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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第三章

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01 光司の朝は早い


 この家の家主、須永光司の朝は早い。

 まだ、鳥が囀っている時間に起きる。

 スマホの設定した時間よりも一、二分早い。

 その間に着替え、スマホが鳴ると同時に解除する。


 リビングへ向かい、テーブルにスマホを置き、顔を洗う。

 そして、掛けてあったエプロンをつけて、手を洗い予約で炊いたご飯をお櫃にあける。

 ご飯が冷めるのを待って、新たに炊く。

 なぜならば、この家に住む四人の少女は、朝からかなり食べるのだ。

 なので、冷ましているご飯はお弁当用である。

 その間に、おかずを作っていく。


 まず、厚焼き玉子。

 この家に住む少女の一人、御坂唯が必ず入れて欲しいとお願いするのが、これだ。

 白だしと砂糖で味付けをし、隠し味として味醂を少し入れているので、味はほんのり甘く出汁が効いている。ふんわりと仕上げるのに炭酸水を使っている。焼くのに難易度が上がるが、妥協はしない。

 それを二つ作る。冷ますために、バットの上には綺麗な焼き色の玉子焼きを乗せる。まだ湯気が上っている。


 次に作るのは、喜築寧々と喜築星羅の好みである。肉巻きだ。

 もちろんただの肉巻きではない。

 見た目と味、栄養バランスを考慮して作られている。

 今日のは、アスパラとパプリカ三色を巻いている。

 味は甘辛くした醤油味で、ほんの少しとろみがついている。

 肉と野菜が巻いてあればいいので、大葉と豚バラだったり、アスパラとベーコンだったりと様々だ。

 出来た肉巻きを食べやすいサイズに切り分ける。

 うん。断面が美しい。

 特に二人は見た目や配置の美しさに拘るからな。及第点は超えただろう。


 最後は、人見静の好物であるきんぴらごぼうだ。

 まぁ、これはみんな好きなんだけど、静だけやたらこだわりを入れてきた。

 お陰で、これだけはそのまま売れるレベルのものに仕上がっている。ごぼう、にんじんの細さによる歯応えと蓮根の薄さ。味の濃さや照り、ゴマの量まで細かく調整させられたからな。

 そのせいか、常備できるはずが、当日には無くなってしまうくらいだ。


 そして、それぞれがおねだりしてきた内容で作っていく。

 最近は、それぞれ違ってもつい、希望通りに作ってあげたくなってしまう。


 今日のユイのお弁当はこんな感じだ。

 まず、二口くらいで食べ切れるおにぎりを三個。

 桜えびと三つ葉の混ぜご飯、高菜と明太子の混ぜご飯、そしてユイの大好きな種を取った梅干しのおにぎり。

 おかずは、厚焼き玉子、タコさんウインナー、小さめのちくわの磯辺揚げ、きんぴらごぼう、そして、意外と渋い鳥の照り焼きだ。

 横にはプチトマトとブロッコリーとアスパラを添えてある。


 次に寧々のお弁当はこんな感じだ。

 寧々も小さめのおにぎりを三個。

 枝豆と塩昆布の混ぜご飯、大葉入りの鮭の混ぜご飯、プロセスチーズとおかかの混ぜご飯。

 おかずは、厚焼き玉子、肉巻き、タコさんウインナー、小さめのちくわの磯辺揚げ、きんぴらごぼう。

 もちろんサラダは同じく、プチトマト、ブロッコリー、アスパラだ。


 次は星羅のお弁当だが、本当めんどくさいおねだりをしてきた。

 『白いご飯じゃ退屈よ。黄金色に輝くお米がいいわ』などと昨晩言い放ったので、サフランライスにしてある。

 まぁ、抽出した汁と混ぜれば黄金色になるしな。

 そして、おかずも彩り鮮やかにとのことで、厚焼き玉子、肉巻き、エビチリ、ミートボール、きんぴらごぼうとサラダだ。


 最後は静のお弁当。

 何のこだわりがあるのか、ほぼ毎回のり弁を所望する。なんでも『海苔弁は完全食です』だとか。

 ご飯と海苔の間には、おかか、昆布、じゃこ山椒で海苔は二層にしてある。

 おかずは、厚焼き玉子、磯辺揚げ一本、きんぴらごぼう、焼き鮭、漬物と地味だが、この漬物寧々お手製である。

 静だけがえらく気に入り、許可を得てお弁当に入れている。


 最近は作った後に、スマホで写真を残している。

 ユイはかわいくカラフルに。

 寧々は彩りと栄養を。

 星羅はその時の気分で。

 静は謎のポリシーがある。


 残ったおかずやらをお皿に持って、昨日の残りや漬物なんかを用意して、テーブルに乗せていく。

 後はご飯が炊けるのを待つだけだ。

 まぁ、残りといってもそんなに残ってないんだがな。

 納豆やふりかけを置いてあるんだが、減るスピードが速い。

 今まで食べられなかった分を取り戻すかのようにも思える。

 別にいくらでも作ってやるのにな。


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