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緑の恋――あるカナブンの話  作者: Kentarou Tou / Kentarou Theater


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第九話「最後の飛び方」


ある朝、飛んだ。


そのものが、飛んだ。



見ていた。



高く飛んだ。


光の中を飛んだ。


夏の最後の光の中を、飛んだ。



きれいだった。


最初に見た時より、きれいだった。



自分も飛んだ。


後を追った。



並んで飛んだ。


光の中を、並んで飛んだ。



木が見えた。


川が見えた。


山が見えた。



高いところから、全部が見えた。



そのものが、降りた。


木に降りた。


自分も、降りた。



並んで、降りた。



息をした。


そのものも、息をした。



並んで、息をした。



(第九話 了)

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