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緑の恋――あるカナブンの話  作者: Kentarou Tou / Kentarou Theater


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第五話「雨が来た」


雨が来た。


葉の上に、雨が当たった。


音がした。



木の下に入った。


葉の陰に入った。



そのものも、来た。


同じ葉の陰に来た。



狭かった。


しかし、二つで入った。



雨の音がした。


葉に当たる音がした。



そのものが、こちらに体を寄せた。


寄せてきた。



寄せ返した。



雨が続いた。


二つで、葉の陰にいた。



甘い匂いがした。


そのものの匂いだった。


木の汁の匂いに似ていた。


しかし、違った。


もっと好きな匂いだった。



雨が止んだ。


葉の陰から出た。



並んで、出た。



(第五話 了)

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