嫌われ者のセロリと、毛玉の温もり
投稿者:みつる 2026年4月29日
やったぜ。
紆余曲折あったが、ついに猫の飼育許可が下りた。おれの必死のプレゼン(と、自慢の大胸筋を震わせて流した嘘泣き)が、冷徹な琴音の心をわずかに動かしたらしい。
名前は「セロリ」にした。琴音のやつ、野菜のセロリは親の仇のように嫌っているくせに、猫のセロリには「あら、可愛いわね」とデレデレしやがって。猫の魅力は、おれの上半身のバルクを凌駕するということか。
セロリはおれによく懐いている。
おれがベッドに入ると、当然のように潜り込んでくるんだ。薄汚れていた毛並みも、琴音の高級シャンプーを勝手に拝借して洗ってやったら、今ではシルクのような手触りだ。
逞しいおれの胸板の上で、セロリが丸まってゴロゴロと喉を鳴らす。あぁー、たまらねぇ。
この小さな鼓動を感じていると、自分の足がひょろひょろであることや、財布の中身が空っぽであることなんて、どうでもよく思えてくる。おれは今、この瞬間、一匹の命を守る「城主」になった気分だ。
「いいか、セロリ。おれたちは二人で一つのチームや。琴音が機嫌を損ねたら、お前がニャーと鳴いて、おれが腹筋を見せつける。これでこの家は安泰だ」
腕の中に収まる毛玉の重みを感じながら、おれは明日もまた、特売の鶏むね肉を買いに行く決意を固めた。
【コメント欄】
匿名サーファーA: 猫は「獲物」を捕まえてくるが、お前が持ってくるのは「琴音のカードの明細」だけだな。
琴音(?): 猫の名前がセロリなのは、いつか私が克服できるようにっていう、あなたの配慮だと思っていいのよね? あ、セロリのトイレ掃除をサボったら、あなたもベランダで寝てもらうから。




