後悔
番外編です。
まぁ、死んだキャラの心情だと思ってもらえれば。
最初はただのいじりのつもりだった。
虐めているなんて微塵も思っていなかった。
ただの暇つぶしにしか過ぎない、そんな憂さ晴らしだった。
なんで、松本と久我を標的にしたのかは、なんとなくだった。
理由なんて思い出せない。
まぁ、久我に関してはどんだけやってもあいつは笑ってた。
だから久我の存在は気が付いたら『虐めてもよい存在』として学校全体が扱っていた。
だから自分もそれに乗じて石を投げた。
クラスメイトも、他のクラスの同学年の人間も。
なんなら教師までもが久我霞を標的にしていた。
皆が皆、久我霞に暴言を浴びせ、暴力を振るった。
水をかけた。学校のベランダから突き落とした。
本当に色んな事をした。
それなのに久我霞は変わらなかった。
あいつはずっと苦しそうな表情を見せなかった。
ただずっと目は虚無なのに、表情としてはずっと笑っていたんだ。
今思えば、それが。その事実がムカついていたのかもしれない。
家族のあれこれや、勉強や部活でストレスが溜まってどうしようもなくなった。
あいつらをいじめている時だけは優越感に浸ってストレスとか嫌なことが吹き飛んでる感覚だった。
特に松本は暇つぶしとしてちょうど良かった。
あの悲痛に虚無に対して助けを呼ぶ声。
そして、あの反抗の意志を忘れ自分達に怯える絶望の顔。
退屈な日々を過ごす中での暇つぶしには正直ちょうどよかった。
それが自分の胸糞でクソみたいな日常を晴らすには都合が良かったんだ。
だから正直、松本が死んだ時も特に後悔の念とかは全く湧く気配がなかった。
松本という暇つぶしが無くなっても日常は変わらなかった。
ただ、標的が一人減っただけだったから。
サンドバッグがまだ1人いたから。
久我霞という名の壊れるところを見たことない無敵のサンドバッグがまだ生きていたから。
それだけだったから。
だから
自分の人生に後悔なんてないって思ってたはずなのに。
血がドクドクと自分自身から流れ出てる感覚。
嗅覚をこれでもかと刺激してくる血の匂い。
爪を強引に剥がされる感覚。
消毒液をかけられ焼けるような痛みが全身を駆け巡る。
首に冷たい刃が当たる感覚。
なんとかできてた呼吸ができなくなっていく感覚。
痛みとともに意識が遠のいていく感覚。
感じるはずないの予定外の感覚がこの短時間で襲ってきた。
それと共に心の底から後悔が襲いかかってきた。
松本を標的にしなければ良かったと。
そしたらこんな形で人生の結末を終えることはなかったはずだった。
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