。
そして、青年は今いくつもの噛み傷を負っている。辺りには戦いにより飛び散った血が点々とある。
でも、呼吸の動きがあった。生きている。
で、でも…この魔獣には自分だけ勝てない…
そう思った時だった。青年は言った。
「助けて…くれ…」




