↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2度目の転生に関する報告書  作者: トール
第四章 ロマ帝国との戦い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
109/124

第109話 イスファ幕府会議

王歴34年(帝国歴1195年)4月


イスファ幕府会議室


「ロマ帝国はカタゴ諸国をはじめとする対立国と相次いで停戦もしくは休戦を実施。それにより確保した兵をタブリに集結中。その数は、15万と推定されます」

「---15万、か」

ティナの報告に対して誰かがポツリとつぶやく。他の者は沈黙したままだ。


「また、先日にロマ帝国からシバス教会に対して異端認定の通知があったとのことです」

「異端認定?どういうことだ?顧問殿、わかるか?」

「はい、説明させていただきます」


応じたのはD君ことフェリシア・ドラクロア・イタン。夫のハドリアン・イタンと共にイスタン・イスファに亡命した元ロマ帝国少佐である。

亡命当初、ハドリアン・イタンに顧問就任を要請したところ、「考えるのはこいつの役目」といい、その席を譲られた。


「ご承知のとおり、ロマ教は他宗教に寛容であるとし、税さえ払えば信仰の自由が認められております。また、異教徒がロマ教に改宗することも全く問題なく行われています。

 しかしながら、異端については別です。

 異端の教会関係者は全員が処刑され、また、異端に関わった支配者層についても処刑される。

 異端に関して、寛容性は全くありません」

「すると、この場にいる全員が処刑されるということですか」

「はい。私と夫も含めた全員が処刑されます。

ところで、異端とされた理由についてご存じですか」

「神は唯一無二の存在であり、トイレの神などいない。神を、それもよりによってトイレの神を創るとは、神に対する著しい冒涜である。よって、ロマ教シバス派について異端認定する、とのことです」

「あ~」

「わ、私は神とは言っていないぞ。天使と言ったんだ。それをカナとかいう吟遊詩人が女神として歌い上げたのだ」

「そのような主旨で釈明すべく、シバス教会の神父はロマに赴くとのことですが」

「無駄です。シバスのロマ教は土着宗教の影響を大きく受けており戒律も緩い。トイレの神以外にも異端認定をする材料はいくらでもあります。

 そもそも一旦異端認定をされて、それが取り消された例は皆無です」

「ということは、講和はもちろんのこと、降伏も許されないということか」

「そのとおりです。ロマ帝国は本気でシバスを潰しに来ています」


「まあ、異端認定があろうがなかろうが、負けるわけにはいかないということに変わりはない」とサムエル。シバス軍の最高司令官を務めている。

「問題はどのように戦うかだ。ジャック、何か考えはあるか」

サムエルがシャック・クリーフ中将に考えを問う。


「オーソドックスに考えればアフラ平原入り口の狭隘地に防御線を引き

 敵を撃退する、ということになるのでしょうが、まあ、ダメでしょうな。

 敵は15万。防御線を大きく迂回してアフラ平原に侵入するだけの戦力がある」

「では、前回と同様にアフラ平原で会戦を挑むというのはどうか」

「敵方15万に対して我が方は1万。現状のムラタ銃の弾薬装填速度では敵の突撃を 阻止できませんね」

「それでは38式を配備するというのは」

「弾薬が持ちません。第二次アフラ防衛戦で空挺に38式を配備しましたが、

 ムラタ銃と比較しておよそ5倍の弾薬消費量となりました。

 主要部隊に38式を装備させたらば、あっという間に弾が尽きます。

 いや、弾は作ることは出来るのですが、火薬、具体的には硝石が全く足りません」

「ティナ殿、『空気から火薬を作る』という装置が完成したと聞いているが」

「完成しましたがあくまでもプロトタイプです。生産量はたかが知れています」

「だが、その装置を複数作れば」

「無理です。あの装置で最も重要なのは高い圧力に耐えること。

 鉄では圧力に耐えられないため、装置の主要部分にはミスリルを使用しています。

 もう一基の装置を作るために必要なミスリルをかき集めるだけでも5年はかかります」


「原点に戻って考えよう。そもそも大軍の弱点は何か。それは補給が追いつかないということだ」とサムエル。

「敵の補給を断つ、ということですか。楊先生が好むやり方だ」とトール。

「は、楊先生とは?」

「顧問殿、気にしないでいただきたい。時々我が主はわけのわからないことを

 つぶやくことがある」とクレア。

「はあ---」

「まあ、一番効果があると思えるのは焦土作戦ですね。

 できるだけ敵を懐に引き寄せ敵の補給線を長くし、そこを空挺等で叩く。

 一方でイスファ周辺の村と農地は焼き払い敵に補給させない。

 我が軍はイスファに引きこもり敵の補給が途絶えるまで粘る」

「私もクリーフ中将の考えに賛同します」とフェリシア顧問。

「現実的な対応方法はそれ以外には考えられません。ただし、タブリとイスファの距離が比較的近いことが気になります。タブリ・イスファ間は馬車で5日の距離。ロマ帝国もこの補給には相当気を使うでしょう。

 敵の補給路を頻繁に叩くこと。そして何よりも徹底した焦土作戦を行うこと。これが、この作戦の肝要となります」


「焦土作戦---か。やりたくはないが致し方なし、か。トール、これでどうだ」

「う~ん、ちょっと嫌ですね。焦土作戦は。仕方ない。これはやりたくなかったのですが」

「---やはり焦土作戦を」

「いえ、焦土作戦を行っても敵の補給路は保たれたままです。顧問殿の指摘どおり、タブリ・イスファ間の距離が短いため敵の補給はそう簡単には潰せない。であれば---」

「タブリを潰す」ユメが小さな声でつぶやくように言った。

「そのとおり。タブリを、地図上から消します」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。