カゴの中の相棒と、偽りのシーサイド
投稿者:みつる 2026年5月1日
作ったぜ。
今日はセロリを連れて、海風を感じに外へ出た。
世間の飼い主どもは猫を家の中に閉じ込めて満足しているようだが、おれは違う。自由を愛する男の相棒なら、猫だって外の世界を知る権利があるはずだ。
おれの愛車のカゴにセロリを乗せると、あいつは意外にも落ち着いた様子で、前足を行儀よく揃えて座る。どうやらおれと同じで、動かずに移動する快楽を早々に理解したらしい。
「いいかセロリ、これが神戸の風や。バリの波には及ばんが、悪くないやろ?」
おれはパンパンに張った二頭筋でハンドルを握り、ゆっくりとペダルを漕ぎ出す。
カゴの中からセロリが「ニャー」と短く鳴く。それはまるで、おれの細い脚の回転効率を笑っているようにも、あるいはこの平穏な寄生生活を祝福しているようにも聞こえた。
すれ違う主婦たちの視線が、おれの逆三角形の背中と、カゴの中で揺れる毛玉に注がれる。
彼女たちはきっと、おれのことを「最先端のライフスタイルを謳歌する男」だと勘違いしているに違いない。まさかそのカゴの中に、特売の鶏むね肉と、他人の金で買った猫砂が同居しているとは夢にも思うまい。
自転車を走らせている間だけは、おれはこの街の波を乗りこなしている、無敵のサーファーになれるんだ。
【コメント欄】
匿名サーファーA: 散歩させてるのは猫じゃなくて、お前の「見栄」だろ。カゴの中の猫の方が、よっぽど堂々としてるぜ。
琴音(?): 自転車のカゴ、猫の毛だらけにしないでね。あと、セロリに外の空気を吸わせるのはいいけど、逃がしたらあなたの「経済的スクワット」をフルマラソン分に増量するから。




