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遅くなりました。でももう無理だ、更新を二日に一回とか誰が言った!
無理だと気付いたので、ゆっくり更新させてくれ。
昨日はそうして見事にスルーして律とパールに挟まれたまま寝た。草がふかふかで気持ちよかった。今が朝なのかはこの薄暗い森の感じからすると全く分からないが、自分が起きたから朝なのだ。どうせここは異世界、やらねばならぬことなど何一つないし、とにかく気楽だ。
だけど、と響は思考の渦にのまれていく。だけど、あちらに残してきた両親とシロ、クロ、ハク、ギン……。今は元気なのだろうか。両親の方はまあ、心配はしていても信じてくれている気はするから別にいいのだが。それでも少し寂しい気はしているのだ。
両親はそこまで心配いらないと思うが、シロたちは本当に大丈夫なのか不安だ。響が学校に行く間とかなら心配も何もされないのだが、今回みたいに長く離れてしまうことはなかったため、きちんと生活できているのかが心配でたまらない。
「……シロたち、大丈夫かな」
『心配か?』
ついつい響は声に出していたようで、いつの間にか起きていた律に聞かれてしまった。
「そりゃあ、もちろん。父さんとかがご飯あげても、俺がいなかったら食べないかもしれない……」
『大丈夫、とまでは言えないけど、響の母親とかが脅して食べさせてるかもしれないぞ』
確かに、響の母親ならやりかねない。響が帰ることができた時に元気のない姿を見せたら悲しむ、とか言って無理矢理食べさせている図が頭に浮かぶ。
「あいつらのメンタル相当薄っぺらいからな。でも、母さんと父さんがいれば心配はいらないのかも」
『ああ。いつか帰れるかもしれないから……それまでこの世界で生きよう』
こくりと頷いた響は、気持ちの切り替えが終わったようで伸びをして立ち上がる。
『起きたか、我が……響殿、律殿。水はあるか? 果実も用意したから食べてくれ』
クマが現れた。それにしても用意周到なクマである。さすがクマ。
実のところ食べ物はほとんど尽きかけていたのだ。サンドイッチを余分に買ったが、その数も20個程度、種類もあるとはいえ味には飽きるし朝昼晩を考え3日間は良く耐え抜いたと褒めてほしいくらいだ。
「ありがとう、とても助かる」
『よいのだ。どうせ森の中にたくさんある。必要とする者がいただくというのがこの森のルールであるからな』
この森は外の人が言うようなよく分からないところではない。助け合って生きているからこそ、外の“敵”に対して厳しくなるし、近づかせることがないのだろう。人間が街に外壁を張り巡らせ外の魔物たちから自身を守るように、この森も人間から守っている。
「とりあえずのどが渇いた。案内してもらえるか」
いつの間にか獣化を解いていた律が、水場を求める。もう少しそのままでいてもよかったのにと思う響であった。
『それならこっちだ。ついてきてくれ』
水場、と案内されたところは水色に透き通る大きな泉だった。小舟が浮かんでいても驚かないくらいの大きさである。湖と言った方がいいのかもしれないが、泉という方がしっくりくるような雰囲気だ。森の中は木が生い茂るせいで暗かったのだが、この泉は違う。木が生えていないおかげでこの森の中で唯一明るく開けた場所になっていた。といっても別に暗いだけで鬱屈としているわけではなく、逆に神聖な雰囲気があるのだが。
「森の中にこんなに綺麗な場所があったのか」
「他の魔獣もこの水場を使っているみたいだな」
律に言われて視線を巡らすと、数匹水をちろちろと飲んでいるのが見える。こちらに気づいてはいるようだが、のほほんとしていて襲い掛かってくる様子はない。
「そういえば魔獣ってみんな言葉を話すのか?」
ふと気になり、響はクマに聞いてみることにした。
『いや、我ほどの時を生き、進化を果たしたのなら人語を話せることもあるが、普通はそこまでいないはずだ。あとは高位の種族であるな』
なるほど、と頷いて響はまじまじとクマを見つめる。どうにもこのクマがすごいという気がしない。それでも何となく強いかもしれないことは理解できる。非常に不服ではあるのだが。
「響、響、この水すごく美味い」
律が泉の水を一掬いして飲むと、とてもいい笑顔でおいしいと言う。誰だよ、律のことを無表情とか言っていた奴。割と出会った初期の頃からこんな感じだったのに。
「俺も飲む!」
一口飲んでみると、何というかすごかった。水道水に本気で満足していた自分が恨めしい。響は下手なミネラルウォーターよりも水道水を推している派なので、ここまでくるともうすごいとしか言えない。
「クマ、この世界ってこの水が普通なのか」
『いや、そんなことはないと思うぞ。多分ここは魔力濃度が高くて、その魔力を吸収しているからおいしくなっているのだ』
「え、でも魔力濃度が高いってことは魔素溜まりができるってこと、だよな?」
『もしかしたらできることがあるかもしれんが、我らはいまだに見たことがないのだ。魔素溜まりなんて普通に生きていて滅多に見れないものなのだぞ。数十年に1度、機会があればたまたま見ることができるかもしれん、そういう具合なのだ』
「それじゃあ、魔物もそこまでいないのか」
『それは違う、魔物は確かに魔素溜まりから発生すると言ったが、一度に発生する魔物の数が尋常じゃないのだ。発生した後は各々の種ごとに住みやすい場を見つけ定住する。雑魚な魔物は繁殖できないが上位種となれば雑魚を繁殖することもある。あと、ゴブリンやオークなんかは人間を使って繁殖するのだ』
魔物は意外と奥が深いのである。深すぎる故に響や律の理解が追い付いていないのだが、いつかきっと分かる日が来ると信じて深く考えすぎないようにした。
「そういえば俺たちここまで来るのにずいぶん汚れたよな……」
「道中水場がなかったからな……」
「「クマ、この泉の中に入っていいか」」
『うむ、構わんぞ』
体が汚れているのはできるだけ気にしないようにしていたけど、日本人としてどうしても無理なことがあるのだ。泉は多少冷えるだろうが、入らないよりはましなのである。
クマから許可をもらったので早速泉に突っ込んでいく。服ごと入ったのは洗濯もかねて。泉の中でごそごそと服を脱ぎ、身体をごしごしと手で洗ってみたり、服をこすり合わせたりする。水深はそんなにないようで、足がつくし胸元までしかない。更にこの泉は冷たいような冷たくないような、なんだか不思議な感じなのである。つまり、思ったよりちょうどいい温度だったのである。
魔物、魔獣についての表記は色々後で変更になる可能性は高いかもしれません。いつの間にかオリジナルな設定(多分)になっていました。




