表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作ったぜ  作者: 水前寺鯉太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/20

光る画面、あるいは誠実の証明


投稿者:みつる 2026年5月15日

 作ったぜ。

 ……いや、今回は「勇気」を振り絞って作った。

 セロリが残した「洗礼」の跡を洗い流し、ようやく平穏な朝食が始まった時のことだ。テーブルの上に置いていたおれのスマホが、震えるように光った。

『みつる、昨日はごめん。また二人でバリの波、追いかけないか? 連絡待ってる』

 画面に浮かび上がった、あの元カレからのメッセージ。

 一瞬、おれの心に甘い潮風が吹き抜けた。ここを飛び出せば、またあの輝くような太陽の下に戻れるかもしれない。今の惨めな「小鹿の脚」を隠して、ただのサーファーとして笑えるかもしれない。

 向かい側では、琴音が無言でゴーヤチャンプルーを口に運んでいる。

 おれの二頭筋が、スマホを隠そうと無意識に動いた。だが、おれは止まった。ここで隠せば、おれは一生、あの「アンバランスな化身」のままだ。

「……琴音。これ、見てくれ」

 おれは震える指で、スマホを彼女の方へ差し出した。

 画面を覗き込む琴音の瞳。その静かな海のような瞳が、おれの全存在を見透かすように動く。

「……へぇ。バリの波ね。今のあなたのその脚で、ハワイならぬ『這い』上がれると思って誘ってるのかしらね、彼は」

 彼女は鼻で笑い、おれにスマホを突き返した。

「返事は自分でしなさい。ただし、もし行くなら、セロリのエサ代一年分を前払いで置いていくこと。いいわね?」

 おれは、何も言わずにメッセージを削除した。

 バリの太陽よりも、今目の前にある、少し焦げたゴーヤの苦味の方が、おれにはよっぽどリアルだったんだ。

【コメント欄】

匿名サーファーA: 「過去」という波をスルーしたか。お前、少しは「板(心)」の乗り方が分かってきたようだな。

琴音(?): 削除したあとの顔、ちょっと未練たらたらだったわよ。……明日は腹筋五十回追加。過去を振り返る暇がないくらい、自分を追い込みなさい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ