「自白の果て、あるいは真実の重量」
投稿者:みつる 2026年5月12日
作ったぜ。
……覚悟を、今度こそ本当の覚悟を作った。
深夜のリビング。琴音の視線に射抜かれながら、おれはすべてを話した。バイであること、あの元カレと波を追いかけていた過去、そして、それを「男らしいサーファー」という仮面で隠して彼女に近づいたこと。
一文字吐き出すたびに、おれ自慢の大胸筋から力が抜けていく。空気が抜けた風船みたいに、おれはどんどん小さくなっていった。だが、話しているうちに、おれ自身も気づかなかった言葉が口をついて出た。
「おれが、なんでヒモで居続けてるか、わかるか……?」
金が欲しいからじゃない。働くのが嫌いなだけでもない。
おれは、怖かったんだ。
外の世界に出れば、おれは「何者でもない三十五歳」だ。バリで輝く彼のような才能もない。琴音みたいに社会の荒波を乗りこなす力もない。
でも、この家で、君の帰りを待って、君のために不恰好な料理を作っている時だけは……。君に『暑苦しい』と罵られながら、プロテインを盗み飲みしている時だけは、おれは『琴音のパートナー』という、たった一つの居場所を持てるんだ。
「おれは、君の重荷になりたかったんじゃない。君という巨大な波に、ただ、一緒に乗っていたかっただけなんだ……」
気づけば、おれの細い脚はもう震えていなかった。ただ、床にしっかりと、情けなく根を張っていた。
腕の中のセロリが、静かにあくびをした。琴音は何も言わず、ただ、おれの空っぽになった上半身を見つめていた。
【コメント欄】
匿名サーファーA: 最後に選んだ「波」が、彼女の情けだったとはな。だが、本音を吐いたお前の脚は、これまでで一番マシに見えるぜ。
琴音(?): 重荷じゃないわよ。あなたはただの、燃費の悪い「大型犬」みたいなもの。……とりあえず、明日の朝食はゴーヤチャンプルーにして。話の続きは、それを食べてから。




