健康診断と体力テストのコンボ
ゴールデンウィークが明け、また学校が始まった。
別に学校が嫌いというわけでもないし、行きたくないわけでもない。
しかし今回は別だ。
健康診断が待っているのだから。
身長が高くなっててほしいとか体重が重くないでほしいとかではない。
体重は重くなっていたら筋肉量の増加であるため喜ぶし、身長はもうこれくらいで満足している。
僕が唯一嫌いなもの、それは尿検査である。
尿検査は朝の一番に出たものを、専用の容器に入れ学校に持って行くのだが、小学校の時にトラウマができてしまった。
蓋が緩み、尿がランドセルの中でぶちまけてしまったのだ。
小学生は簡単なことでいじめが起こるが、その時に起こったのはいじめではなくみんなが僕を避けることだ。
それはそうだ。
僕がみんなと同じ立場なら同じことをしていただろう。
汚いから。
その事件以来、僕は尿検査がトラウマになってしまった。
「明、準備できた?」
「あとは、尿検査だけ」
「まだしてなかったの?」
「もう容器には入れてるけど、荷物に入れる勇気が出ないだけ」
「もう、仕方ないわね」
茜はそういうと、ジップロックとビニール袋を持ってきて僕の尿検査をしまってくれた。
「これで持っていけるでしょ」
「茜は天才か。ありがとう。愛してる」
「はいはい、私もよ」
「じゃあ、学校行こうか」
こうして僕のトラウマは解決されたのであった。
健康診断が終わり、教室にみんなが集まると先生の連絡が始まった。
「健康診断お疲れ様。一喜一憂してるところ申し訳ないけど、体育の先生から連絡だ。明日から体力テストを行うらしい。直接的には成績には関与させないが、体育の授業内でのチーム決めなどに利用するから、しっかりと受けるようにだそうだ。みんな頑張れよ。以上。解散」
僕は体力テストには自信があるため特に問題はない。
茜も同様だ。
亮も問題は無いみたいだが、凛と駿は得意でも不得意でもないため、複雑そうな顔をしていた。
しかしそれ以上に凛は落ち込んでいた。
「私、身長は0.2cmしか伸びてないのに、体重が増えすぎてるんだけど」
「そんなことか。俺はどんな凛でも好きだから問題ないよ」
「ありがとう。というか、そういうことかって女子は流せないんだよ。ね、茜」
「私は体重増えてても、バスケでフィジカルが強くなるから逆に嬉しいかな」
「聞いた私がばかだった」
そんな他愛もない話はいつも通りで面白かった。
「みんなどれくらいを体力テストで目指す?」
駿は少し不安な様子だった。
「俺はAが取れるように頑張るかな」
「僕はAはもちろん取るけど、中学に引き続き満点目指すかな」
「私も満点目指す」
「私は茜達みたいに運動神経が良いわけじゃないから、B取れればいいかな」
「みんなやっぱり頑張るよね」
「なんでそんなに駿は落ち込んでるの?」
「いや、南はさ、文化部にしか入ってないけど、Aなんだよね。毎年」
「お姉ちゃんは運動神経良いからね」
「彼氏としては少しでも頑張らないとかなって思うんだよね」
「じゃあ、俺と明と茜でコツでも教えようか?」
「コツなんかで変わるの?」
「変わるよ。俺なんてその時だけ頑張るみたいなとこあるから」
「じゃあ、教えて」
「わかった。でも、全部にコツがあるわけじゃないからね」
50m走→前傾姿勢で腕を振り、前足になる方の脚はできる限り早く地面に着けるようにする
立ち幅跳び→足を曲げるタイミングと同時に腕を後ろに思い切り振り、跳ぶと同時に前に振り出す
ハンドボール投げ→高くに投げようとするのではなく、目線から45°あたりに向けて前に投げる
1500m走、シャトルラン→一定のペースを守り、限界が近づいたらラストスパートのダッシュをする
腹筋、握力、長座体前屈は日ごろの努力の積み重ねだからコツはない。
「ありがとう」
駿はそういうと、嬉しそうに帰って行った。
結果はみんな宣言通りだったが、駿は腹筋と握力と長座体前屈がひどかったためBで落ち込んでいた。




