46話 怒り
「女なのに男のフリなんかするなよ、気持ち悪い!…そんな奴に懐いてベタベタくっついてるヴァルドも気持ち悪い!お前ら異性だろ!?男のフリしてるだけで女なんだろ!?なのにその距離間、どっちも本当に気持ちが悪い!」
「……」
「自分は優しいですみたいな、純粋ですみたいな顔しやがって!悪いと思ったらボクにペコペコ謝って、でも友達になりたいだとか、何様だよ!謝ったから許せって!?悪気なんかなかったから許せって!?許すわけ無いだろ!もう、サイン書いたんだから!戻れないんだから!!」
「…ごめんなさい。あのサインは無かった事にするから」
「そういうのやめろよ!文句を言わせろよ!そんなに謝られたら、そういうことしたら、許さなきゃボクが悪いみたいになるじゃないか!僕は被害者なのに、加害者が反省して誠心誠意謝ったら、それを許さなかったら、許さないボクが悪いみたいじゃないか!?ボクは悪くない、悪いのは全部お前らだ!!」
「うん、僕たちが全部悪いよ」
「だから!!そういうのをやめろって言っているんだ!!耳が聞こえないのか!?お前はもう喋るな!」
「……」
「ヴァルドも!!ボクが怒るのが予想できなかったのか!?できなかったんだろうな、ラディシャにこんなに謝らせるような事をさせる訳がないもんな!!」
「…」
「ヴァルドもラディシャも、本当に頭が悪い!!こうなることを予想できなかったお前らは、馬鹿だ!!本当に馬鹿だ!!
……ボクも、ボクも馬鹿だ。銃弾をキャッチできる騎士なんて、この国にいるはず無いのに。顔をあからさまに隠していたのに。直ぐにサインをねだってきたのに。ヴァルドの思惑通りに動いていたのもわかってたのに!……シエラが良い奴だったから、まあ、こいつの為になる事なら良いかなって思ったボクは、馬鹿だ。…馬鹿だよ、本当に」
「…ルイズは、何が一番嫌だったんだ?」
「…は?」
「嘘ついた事自体が嫌だったのか、ラディシャがお前の嫌いな目立つ奴だった事が嫌だったのか、もっと他の事か」
「……何だろう……何か、多分だけど、この短い間で築いていたシエラ像が壊れてショックだったんだ。人を傷つけるような奴じゃないって思ってたし、…何だろ、シエラに夢見てたのかな。やっぱりボクは馬鹿だな。依存体質なのか?気持ち悪い」
「…契約書は捨てる。すまなかった、ルイズ」
「…いい…」
「うん?」
「捨てなくていい!契約書!」
「はあ?」
「え?」
「ここで働くって言ってるんだ!ボクの寛大な心に感謝しろよ!!」
「いいの!?」
「いい!!働くんだ!!」
「…ありがとう、本当にありがとうルイズ…!!」
「ありがとう!!」
「だが!!ラディシャと友達にはならない!!」
「あ、うん、そうだよね…」
「……まさか」
「うん?"まさか"って?」
「!ヴァルドお前!言うなよ!」
「…まあ、はい」
「??」
―――こいつ、ラディシャに惚れたな?…顔見たからか?それとも性格?女と認識したら惚れたのか
……まあ、俺も大概なんだろうけど。どいつもこいつも
「――キモイいなぁ、ホント」
「?何か言った?」
「…いや、何も」
「…」




