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お待たせしました。
もうストックがないのでこれからもちょくちょく更新止まります、ごめんなさい。
「防具屋はここみたいだな」
ここまで来るのにずいぶん歩いたようで、街はずれと言っても差し支えないところに着いた。近くに宿屋もあるし、ここが武器屋の店主の言っていた店のようだ。入り口には美しい騎士甲冑が飾られている。これは店の自信作なのだろう。
「お客様でしょうか~」
中に入ってすぐ16歳くらいのかわいらしい少女が現れた。
「ああ、冒険者なんだがどういった防具を買えばいいのか分からなくてな」
「ふむふむ、予算はおいくらくらいでしょうか~」
「大体二人で5000ジルはできないか?」
「そうですね~、できることにはできますが、胸当てくらいしかご用意できませんよ~?」
「普通の冒険者はどういう装備で討伐に行ったりするんだ?」
「え~っとですね、例えばこちらにあるヘルム、シャツ、アーマー、マント、グローブ、ブーツ、盾という感じですかね~。グローブと盾は持っていない方も多くいます~。ですけど、見たところブーツやマント、シャツも新しくする必要はないようですね……」
「じゃあ胸当てだけを頼む。できるだけ身軽で簡素なものがいい」
「なるほどなるほど、それでしたらこちらはどうです~? 防御力に少しだけ補正がかかります~」
そう言って差し出された胸当ては弓道でよく使うようなもので、それの革が厚くなって防御力が上がったもの、という外観だ。
「じゃあそれで」
何故か分からないけど、さっきから色んな店で響には緑、律には青という配色のものを渡される。この防具屋でもそうで、黒の胸当ての端にそれぞれ緑と青の蔦のような模様が刻まれている。
「は~い、それでは5000ジルちょうどになります~」
ちゃりちゃりお金を払って小袋の重みがなくなってきたことに嘆きつつ、響たちは礼を言って店を後にした。
防具屋からさらに少し歩くと宿屋だ。あと10分ほど歩けば街を出る門がある。この街を越えたら隣国だったらいいのに、と響は思いつつ宿屋に入っていくのであった。
「いらっしゃいませ、しばらくお泊りになられますか?」
「いや、今日だけ泊まりたい。明日の朝の食事も頼めるか?」
「承知いたしました。明日朝の食事付きですね。先払いでお一人様銀貨1枚になります」
とりあえず銀貨2枚を渡す。朝食もついてこの値段なら安いのではないだろうか。
部屋に案内されて鍵を渡される。ついでに風呂はないのかと聞いたら、そんな高価なものがただの宿屋にあるはずがないと言われた。風呂は高価なものらしい。不衛生がたたって病気とかにならないのだろうか。と思っていたら風呂はないが桶にお湯を張りそのお湯で体をふくらしい。
ゲームとかで定番な浄化魔法で体を清めないのかとも聞いたが、これには本気で怒られた。何でもこの国では浄化魔法の使い手は全員神殿に仕えることになるそうで、一度の浄化には金貨1枚はざらにあるのだそうだ。そりゃあ貴族の冷やかしだって怒られるのも納得だ。
宿の部屋は想像以上に綺麗だった。二人で寝るのには少し狭い気もしたが、きちんとベッドが二つあるので文句はない。そして二人だけになった空間に安心したのか、響の懐からフェレットが現れる。今は響の腕の中で撫でられてふにゃふにゃになっている。異世界に来たからか足の怪我は治っているらしい。
「響、俺たちこれからどこに行く?」
「この国から出るのは当然なんだけど……」
というわけで受け取った地図を見てみることにした。響が地図を開いてみると、薄汚れておりところどころ読めないところがあった。こんな粗悪品を渡した国王に恨みの念を送りつつ、無いよりはましだと地図をじっくりと見ることにする。
この世界の国は全部で6つ。内5つの国は大陸の中に一つにまとまっているが、ホウライという国だけ島国として成り立っている。大陸の国は北西に帝国、東北にハルゲート獣国、南西にパナルジア国、南にケスターナ王国、南東にリュカシオン神聖国となっている。この地図のボロボロ具合から少なくとも100年は経っていそうなので、新たな国が誕生していたり、領土が変化している可能性がある。
よく見るとこの大陸はユーラシア大陸のように見えなくもない……気がする。ただ、リュカシオン神聖国とケスターナ王国の間は思いっきり海で隔てられており、ケスターナ王国からリュカシオン神聖国に行くのであれば船で行くか帝国、ハルゲート獣国を通ってしか行けないようだ。
ケスターナ王国を見ると、王城が国のほぼ中心にあり、北に物騒な名前の森がある。帰らずの森というらしく、そこが帝国との国境になっているらしい。響と律は何があってもいいようにひとまず帰らずの森に行くことにした。
「帰らずの森って何で“帰らず”なんだろうな」
「すごく強い魔物がいて人間は倒されてしまって帰らぬ人になってしまった……とか?」
「……響、お前って時々どうしようもないくらい物騒だよな」
「可能性の話をしただけなのに……」
「きゅっ」
その通りだと言わんばかりに鳴いたパールだけが響の味方のようである。
「そういえばパールの存在をずっと忘れてたよな。お前、どうしてこの世界にいるんだ?」
「きゅうっ!? きゅっきゅーっ」
パールのよく分からない鳴き声に響と律は顔を見合わせる。
「響に忘れ去られていて寂しかったんじゃないのか?」
「そういうお前も忘れてたんじゃないのかよ」
「いや、俺は気配があるから何となく気にしていたぞ」
負けた、と意味の分からないことを響は呟きながら、お詫びもこめてパールに干し肉を与えるのであった。
説明回的な感じばっかりで申し訳ないです。
地図はぼやぼやしていて見にくいと思いますが、補足的なものですので深く考えず頭を空っぽにして遠くから眺めてください。




