番外編24 寧々は近所付き合いが上手いらしい②
「そういえば、静はどうしたんだ?」
「確か、買い物に行くと言ってましたね」
「そっか。じゃあ夕飯で出すとするか」
静がいないのに色々作るのもな。
「じゃあ、軽くお昼作るか。出来た頃には帰ってくるだろ」
「ですね」
「ねぇ、それわたしが作りたい」
星羅が珍しく、手を上げて立ち上がった。
「「え?」」
ユイと寧々が疑問の声をあげるが、ユイだって危ないだろうに。
それに俺がちゃんと見てるから大丈夫だと思う。
「で、何にすんの?」
「考えてなかったのか。……まぁそうだな。たけのこ使ったパスタでいいだろ」
と言うことで、キッチンには俺と星羅が。
キッチンの向こう側では不安そうな顔で寧々とユイが見ていた。
「そんな心配しなくても大丈夫よ」
「そうだな。普通に失敗する方が難しいしな」
ニンマリと笑顔を俺に見せる星羅。なんでもうできたつもりでいるんだよ。
まぁいいか。
「じゃあたけのこ切ってくか。えっと、こう猫の手な」
「猫って…もう……。光司ったらわたしに何をもとめてるのよー」
「いや、指を切らないようにな」
「ふふん。知ってるわよー。にゃーにゃー」
手をグーにして猫真似をする星羅。
そんな様子を見ていたユイが、どこから持ってきたのか、猫耳カチューシャを星羅の頭につけていった。
「ん」
「似合ってるぞ」
「にゃ、にゃー……」
そんな感じでベーコンとたけのこの白だしを使ったパスタを作ったところで、静が帰ってきた。
「ただいま戻りました……って、星羅さん。それはわたくしへのご褒美ですか?」
「そんなわけないでしょ!」
「とても可愛くて似合ってるのですが……」
そんなことをニコニコしながら言う静。そんな静の手には大きな袋が二つ握られていた。
「静は何を買ってきたんだ?」
「お肉です」
「お肉?」
「ええ。近所のスーパーで特売をやってまして、わたくし買ってきました」
そう言って差し出した袋の中を見ると、豚バラブロック、豚肩ロース、豚ひき肉、豚肉の切り落としとなかなかの量を買ってきたな。
その他には大量のピーマン。
たけのこもあるし、酢豚に青椒肉絲。春巻や焼売もできるな。
固いところはメンマにするから、豚バラでチャーシュー作れば、ラーメンもできるな。
いやはや。とても家計が助かるよ。
でもうちのエンゲル係数めっちゃ高いんだよな。
「ところでいい匂いがしますね」
「今ちょうど出来たところよ」
「ほぉ。パスタですか」
「そうよ。わたしが作ったのよ。光司と一緒にね」
そこで静が俺を見て、次に寧々とユイの方を見た。
「何よ。信用できないって言うの?」
「いえ、どういう風の吹き回しかと思いまして……」
まぁ言いたい気持ちは分かる。だが……。
「まぁ食べてみたら? きっとうまいぞ」
「そうよ」
「ではいただきましょうか」
「そうだね」「ええ」
みんなで席に着いて、手を合わせる。
「「「「「いただきます」」」」」
まぁ俺が横で見ながらやっていたからな。
確かに大きさが不揃いではあるが、ちゃんと出来てる。うまい。
「「「!?」」」
ユイ、寧々、静の三人が目を丸くした。
「どう?」
「おいしいよ星羅!」「ええ。流石は光司さん監修ですね」「とても美味しいですよ」
「寧々だけ辛辣ね……。光司はどう?」
「うまいぞ星羅」
「ふふん」
とても嬉しそうに微笑む星羅。
まぁ、いろいろ試してみることはいいと思うんだ。
その後、夕食としてたけのこご飯、土佐煮、てんぷらを作ることになったのだが……。
「ねぇ折角だから他にエビとかイカとかないの?」
「エビならあるけどイカはないな。ピーマンと新じゃが……新たまかなぁ」
「いいわね。ねぇ、わたしやってみたいんだけど」
今日は随分と積極的だなぁ。
「でも、揚げるのは慣れないと危ないぞ?」
「そうですよ。天ぷらはあたしがやります」
「じゃあなんだっけ、土佐煮? は、わたしに作らせてよ。あとご飯」
「だそうだけど、寧々どうする?」
「いいと思いますよ。星羅もなんだかんだ言って光司さんに食べてもらいたいんですね」
「ちょ、寧々!」
「(隠しても無駄ですよ。ちゃーんと分かってますから。)あ、光司さん。たけのこご飯と土佐煮もあたしが星羅に教えてもいいですか?」
「いいけど」
「折角のお休みですから、ゆっくり休んでください。ね、星羅」
「そ、そうね。そうよ。ほら、とびきり美味しいの作ってあげるから正座して待ってなさい!」
「正座だとゆっくり出来ないんだが……」
「例えよ例え。もうー」
「まぁ、そう言うなら任せようかな」
と、いうことで俺はユイと静と一緒に寧々と星羅が仲良く作ってる様子を見ながら過ごした。
ところどころ危ないところもあったが、そこは家事の得意な寧々。丁寧に教えていく。
しかし、星羅もだんだん慣れてきたのか後半はとてもスムーズだ。
そうして、眺めているうちにあっという間に夕食の時間になった。
「どう? いい感じじゃない?」
「初めてにしては上出来じゃないか?」
「当たり前でしょ。わたしに不可能なんてないもの。ふふっ……」
最初でこの味付けは中々出せないしな。
しかし、そんな様子をユイと静がじーっと見ていた。




