第15話 開拓村8
「サブロー、いや、トール。あんた、一体何者だい」
トールの興奮がようやくおさまった時、ナオさんがこう投げかけた。
「習ってもいない魔術が使える。それも七歳とは思えない腕前だ。どうしてそんなことができるんだい」
「うむ、さらに言えば7歳児の思考ではないな。論理的に物事を考えている」とトーマスさん。
「---」
「正直に答えないと親子の縁を切るよ」
「いや、親子じゃないんだけど」
「何だって!」
「はい!母上。正直に答えますので是非とも見捨てるような真似はご容赦いただきたく」
「じゃ、言ってみな」
「僕は生まれた時から、前世の記憶を持っています」
「なんだって、そんな馬鹿な話が---」
「なるほど。そう考えれば理屈は合う」
トーマスさんが、ふむふむとうなずきながら会話に参加する
「いわゆる『転生者』というやつだな。私の知る限り、過去3例が記録されている」
「ご理解いただき、感謝申し上げます。義父上」
「うむ」
「転生者---前世の記憶があるから魔術を使えるということかい」とナオさん。
「はい、そのとおりです母上」
「ということは、前世で魔術を使えた---前世ではお貴族様だったということかい」
「前世では平民でも魔術を使える者がおりましたが---僕は貴族の家に生まれました」
「男爵家か、子爵家か」
「いいえ、義父上」
「伯爵家か」
「こちらの世界でいうところの辺境伯に該当するかと」
「念のために聞くが、辺境にある伯爵家ということではないな」
「非常時には周辺の伯爵家騎士団を指揮命令下に置いておりましたので、辺境伯ということでよろしいかと」
「ふむ---」
「辺境伯様と言ったら、上級貴族じゃないかい。それが何で小作の三男に---」
「さあ、それは僕にもわかりません。気が付いたらば三男だったとしか」
「男だったのか」とトーマスさん。
「男でした」
「何番目だ」
「は?」
「長男だったのか、次男だったのかと聞いている」
「長男---一応、嫡男でした」
「てことは、トール、お前は辺境伯様だったのかい」
「いいえ---故あって、辺境伯にはなりませんでした」
「ということは、廃嫡されたということか。なぜ、廃嫡された」
「いえ---その---」
「じいさん、本当にあんたはデリカシーのない。そんなことを問い詰めるもんじゃないよ。トールや、話したくなければ話さなくていいよ」
「いや、あのう---」
「とにかくこの話はいったんおしまいにするよ」
「---」
「トール、つらかったろうね」
ナミさんが目に涙をためながらトールを見つめる
「---はい」
別に廃嫡されたわけではなく、つらかったわけでもなかった---とは言い出せないトールであった。




