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2度目の転生に関する報告書  作者: トール
第三章 領主編

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68/124

第68話 出発前の会話

辺境伯領第一中隊応接室


イスタン出発前のトールたちは、辺境伯の好意により第一中隊の宿舎に宿泊し、イスタンへの出発準備を進めている。

今般、トールへの来客があるということで、第一中隊の応接室を借りている。


「端的にお聞きするが」と、貴族の男。年齢は30歳の半ばか。

「トール男爵予定者殿、貴殿のお母上は『暁の星』のナオ殿との話を伺ったが、それは誠か」

「どこからそれを---」

「軍の関係者からだ。だが、確たるものであるとは聞いていない。それで、どうしても確認したく本日伺った次第だ。ひょっとすると私は君の---」


「エノク・ソンダルク子爵様」とトール。

「私の冒険者スカウト技術は母から受け継いだもの」

「おお、やはり---」

「実の父について、母からは、とある貴族家に連なる方と聞いております」

「それでは!トール殿。いや、トール。君の父親は間違いなく---」


「しかしながら!」とトールが叫ぶように言う。

「子爵殿、今の私はイスタン男爵予定者にしてシバス孤児院の孤児!それ以上でもそれい」

「トール様、その先を言うのは危険です」とクレア。

「---シバス孤児院、か。そうであったのか」

「はい」

「それでは、これ以上は---」

「申し訳ありません」

「いや、申し訳ないのはこちらだ。君と君の母親に苦労をかけさせてしまったようだ」

「子爵殿、ひとつお願いがあります」

「何なりと」

「ハグしていただけませんか、私のことを」

「お、おお。もちろんだとも」


トールは子爵の胸に顔を埋める。子爵はトールを優しく抱きしめる。

「---父上」つぶやくトール。

「うっ!」口元を手で覆い、むこうを向くクレア。肩が震えている。嗚咽を

こらえているのか。

しばらくした後---

「---大変失礼をいたしました」

トールが子爵から離れる。ややうつむき加減。

「いや、とんでもない。今日は君に会えてよかった。トール、いや、トール・イスタン男爵予定者殿」

子爵が居住まいを正して続ける。

「私は、いや、ソンダルク子爵家はイスタン男爵家に対して可能な限りの支援を行う。このことを家名に掛けて誓う!」

「あ、ありがとうございます」深々と礼をするトール。少し肩が震えている。


「それでは今日はここで失礼する。何かあったならば、いや、何もなくても、我が領を訪ねてきてほしい。息子を紹介したい。君より少し年下だ」

続けて、君の弟だ、とトールに聞こえるか聞こえないかの声でつぶやいた。

「はい、機会がありましたらば---いえ、何とか機会を作りますので是非とも」

「ああ、楽しみにしている」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「え~と。これで三人目と。いや~、子爵ご本人か。三人のうち一番の大物だな。今度、お小遣いを貰いに行こうかな」

「トール様、迫真の演技でしたね」

「いや、実はちょっと笑いそうになっちゃって」

「あの、『父上』と言ったところですよね、実は私も」

「姉上もですか。今度から少し気をつけないと」

「今度---まだ、ありますか?」

「どうだろう、我が母親ながら、なんといっていいのか---尻軽というか」

「恋多き方」

「そう!恋多き人だからなあと。あと2~3人は出てきても不思議じゃないと思うよ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「今度の方は、ヒラム騎士爵様。グルタ男爵家の次男だそうです」

「男爵家の次男、か。援助は期待できないね。簡易バージョンでいこう」


「初めてお目にかかります、男爵予定者殿。私、騎士爵位を拝命しておりますヒラム・グルタと---」

「父上!しかしながら、今の私は(以下略)」


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