第60話 報告書(小隊副官の備忘録3)
4月12日
7:00 スタンピート第一波到来。
・敵勢力
ゴブリン200~300
*注:数値は第一小隊での対応数、第一中隊での対応数は約4倍、第一大隊での対応数は、さらにその4倍程度と想定される。
・当方被害
なし
・対応
クレアならびにティナの『ふたりがけ』数回ならびに弓攻撃にて対応。
なお、槍での攻撃を行うまでもなし。 8:00前後に敵勢力を撃退。
・特記事項
1)クレア・ティナは北門付近、すなわち第一小隊防御範囲のみでの攻撃を実施。魔力節約のためとのこと。
2)トールは攻撃に参加せず。
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「こんなもんですかね。結構、余裕で撃退していますが」とトール。
「緒戦のうちはな。数は多いが所詮雑魚だ」とロトが応える。
「やはりオークとオーガが問題ですか」
「オークはなんとかなる。弓での攻撃も有効だ。複数本を当てる必要があるがな。問題はオーガだ」
「弓は通じない?」
「ああ。槍でも結構しんどい。まあ、全く通じないというわけではないがな」
「ではどうやって」
「そこにある飛び道具、バリスタというのだが、それで攻撃する。あとは魔術親衛隊の攻撃魔法だ」
「なるほど」
「ただなあ、最後に大物が出る。一匹だけだがドラゴンだ。毎回、そいつに門を破られて町と兵に被害が出る」
「ドラゴン---いったいどうやって倒すのですか」
「バリスタと攻撃魔法だ。ああ、町に入られたらば可動式バリスタを使う。魔術による攻撃は、魔術親衛隊だけでなく冒険者の魔術使いも参加する。幸いドラゴンの動きはさほど速くないからな。まあ、ちまちまと攻撃をあてて力を奪っていくという方法だ。
勝負は門が破られるまでに、どれだけオーガとドラゴンに被害を与えられるかだ」
「なるほど。では姉上とティナもオーガが出てくるまで魔力を温存すべきですか」
「ああ。今までのパターンでは、ドラゴンが出てくるのは2日目の昼から夕方にかけてだ。そこが勝負どころとなる」
「わかりました。オーガが出てきたら、僕も攻撃に参加します」
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9:00 スタンピート第二波到来
・敵勢力
ゴブリン200~300、魔狼50程度
・当方被害
なし
・対応
『ふたりがけ』数回ならびに弓攻撃にて対応。なお、槍での出撃を行うまでもなし。10:00前後 敵勢力を撃退。
11:00 スタンピート第三波到来
・敵勢力
ゴブリン200~300、魔狼50程度、オーク50程度
・当方被害
なし
・対応
1)『ふたりがけ』数回ならびに弓攻撃、槍攻撃
2)オークが門にとりつく。格子状の門の隙間から槍での攻撃を実施し、12:00前後、敵を撃破。
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「皆さん、矢の補給と食事です」トールが『格納』から矢と食事を取り出す。
「おお、ありがたい。指揮官殿、ありがとうございます」と第一分隊長。
「いや、指揮官は---もう、勘弁してください」
「いえいえ、トール殿は鬼の指揮官ですからな。あのときのうらみ---もとい、ご恩は決して忘れませんぞ」
「いま、恨みって言いましたか?」
「どんでもない。あのときの罵声は一生忘れるもんかなどとは思っていませんぞ」
第一小隊員から笑い声。笑い声に混じり、思ってないぞ、とか、忘れることにしたぞ、との声が飛ぶ。
「では、そんな皆さんにプレゼントがあります。僕からではなく、ユメからです。ユメ、お願い」
「ん。(エリア・ヒール)」
ユメは中級白魔術「エリア・ヒール」を発動。第一小隊員の疲労が一気に吹き飛ぶ。
「これは---すごい効果だな」とサムエル小隊長。
「ちょっと贅沢な使い方ですけどね。負傷者が出始めたらばそっちの治療に魔力を使うことになるので、まあ、今だけの特別サービスです」
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17:00 スタンピート第六波到来
・敵勢力
ゴブリン200~300、魔狼50程度、オーク50程度、オーガ10程度
・当方被害
なし
・対応
1)『ふたりがけ』、トールのストーンバレットならびに弓攻撃、槍攻撃。
2)オークが門にとりつく。格子状の門の隙間から槍での攻撃を実施、これを撃破。
なお、オーガは門にとりつく前にトールのストーンバレットで無力化。 18:00前後、敵を撃破。
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「第一大隊、撤収!第二大隊に引き継ぐ!」
「よし、第一中隊撤収だ。トール、クレア、ティナも下がれ」とロト。
「大丈夫ですかね」とトールがロトに話かける。
「夜間はスタンピートの攻撃頻度が下がるからな。それに魔術親衛隊が出動してくれる」
「夜間にですか。よく承知してくれましたね」
「ああ、クレア達の魔術と比べられたくないのだろう。快く引き受けてくれたぞ。いずれにしろ決戦は明日だ。それまでに魔力回復をしておいてくれ」
「了解です」




