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借り物競争

 とうとう始まった借り物競争。

 この学校の1年生は選択した競技のみの参加ではなく、1年生全員が1年生の担当競技に強制参加という形である。

 何レースかに分かれて行われるため時間がかかる。

 足の速い人が後半レース、速くない人が前半レースに配置される。

 僕たち5人はうまく分かれた。

 凛と駿は前半に、僕と茜と亮は後半になった。

 

 まずは凛だった。

 凛はくじを引くと静かにうつむいて考えていたが、その後一直線に亮のところに来た。

 ゴールした後は1位の人だけお題が読まれる。

 すぐにゴールした凛達はお題を読まれることになった。

 ”一番身近な人”

 「これは家族などを連れてくるのでは?」

 「えっ!!」

 お題を読み上げた体育祭運営の生徒に言われ、凛は顔を真っ赤にしていた。

 

 そして駿については言う必要があるのだろうか。

 あいつは何も悩むことなく南先輩とともに即座にゴールした。

 ”おしゃれそうな人”

 「南はいつもおしゃれだもんね」

 「ありがとう」

 あの2人は全校生徒、先生、保護者たちの注目を集めてる中でいちゃつきだした。


 茜はお題を引くと真っ先に凛を捕まえて連れて行った。

 ”同性の一番推しの人”

 「私を推してくれるの?」

 「南先輩だったんだけど、駿が嫉妬しそうだったから凛にした」

 そういうと静かに茜は凛に殴られていた。

 「俺は嫉妬しないからまぁいいや」

 楽観的な亮を隣に、僕は凛に対して嫉妬していた。

 僕が連れていかれると思い込んでいたからだ。

 「明、ごめんって。そんなに膨れないで。同性だったから明は選べなかったの。ごめんね」

 「じゃあ、今晩ハンバーグ作って」

 「もちろん」

 こうして僕の機嫌は直った。

 

 亮はお題を引くと、僕と茜の前で

 「どっちが来たい?」

 と聞いてきた。

 「私が行くと凛に嫉妬されそうだから、明が行って」

 「わかった」

 こうして僕らはゴールした。

 ”運動神経が良い人”

 「俺が思う運動神経が良い人は2人だったから」

 「凛は違うな」

 2人で笑いながら戻ると、凛は僕と亮を殴った。


 最後は僕だった。

 お題は

 ”好きな人”

 他の走者の反応を見る限り、最終レースは全員がこのお題だったのだろう。

 僕は迷わず茜の手を握り、ダントツトップでゴールした。

 「お題何だったの?」

 「好きな人」

 「ほんとに?」

 「うん」

 僕はそう言うとお題の紙を茜に見せた。

 「今日のハンバーグ大きくしてあげる」

 「ありがとう」

 僕と茜は駿と南先輩をバカにできないほど、大衆の面前でいちゃついてしまった。

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