番外編25 寧々は近所付き合いが上手いらしい③
翌日。
朝起きたらユイと星羅がチャイナドレスを着ていた。
ユイは黒色。星羅はやっぱり赤色だった。
「おはよう。早いなって、なんでチャイナドレス?」
ユイと星羅はカンフーみたいなポーズを取っていた。
スリットから中が見えそうだ。朝から血糖値が爆上がりしそうだ。
「いや、昨日中華にするって言ってたから」
「そうそう。形から入るのは基本よね」
気が早すぎる。
そもそもチャイナドレスは基本なんだろうか。
「寧々と静はまだ寝てるのか?」
「多分」
「じゃあ、なんか驚かせよーか」
驚かせるねぇ……。
「じゃあ肉まんでも作るか? 昨日静が材料いっぱい買ってきたし」
「肉まん!」
「え、作れるの?」
「ああ。一緒に作るか?」
「「うん!」」
ということで、作っていく。生地は強力粉と薄力粉にドライイースト、砂糖、塩を入れて混ぜるだけ。
そこにぬるま湯を入れて混ぜて捏ねていく。ちゃんと捏ねないと膨らみが弱いからな。
しかし我が家で力の強い二人は楽しそうに捏ねていく。
「捏ねたらどうするの?」
「発酵させる。今日はあったかいからすぐ膨らむだろ」
その間に具を作る。
ひき肉だけでなく、刻んだ豚肉を入れると歯ごたえとかあっていい。
そして今回はたけのことしいたけを入れる。
コンビニのふわふわで具がゴロゴロ入ってる肉まん好きなんだよな。
隠し味にオイスターソースを入れる。
「へぇ……なるほどねぇ」
「まぁ、玉ねぎと肉だけのもあるけど、たけのこがあるからさ」
「そうだねぇ。あ、なんかすっごい膨らんだね」
冬の食べ物だけど、この時期に作るとよく膨らむから楽だよな。
「で、これどうするの?」
「分割して、伸ばして包むんだ。こうして真ん中を熱くしておくと、油分が染み出しにくくなるんだ。で、こうして包んで……頭の部分をこうしてひねって……」
そして、四角に切ったクッキングシートに乗せればオッケー。流石に竹の皮とか無い。
俺のやるのを見よう見まねでやるけど、俺より上手いな。
「俺より上手くないか?」
「ふふん」「えへへ」
しかし、いっぱい食べたいからなのか、セイロ二個分も作るとは思わなかった。
二次発酵している最中に、寧々と静が起きてきたのだが……。
「その格好は……」
「えへへ。可愛くないですか?」
「中華だと聞きまして」
二人ともフリフリひらひらの煌びやかな衣装だ。
「どうですか?」
「かわいいな」
「そっちじゃないです。でも、ありがとうございます」
二人とも真っ赤な顔で俯きながら、左右に揺れている。
そっちって……ああ。料理の出来の方か。
でも、絶対に衣装の方で聞いたよな?
二人とも裾を持って揺れているし。
その後、いい感じに肉まんができると、そのまんまの格好で食べ始めた。
俺も何かそういう格好した方がいいんだろうか? 諸葛亮孔明とか?
最近、渋谷でよく見るって聞くしな。
その後、お昼ご飯として、酢豚、青椒肉絲、焼売を作った。
たけのこもまだいっぱい残ってるな。
水を変えればしばらく持つからいいが、明日は何にしようかと考えていた。
そんな翌日、寧々はまたご近所さんから頂き物をもらったらしい。
汗を流しながら帰ってきたその両手には二つのバケツがあり、どちらも道に跡を残していた。
それはあさりとホンビノス貝だった。
こんだけの量を、この都心のど真ん中でいったいどこから手に入れたのだろうか?
しかもこんな早い時間帯に……。
「えへへ。また頂いちゃいました」
これは何かお返ししないといけないなと思った。
その日は、深川めし、あさりのすまし汁、あさりバターを。
夕食はボンゴレビアンコとクラムチャウダーを作った。
まじで食費が浮いて助かるが、寧々さんのご近所ネットワークは一体どうなっているのか、気になって仕方がない。
そんな寧々は翌日、今度はダンボール箱を抱えて帰ってきた。
中には茨城県産のメロンが六個も入っていた。クインシー、イバラキング、なだろうレッド……。
これ誰かが買ってきたのをもらったんだろうが、ホント一回お礼に行かないといけないかもしれない。
「そうだな。俺もお礼しにいかないと」
「そうですね。一度紹介しないといけませんね」
なんかニュアンスが違った気がする。
しかし、こんなに貰いっぱなしは申し訳ない。
しかし、そう思っていたのは俺だけじゃないようで。
「寧々さん、次はわたくしも連れて行って下さい」
「えっ! 静さんもですか?」
「はい。荷物持ちは任せてください」
これ、もっと貰えると思ってるんじゃないだろうか?




