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2度目の転生に関する報告書  作者: トール
第三章 領主編

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第70話 イスファ子爵との面会

イスファ子爵家応接室。そこには、トールたち四人が腰掛けている。


「ようこそおいでくださった、男爵予定者殿と男爵夫人予定者殿。いや、ドラゴンバスター殿と三聖女殿というべきかな」


そこに入ってきた壮年の男性と女性。

トールは立ち上がり礼をする。クレアたち3人はカーテンシー。


「初めまして、子爵様、子爵夫人様。イスタン領領主予定者のトールです。

 こちらにおりますのは私の婚約者です」

「第一夫人予定者 クレアでございます。トールが成人するまでの間、代官を務めさせていただきます」

「第二夫人予定者 ティナでございます。よろしくお願いします」

「第三夫人予定者 ユメ」

「これはこれはご丁寧に。イスファ領主カイナン・イスファです。こちらは私の妻」

「エレアノール・イスファです。よろしくね」

「ご返礼、ありがとうございます。また、本日はご多忙の中、お時間をいただきましたこと改めてお礼申し上げます。イスタン領着任にあたり、隣領主でありますイスファ子爵様に是非ご挨拶をと思い、参上した次第です。こちら、つまらないものですがお近づきの品としてご笑納いただければ幸いです」

「ほう、お、これは。グラノール産のワインではないか」

「はい。子爵様はワインにご造詣があると伺いましたので」

「こちらは、子爵夫人に」

「あらあら、まあ、なんて素敵なレースショールでしょう。ありがたく使わせていただくわ」

「男爵予定者殿、いや、トール殿と呼ばせていただこう。これからは王国貴族として、そして辺境伯寄子としての同輩になる。よろしく頼むぞ」

「ありがとうございます」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「さすがに、少しは気の毒になるな」

トール達が帰居した後、子爵が夫人に話しかける。

「そうね、あの子たち、あんなに目をきらきらさせて『領地開発、がんばります』って言ってるけど---」

「ああ、ドラゴンバスターだか聖女だか知らんが、所詮領地経営については素人。そもそもイスタンは条件が悪すぎる。特に、あの山脈越えをしないとならないのはな」

「でも、辺境伯家宰様が支援をしたという噂がありますよ」

「それが家宰殿の悪辣、もとい、狡猾なところだ。支援をしているふりをして 借金を背負わせようとしているはずだ。それにより、トールたちを自分の支配下に置くつもりだろう」

「このことをあの子たちには---」

「言っても無駄だ。もう家宰殿の罠にはまっている。それに、こちらが下手に動くと家宰殿からの報復があるかもしれん。イスファ子爵家として得になることはない」

「じゃあ、あの子たちは放置で?」

「そうだな。金のかかる支援はしない。どうせ無駄になるからな。子爵家も手元不如意だということにする。金がかからないことであれば、少しは協力をしよう。

 噂通りの魔術の使い手であれば、下手に当家に反感を持たれても困るからな」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


それからおおよそ一か月後、子爵家への来訪者。

今回はトールとクレアのみ。ティナとユメの姿はない。

「お時間をいただきまして恐縮です。子爵様、子爵夫人様。今回は確認させていただきたいことと、お願いしたいことがありまして」


今回、口火を切ったのはトールではなく、クレア。なお、トール、クレアとも少々やつれている様子。

「クレア殿、そうかしこまらなくてもよろしい」

「そうですよ、クレアさん。私たちとあなたがたの仲ではありませんか」

「そのようなお言葉をいただきましたこと、感謝いたします。実は、このたび、イスタン領で狩猟しました魔獣の魔石を貴領の商人に売却に来たのですが---村の者から、今までも魔石を売らせていただいたと聞きまして」

「ほう、ドラゴンバスター殿と三聖女殿のことだ。さぞかし多くの魔石を得たのではないか」

「とんでもございません。人手が足りず、売却できる魔石は例年よりわずかに多い程度のもの。ただ、イスタン領が売らせていただくものは魔石ぐらいしかなく---。これを例年どおり、直に商人に売らせていただいてよろしいかをご確認させていただきたく」

「ふむ、クレア殿は関税のことを気にされているのかな」

「はい、そのとおりでございます」

「本来は関税をかけるところだが---従来も直接商人に売っていたとのこと。特別に許すこととしよう」

「感謝申し上げます。それで、厚かましいお願いになりますが、先ほど人手不足と申し上げましたが」

「ふむ」

「貴領にあります冒険者ギルドから人を雇いたいと考えておりますが---なかなかなり手がなく」

「う~む。何かの力にはなりたいがな。これは冒険者ギルドと貴家の話になってしまう。当家が関与するのは難しい」

「---承知いたしました。それでは、再度、冒険者ギルドにかけあってみます」

「ああ、すまんがそうしてくれ。少々お疲れのようだが、領地経営は如何か」

「慣れないことですので、なかなか思うようにはいかないのが正直なところです。特に山脈越えが---物資を搬入しようとしても限度がありまして---それで、最後のお願いになりますが、山の麓に宿泊できる建物を立てさせていただきたく。どうしてもテントでは---特に雨の日には」

「ああ、かまわん。なかなか大変そうだががんばってくれ。当家としても貴家を支援したいところだが、実は当家も台所が火の車でな」

「いえ、お気持ちだけでもありがたく存じます」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「クレアさんは、状況を認識しているようね」

「ああ、さすがはクレア殿、いや、イズミール伯爵家長女、ミリアム・イズミール殿だ。あの領地ではどうにもならないこと、既に感づいている様子だ」

「---クレアさんについての噂、本当なのですか」

「私も疑っていたがな。クレア嬢が持っていたレイピアを見て確信した。あれは間違いなくイズミール伯爵家の紋章。つまり、クレア嬢はミリアム・イズミール嬢だ」

「それでは、イズミール伯爵家からの支援があるのでは?」

「いや、公にはミリアム嬢は死去されていることになっている。以前の代替わり、あれは単なる代替わりではないという噂もある」

「そうでしたの。それでトールさんは、まだ状況を把握しきれていない」

「あの年齢だ。しかたあるまい。本当は傷が浅いうちに手をひいたほうがよいのだがな。いずれにしろ当家の方針に変わりはない」

「はい、金銭のかかる支援はせず。それ以外のことは多少の融通はする、ということですね。それじゃ、クレアさんに励ましのお手紙でも書こうかしら」

「ああ、そうしてやってくれ。当家の印象がよくなることで損はない」


すみません、69話と70話の順番を間違えて投稿してしまいました。

9/7 18:08 修正しました。


<本来の後書き>

あ~あ、関税を設けない言質を与えてしまったぜ。

領民の移動についても、実質的に認めてしまったぜ。

それに、イスファ北山脈の実行支配も実質的に認めてしまったぜ。

し~らないっと。





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