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2度目の転生に関する報告書  作者: トール
第四章 ロマ帝国との戦い

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第120話 ロマ軍無名兵士の証言

あるロマ軍無名兵士の証言


ああ、その時、俺は負傷してアフラ平原入口付近の救護所にいたんだ。

救護所といってもただ負傷者が集まっていただけだ。

治療師はいない、看護兵もいない。

テントもない。

食い物もない、水もない。

そう、俺は---俺たち負傷兵は見捨てられていたんだ。


聖女様のご神託のとおりに星が落ちた後、俺たちはタブリに向けて逃げ出したんだ。

最初のうちは分隊の仲間と行動していたんだが、途中ではぐれてしまった。

いや---はぐれたんじゃないな。見捨てられたんだ。

俺はアフラ平原入口の迂回行動中に足をひねっていたんだ。

大した怪我じゃないが歩みは遅くなる。

そうしたら分隊長が、俺たちは先に行く、お前らは後から追いかけてこい、と言って、俺とバディを置いていってしまったんだ。


それでも何とかアフラ平原入り口近くまでたどり着いた。その時に、あいつらに襲われたんだ。

あいつらは誰かって? ロマ軍兵士さ。1個分隊ほどの兵が俺たちを取り囲んで、糧食を寄越せって言いやがった。

冗談じゃない、こっちの糧食もあとわずかだ。お前らに渡す糧食はないって言ってやったさ。

そうしたら、俺のことを槍で突きやがったのさ。胸をやられた俺はその場に倒れてしまったんだ。

それを見たバディは何も言わずに、あいつらに荷物を渡したんだ。

あいつらは俺とバディの荷物を奪い取って去って行ったんだよ。

バディはしばらく倒れている俺を見ていたが、無言で立ち去ったのさ。

そう、俺はバディからも見捨てられたんだ。


胸当てに遮られたおかげで、胸の傷はさほど深くはなかった。それでも出血は続いていたがな。

俺はなんとか救護所までたどり着いたんだが---

救護所は負傷兵が寝転がっているだけだった。地面に直接、何百人・

何千人の負傷兵が寝転がっているだけだった。

治療師はいない、看護兵もいない。

テントもない。

食い物もない、水もない。

ただ、負傷兵だけがそこに寝転がり、死ぬのを待っていただけだった。

俺もそこに倒れ込んだ。意識を失ったのさ。


そこにどのくらいの間いたのか覚えていない。

何日もいたような気もするし、一昼夜しかいなかったのかもしれない。


賛美歌が聞こえたのさ。

歌声の方を見ると天使様が、天使様がたが、朝日を浴びながらこちらに歩いて来られたんだ。

ああ、美しい天使様がお迎えにきてくれたんだ、と思ったよ。

銀髪の天使様が何やら祈りを捧げたんだ。そうしたら、俺の体が温かい何かに包まれた気がしたね。

胸の傷は治っていた。

俺だけじゃない、辺り一面にいた者たちの傷も治っていたんだ。

そうとも、銀髪の天使様は『氷の聖女』ユメ様で、天使様がたはシバス衛生隊の方々だったんだ。

でもな---

俺はユメ様と衛生兵の方々は天使様だと思っているんだ。

あれだけの数の負傷兵を、それも敵の負傷兵を癒やしたんだ。

神の御印だとしか、考えられないだろう?

いや、ユメ様は天使様ではなく女神様なのかもしれないな。


それからのこと?

知っての通りさ。炊き出しで体力を回復した後、シバス軍に護衛されながら

タブリに戻ってきたのさ。

ああ、そう言えば---

行き交うシバス軍の兵士様たちは、必ず俺たちに声をかけてくれたな。

がんばれ、もうすぐタブリだ。タブリまで戻ればロマに帰れるぞ、って。

大丈夫だ、ロマに帰れるぞ。家族のもとに帰れるぞって。

俺たちは、そんな方々を異端だといって滅ぼそうとしたんだぜ。

そりゃ、神はお怒りになるさ。


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