↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2度目の転生に関する報告書  作者: トール
第四章 ロマ帝国との戦い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
98/124

第98話 タブリ領境会戦1

バルト王国・国王会議室


イスタン・イスファ軍からの敵軍撃退の報を受け、急遽王国での会議が開催された。


「以上のとおり、イスタン・イスファ軍4,000がロマ帝国軍10,000を撃退。

 ロマ帝国軍の損害は約7,000、うち捕虜が約1,500。

 対してイスタン・イスファ軍の損害は約50。お味方大勝利です」

「存外もろいものだな、帝国軍は」と国王。

「はっ。イスタン・イスファ軍の勝因は以下の二点であるとのことです。

 一点目は、魔術による先制攻撃により敵騎兵を混乱に陥れたこと。

 もう一点は、敵の総司令官であるパトキン将軍が徒に兵を後退させ、その隙をイスタン・イスファ軍が突いたことによるものとのことです」


「魔術による先制攻撃か。トリビシ卿、如何見る」

国王に所感を求められたのは魔術親衛隊長テトス・トリビシ子爵。

「観戦武官を派遣しておりませんゆえ確かなことはわかりかねますが---おそらくは『ふたりがけ』という火魔術と『ストーンバレット』という石魔術によるものかと考えられます。前回のスタンピートに際して、イスタン・イスファ軍はこの攻撃を行っておりましたので」


今回の会戦に関して、国王軍ならびにバルト王国諸侯軍は参戦せず、公式にはタブリ伯爵領とイスタン・イスファ子爵領の地域紛争であるとの見解を出していた。

これは、諸侯の参戦同意を得ることができなかったためであり、また、その背景には、諸侯がロマ帝国との決定的亀裂を避けたいという思惑を持ったためである。

バルト王国諸侯に強い自治権があること、もっと言ってしまえば「国の形態が、国王を中核とした各諸侯による連合国家」であるバルト王国の弱点が出たと言っても過言ではないであろう。


「それでは、魔術親衛隊の攻撃でロマ騎兵を混乱させることは可能か?トリビシ卿」と国王。

「状況にもよりますが、騎兵を混乱させるだけであれば可能かと存じます」

「軍務卿、タブリ伯爵領に駐留するロマ帝国軍の数は?」

「今回の会戦の残兵を3,000とした場合、会戦に参加していないロマ帝国駐留軍5,000とあわせて8,000となります」

「対して我が軍は、王国軍6,000、諸侯軍5,000、寄子を含めた辺境伯軍9,000の計20,000。相違ないか」

「イスタン・イスファ子爵軍4,000はイスファに転進中、当面の間戦闘不可との報告を辺境伯から受けております」

「子爵軍の被害は軽度、いや、ほぼ被害なしではないのか。トリビシ卿、如何見る」

「なんとも言えぬところですが---4,000をもって10,000を撃退したのであれば、魔術部隊に何らかの被害や障害が発生したのか、あるいはイスタン子爵に不慮が生じたのか---」

「だが、イスタン・イスファ軍が参戦せずとも我が軍は16,000。十分に勝てる」と国王。

「しかしながらタブリ伯爵軍の兵5,000がおります。それにロマ帝国軍の増援も考えられます」宰相が異をとなえる。

「ロマ帝国の増強は当面の間考えなくともよろしいかと。帝国は今回の会戦にあたりかなり無理をして兵を募った模様。一月や二月の間に増援が手当できるとは考えにくく」と外務卿。

「タブリ伯爵軍が敵対する可能性は低いかと存じます。ロマ帝国の配下になることをよしとしない、伯爵軍中枢メンバーが複数おります。ましてやロマ帝国軍が惨敗した後であるので」


「わかった。それでは辺境伯および諸侯に連絡、急ぎ軍を派遣せよと伝えよ。直轄軍も全軍出動。今がタブリからロマ帝国軍を、たたき出す絶好の機会だ」

国王は続けて言った。

「私が親征する」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


タブリ駐留ロマ帝国軍・駐留地執務室


「本国から伝令あり。ハドリアン・イタン少将は配下5,000と遠征軍残存部隊3,5000 計8,500を率い、接近中のバルト王国軍を迎撃せよ」


え、俺なの?俺、実戦経験がほとんど無いんだけど。

まあ、冷静に考えれば俺だろうな。


パトキンのオヤジは敗戦の責任を追求され謹慎中、軍法会議待ち。

ウイッチのアニキとデリングは重傷、体を動かすことすらできず。

リバルスの野郎は行方不明だ。

タブリに残っているロマ軍将官は俺しかいない。

それになあ、ハドリアン・イタンっていうのは、俺の名前だ。

今から名前を変えて、ボクのことじゃありませんよ、って言っても、まあダメだろうな。


「将軍、腕がなりますな」


あのなあ、部下A君。なんで君はそんなに、にこやかなの?敵16,000に対し味方8,500だよ。

敵は2倍だよ。2倍以上の味方を完膚なきまでたたきのめしてくれた敵が今度は味方の2倍いるんだよ。

なんなら君の腕を鳴らしてみたら?シャリーンと音でも立ててみれば?


「味方の増援は期待できないのでしょうか」


うん、部下B君。当然の疑問だよね。だけど、ちょっとは頭を使おうね。

どこに援軍がいるの?パトキンのオヤジは、このあたりのロマ軍を集められるだけ集めたんだってこと忘れていない?ご近所さんには味方はいないってこと、認識していないの?

まだ若いんだから、今から頭を使っておいた方がいいよ。頭を使わないと将来惚けるよ。


「タブリ伯爵軍は如何しますか」


おお、部下C君。良い指摘だね。で、君の意見は?何?意見がないの?

いかんなあ、指示待ち人間は。いや、軍だから指示待ちでいいんだけど、民間に行ったら使い物にならないよ。ちゃんと自分で考えて、それをプレゼン出来るようにしておかないと。

ああ、タブリ伯爵軍は当然、参戦させないよ。

タブリ伯爵軍を前衛に出したらば、すぐに回れ右してこっちを攻撃してくるよ。

後衛においたらばもっと大変、サンドイッチのできあがりだ。具は俺たちロマ軍。

まあ、まずくて食えたもんじゃないだろうけどね。

しょうがないな。とりあえず指示を出しておくか。


「タブリ伯爵軍は捨て置く。ロマ帝国軍、全軍出撃。タブリ伯爵領領境まで急速前進せよ」

タブリ伯爵軍からなるべく離れておきたいからね。

「全軍に伝達せよ。これは聖戦である。正しき神の教えをタブリの民に伝えるための聖戦である!

 さあ、行くぞ!領境へ、そして天国(パライソ)へ!神は偉大なり!!」

「「「神は偉大なり!!」」」

これが、苦しいときの神頼みってやつか。ん?ちょっとニュアンスが違うかな?


まあ、いいや。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。