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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第二章

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番外編16 家庭菜園④


 家に着く前に証拠隠滅をしてから、帰った。

 だってここまで距離あるし、飲んでたら買ってこいって言われそうなんだもん。

 だから、コンビニで飲み物をいくつか買っておいた。

 ユイが率先して選んだが、どれもこれも甘そうだ。

 静は揚げたチキンを買って食べていた。ホント自由だな。


 帰ってきて東側の庭へ行くと、いつの間にか殆ど植え終わっていた。

 支柱もちゃんと刺さっていた。

 「おおー。凄いな。というか、植え終わるの早いな」

 「星羅が手伝ってくれました」

 「そうか。星羅、寧々ご苦労さん」

 そういって、買い物袋を差し出した。


 「あら、気が利くじゃない。ありがと」

 「ありがとうございますー」

 「いえいえいいんですよ。わたくし達はさきに……むぐっ」

 「はーい。静そこまでっしょ」

 ユイが慌てて後ろから静の口を塞いだ。


 「なに?」

 「ナンデモナイヨー」

 「どうして片言なんです?」

 「この体勢がきつくて」

 「ふーん」「へー」

 星羅も寧々も信じてないようだぞ?

 というか、静は最近迂闊すぎないか?

 ユイが最近お気に入りの『っち』をつけるのを忘れるくらい早かった。

 別につけなくてもいいと思うんだけどな。


 星羅が豪快に音を立てながらいちごオレを飲んでいく。

 寧々はコクコクと喉を鳴らしながらオレンジジュースを飲んでいた。

 それにしても綺麗に植えてあるな。


 「あ、そうだ。光司さん聞いてくださいよー」

 「どうした?」

 「星羅ったら酷いんですよ。ミミズさんを毎回手にとってあたしに見せるんです」

 「星羅、虫とか平気なのか?」

 「え? だってミミズだって可愛いじゃない」

 うーん。その感性は分からないが、星羅なりの感覚なんだろうな。

 こればっかりは、分かり合えないらしい。


 「寧々、これからは虫が出たら星羅が取ってくれるみたいだぞ」

 「任せなさい」

 ほんの少しのイタズラ心でいったつもりが、花を持たせてしまったようだ。まぁいいか。

 うちの女王様は心が寛大らしい。


 「じゃあ、星羅、先ほどのミミズさん全部回収して欲しいのですが……」

 「でも土の中にミミズがいた方がいいらしいぞ」

 「でも……」

 そんなに虫嫌いなのか。これ、カエルとかカタツムリでたらどうなるんだろうか?


 そんな星羅は何処吹く風だ。

 「ねーユイ」

 「なにー?」

 「花植えるの手伝ってー」

 「いいよー」

 感覚派の二人が花壇の方へ行ってしまった。

 まぁ、あの二人のセンスで庭がどうなるのかは気になるな。

 「むぅー」

 寧々は頬を膨らませながら、ストローを盛大に吸っていた。


 飲み終わったと同時に、機嫌も落ち着いたのか、寧々がお願いしてきた。

 「では、光司さんすいません。あっちにまだ植えるのが残ってるので、土を運んでもらってもいいですか?」

 「分かった」

 静は縁側で見ているだけだな。

 まぁ、得意不得意ってあるからな。

 星羅も静側だと思ってたが、まさか逆だとは思わなかった。


 そう思いながら、土の袋を持ち上げた瞬間──

 「に゛っ!」

 そのまま、膝をついてしまう。

 アカン……。無理をしすぎたか。

 「だ、大丈夫ですかー」

 「ダメ。ムリ。シヌ」

 「そんな……」

 寧々が悲痛な顔をしている。申し訳ない。


 「こういう時のためのわたくしですね」

 そう言ってそばに来た静は片手でそれを持ち上げた。

 「どこへ運ぶんです?」

 「あ、こっちです」

 すげぇや。どっかの軍人さん並みに男らしい運び方だ。



 「あの、静さんや」

 「どうかしましたか? まだ痛みますか?」

 「ちょっと身体痛いんで動けないんですが、これは圧倒的に違う気がします」

 「何が違うのですか?」

 「顔の向きです」


 そう。あの後、お姫様だっこで縁側まで運ばれた俺は今、静に膝枕されている。

 静の理論では、安静にすることが大事らしいのだが、なぜかうつ伏せにされている。

 これ絶対に悪化するだろ。まぁ、実際そこまで痛くはないからいいんだが、問題は顔の位置だ。

 なぜ下向きなのか。


 「適正です」

 「うそつけ。この膝枕の顔の位置はおかしい」

 実際俺の鼻息とか太ももに当たってると思うんだが……。

 「少し前に見た文献では、日本にはこうした膝枕の作法があると……」

 「ねーよ」

 堂々と言い切るから、本当にそう思ってる可能性もあるが、なんせ静だ。冗談の可能性も高い。


 「静さーん。終わったら次、あたしと交代してくださーい」

 「分かりました」

 いやいや、寧々も何やろうとしてるんだよ。

 動こうとすると、静の力で押さえつけられる。


 「安静にしていてください」

 「ぐっ」

 「そこは普通に喜ぶべきところだと思うのですけどねぇ」

 一体どこにそんな力があるのかは分からないが、俺にはもう抵抗する気力も体力もない。

 ユイと星羅が見たら、またぞろ騒ぎ出すぞ?


 「コージー、こっち終わったよー。もう完璧ー……って、何してるし!」

 「もうわたしったら天才ね……って、静あんた何してんのよ!」

 ほらね。こうなったら俺にはどうしようもない。

 寝たふりしよう。そうしよう。

 起きたら全部。この腰の痛みも含めて解決してるんだ。


 「光司ちょっと、何か言いなさい」

 「光司は今お疲れですので」

 「何でこの向きなん?」

 「腰をいわしてしまいまして」

 「じゃあ、逆向きじゃない!」

 「ほら、コージも反応なくなってるし……」

 本当に疲れていたのか、この辺で俺の意識が無くなっていた。


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