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人斬りの自分を4

 近づいていくと、数人の男は手に刀を持っている。

 どうやら男女を襲っているようだ。

「辻斬り……か」

どうするか?あれくらいのチンピラなんて一蹴できるけど、助けた男女に顔を見られるのはまずい。

 事が終わるまで隠れて待つかともおもったが、もし見つかればめんどうなことになる。

 凛子は遠回りになるが、回り道しようとキビスを返した。

「やめてくれ!」

男の叫び声がした。

 その声を聞いて凛子は血の気が引いた。

「頼む!こいつだけはやめてくれ!」

もう一度よく見たが、男の顔までは暗くて見えない。

「この……声」

凛子は耳を傾ける済ませた。

「バカかお前!お前がどうでもいいんだよ」

「俺たちが用があんのは後ろの女!」

「そうそう!女女!」

チンピラどもの下衆な言葉ばかり聞こえてくる。

 さっきの奴らといい、こいつらといい、今日は下衆な男の日だと思った。

「逃げろ!逃げてくれ!」

男は必死に女を庇っているようだ。

が、次の瞬間、

「ぐあぁぁぁ!!」

男の悲鳴が響いた。

「いやぁぁぁぁ!!」

ついで女の悲鳴。

 男が斬られたのか?

 見ると地面にのた打ち回っている。

 斬られたのか、あんな奴らに……。

「こいつうるせぇ」

「殺しちまおうぜ」

チンピラの1人がのた打ち回る男に刀を振りかぶった。

 凛子は仕込み杖を構えて抜いて走りだした。

「なんだ?」

下駄の音にチンピラどもが一斉にこちらを向く。

「女?」

1人がそう言ったと同時に仕込み杖を抜き打ちに1人の喉を斬った。

「はぁ!?」

「なんだお前!?」

騒ぎ出すチンピラ。

 しかし凛子の刃はチンピラどもに一歩も動く間さえ与えず、一瞬で全員を斬り伏せた。

「え!?えええ!?」

女がその様子におののいている。

 凛子が視線を向けると

「ひいいぃ!や、やめて!来ないで……来ないで……許して………」

女の怯え方を見て、そういえば自分が今返り血まみれになっていたことを思い出した。

「大……丈夫ですか?」

「え?」

「何もしません。あなたたちを助けに来ました」

「助けに……?」

女の目からポロポロと涙がこぼれた。

 それまで気を張っていたのか、1度涙が出ると子供のようにワンワン泣き出した。

 めんどうだな……。

 凛子は泣いてる女に構わず、いつの間にか倒れたまま動かなくなっている男を見た。

 右腕がない。

 周囲を見渡すと倒れているチンピラどもの死体に紛れて右腕が落ちていた。

 凛子はそれを拾い上げて、男のほうを見た。

「こんな奴らに腕を斬られるなんて……そんなことだから……」

 女は男にすがりついてまだワンワン泣いている。

 凛子が男の鼻に指を当てると、まだ息をしていた。

「まだ生きてますね」

「え?え!?」

うろたえる女を無視して、自分の小袖を確認する。

 全身返り血で血まみれだ。

 小袖を脱いで、肌襦袢も脱いだ。

「な、何を?」

目の前でいきなりさらしと腰当て1枚になられて女は目を伏せた。

 幸い肌襦袢にまでは血が染みていなかった。

 凛子は肌襦袢で男の腕を丁寧にくるみ、男にすがりついている女の手を取った。

「これを!切断面を絶対に触らないようにしっかり持って!」

「は、はいぃ……」

女はガタガタ震えながらもしっかりと胸に抱えた。

 凛子はまた血まみれの小袖を着ると、男の着物の袖を切り切断された箇所を縛った。

 男を背負い

「医者に見せます。その腕を持ってついてきてください!」

 そう言って、男を背負って走りだした。

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