誰かの夢(番外編)
誰の夢なんでしょうね。
あの時の光景。
あの時と一緒だ。
日常が壊れる。心臓がうるさい。冷静になりたいのになれない。この感じ。
目の前の光景に見覚えしかない。止めるべきなのに。身体が思うように動かない。
「ねぇ。覚えてる?前もこういう状況だったよね。」
「は…?何言って…。前って…」
思考がまとまらない。どういうことなんだ。なんで目の前に弥生がいるんだ。あの時、ここで。この屋上で。目の前で…。踏切が下りる音が遠くから聞こえるはずなのに。この瞬間だけは、うるさいぐらいに脳内に響き渡る。
「私はさ、もう無理だったんだよ。自分の限界なんて知らずに。見て見ぬフリして。それでも、弥雲だけには迷惑かけたくなかったんだよ。」
淡々と自分自身の苦しみを語り始めた。
「わかってるけど!でも、弥生がいなくなったら、弥雲はどうすればいいんだよ!弥雲はずっと…!」
「どうしようか。本当に。言う通りだよ。でもさ、弥雲には標的になってほしくなかったんだよね。それが通じてしまうなら、私が犠牲になる。弥雲だけは幸せでいてほしいんだよ。」
どこか覚悟を感じられる瞳をしていた。もう。やめてくれ。なんで。
「それで、自分を騙し続けてわからなくなってぐちゃぐちゃになったんだろ。そのことを弥雲だけには知られたくないんだろ。でも、きっと弥雲は気づいてるよ。なぁ。弥生。」
必死に訴えかけてみるけど…でも。
「だめなんだよ。あいつらはとことん私のことを追い込もうとしてる。きっとこのまま行けば、弥雲にも影響が出る。私が死ぬまで続けると思うよ。自分を騙し続けても無駄。わかってるはずだよ。あいつらのことだから。」
「それは…」
唇を噛みしめる。それは自分が身を持ってわかっていた。最初からわからされていた。所詮、時間稼ぎにしかならないことも。それでも。
「本当に。強いよね。相変わらず。私よりもひどい仕打ちを受けても。どれだけどん底に落されても。それでも抗おうとしてる。手に入れることなんてできないかもしれないのに。ねぇ。なんで。そんな状況でも私を助けようとしてくれるの。このまま一緒に行けば、終止符を打てたかもしれないのに。」
「それは、弥生も同じことだろ。わかんないんだよ。あの時、弥生を止めるべきだったのか。それが正解だったのか。」
「まぁ。その答えはずっと解けないと思うよ。私の中でも正解がないから。あ、そうだ。弥雲のこと頼んだよ。あの時の私は後悔だけはしてない。と思いたくないな。」
最終ゲーム直前なので、番外編です。
どうこのお話達が絡んでくるのかお楽しみに。
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