【番外編】親同士の馴れ初め
僕と栞さんの出会いは何もなく普通だった。
お隣のご夫婦という印象しかなかった。
しかし旦那さんを早くに亡くし、僕も妻を亡くした。
栞さんと前妻は仲が良く互いに助け合っていたりしていたことから、顔を何度も合わせたことがあったが、特別な恋愛感情は抱かなかった。
「明君のお弁当私が毎日作りましょうか?材料費だけいただければ茜のお弁当と一緒に作りますけど」
「そうしていただけるならありがたいです」
「わかりました。任せて下さい」
「じゃあ、僕にできることがあれば何でも言ってください」
「わかりました。それでしたら、私達のどちらかが家にいれない時は、もう片方の家に子供を預けるようにしませんか?」
「それも良いですね。でもそれだと私だけしてもらってるようにしか思えないので、何か僕にしてあげられることを考えておいてください」
「じゃあ、電球を変えるとか、力作業の時には助けて下さい」
「お安い御用です。任せて下さい」
こうして、僕と栞さんは互いに助け合い家に通い合うようになった。
しかしその時に互いに思ったことだろう。
亡くなった旦那と妻に対して少しばかりの罪悪感があった。
「なんだか、こんなに家にお邪魔していたら、奥さんに怒られそうですね」
「そんなことないですよ。どちらかといえば僕がお宅にお邪魔する時の方が旦那さんに怒られそうですよ。男は嫉妬深いですからね」
「まぁ、でも互いに何か引っかかる点があるからそう思うんでしょうね」
「でも、僕と明のためにしてくれてることです。こんな事じゃ、妻は怒りませんよ」
「そんなこと言ったらうちの旦那もですわ」
僕たちはいつもこんな話をしていた。
こんな関係はとても居心地が良かった。
しかし、次第にこの歳になって恋を再びしていることに気づいた。
少し今度会ったら伝えてみようと心に誓った。
妻の遺影の前に行き
「また恋していいか?」
そう妻に尋ねたのだった。しかし、妻はとても心が広い人だったことから許してくれると確信を持てた。
「栞さん、僕はあなたを好きになってしまいました」
「そうですか。なんだかうれしいです。私も好きでもない人にこんなにはつくしませんよ」
「旦那さんは許してくれそうですか?」
「大丈夫だと思います。もし嫉妬してたら、事故で死んじゃったあの人が行けないんです。こんな私を置いていくからです」
「そうですか。お付き合いしていただけますか?」
「もちろん」
「子供達には内緒にしておきましょう。少し複雑で気まずくなってしまったら嫌なので」
「そうですね、子供たちはずっとカップルですからね」
「じゃあ、そういうことで、よろしくお願いします」
「こちらこそお願いします」
こうして僕達は40代にして恋をしたのであった。
「そうして君たち二人に結婚の報告をしたのでした」
「結局聞いちゃったよ、親の馴れ初め」
「私知りたくなかったかも」
「茜はお母さんの恋愛は参考にならないからね」
「こんなのは誰も参考にならないから」
「そうね」
こうして僕達は、新たな4人家族として出発したのであった。




