第71話 報告書11(第一分隊イスタンに到着)
第一分隊ならびに『百合の乙女』がイスファ北方エレーリの村に到着した。
「皆さん、お疲れ様です。お待ちしていました」
そこに待っていたのはトールとティナ。クレアとユメはイスタンでお留守番である模様。
ひととおり挨拶をかわした後、サムエルがトールに話しかける。
「で、飛ぶのか?ここから」
「はい、飛びます。村の人たちに見られないところで、『収納』してから。
まだイスファ子爵家にこの能力を知られたくないので」
「当然だな。イスタンにはどのくらいで着く?」
「30分もすれば着きます」
「徒歩で3~4日かかるところが、わずか30分かよ」
「はい、直線距離で飛べますから」
目を閉じて開けると、あたりの風景が変わっている。
サムエルは『収納』された時にはそのように感じている。
そして今回も---
「なんじゃこりゃ」
目を開けると、そこには大きな建物---屋敷が建っていた。
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報告書 10
1.報告日
バルト王歴11年7月1日
2.報告要旨
(1)イスタン男爵家屋敷について
ア.位置
村から徒歩30分の位置にある高台。海岸から20分、川から10分の位置にある。
イ.広さならびに間取り
建坪100坪
寝室 20部屋(家族用を含む)、執務室3、食堂兼会議室1、台所1、風呂2等
ウ.上下水道
完備、なお上水は屋外設置の給水塔からの給水
エ.特記事項
・オンドル構造である
・トールの土魔術にて建設されたもの
(2)現時点における取り組み事項
ア.最優先課題
多段式塩田の作成
そのために必要となる「魔動式ポンプ」の作成
鮭が遡上する9月までには一定量の塩を確保する必要あり
イ.優先課題
①農地の造成
20㏊~30㏊の造成を計画中
②暖房用燃料の確保
上記①の際に伐採される木材を使用する
今年度は炭の使用は断念
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「次に寝室、というか個人の部屋をご案内します」
トールの後をぞろぞろとついて行く一同。既に食堂、執務室、台所は案内済。
「こちらは一人用の個人部屋です」
広さは四畳半程度。
「寝台があるな、机と椅子まである」
「これ、一人用か?」
「はい、20部屋ありますので一人一部屋で。割り振りは皆さんにお任せします。あと、サムエルさんとドロシーさんのご夫婦の部屋は別に用意しています。僕たち4人の部屋も別にあります」
「一人一部屋か。中隊宿舎よりも全然いいな」
「次にお風呂場です」
ぞろぞろと移動。
「ここが男性用お風呂場です。これとは別に女性用お風呂場があります。
両方とも一度に10人くらいは入れる設計になっています。
台所を説明した時に説明したとおり、この蛇口をひねると給水塔からの水が風呂桶に流れます」
「水風呂か?」
「水がたまった後で、火魔法でお湯にします。僕たち4名が火魔法を使えますので必要ならば言ってください」
「まさかと思うが---毎日風呂にはいれるのか」
「はい、大丈夫です」
「ちょっと待て。給水塔にどうやって水を供給するんだ。風呂に使うとなると
相当な量になるが」
「川の水を『収納』して給水塔に供給します。ああ、ご心配なく。『クリーン』の魔術を使いますので飲料水になります。では、次にトイレ」
またしても移動。
「男性用です。大5、小5です。大はこのコックをひねれば水が流れ排出物
が流れます」
「トイレが臭くない、だと?」
「下水は沈殿池に流れるようになっています。沈殿池のスライムが下水を濾過。濾過した後に海まで流れるようになっています」
「海まで相当距離があるが---」
「はい。この下水道を作るのにちょっと時間がかかってしまいました。
それでは食堂に戻りましょう」
再度ぞろぞろと。
「以上で屋敷の説明は終了です。何かご質問は?」
「屋敷についてはよくわかった。それで、俺たちはこれから何をすればいいんだ」
「『百合の乙女』の皆さんには家事---掃除、洗濯、炊事をお願いします。
給料については別途相談させてください。第一分隊の方々は特には---」
「俺たちは給与はいらないぞ。軍から支払われるからな。何か手伝えることがあれば言ってくれ」
「ありがとうございます。何かありましたらばお願いすることとします」
「---俺たち、いらないんじゃね?」




