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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第二章

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番外編13 家庭菜園①


 新居に移ってしばらく経った。

 今日は、ゴールデンウィークまであと少しといった休日。

 ソファに座った星羅がふと呟いたのがきっかけだ。


 「なんかうちの庭って殺風景よね」

 「ねー。でも広いからバーベキューとか出来てよくない?」

 「バーベキューいいわね。光司!」

 「自分で用意しようって気はないのか」

 「だって、そういうの用意するの好きでしょ?」

 「否定はしないな」

 「もー。たまには星羅もやったらー?」

 「わ、分かったわよ」

 ユイは言うことはちゃんと言ってくれるから、結構助かるな。


 「でも、まぁ殺風景なのには変わりないのよね」

 「そうだねー」「そうだなー」

 窓の外にはだだっ広い庭がある。

 別に綺麗に芝が植えてあるってわけでもなく、土がむき出しになっている。

 定期的に雑草を抜いたりする程度だ。


 何か植えたり作ったりしてもいいかもしれない。

 でも勝手にやっていいのか不安なので、不動産屋さんに確認を取ったところ、何してもいいと二つ返事をもらった。

 いくら貸家だと言っても自由過ぎはしないだろうか?

 何なら、『果樹を植えてもいいのよ?』とまで言ってくる次第だ。

 多分、出来た果物目当てだろうが、そんな簡単には実らないだろうに。


 「しかし、無駄に大きいよな」

 「ね。あ、なんか野菜とか植えたら?」

 「あらいいですねー」

 ユイが提案したところで、寧々がリビングへやってきた。

 静もその後を黙ってついてきた。

 空の洗濯カゴを持っている。洗濯干しをしてきてくれたようだ。

 すごくありがたい。だって、女性ものの下着を俺が干すのもなんか違う気がして、つい頼んでしまうんだ。


 そんな寧々はカゴをソファの横へ置いて、窓まで近づく。

 「確かに家庭菜園なんてやったらいいかもしれませんね」

 寧々はすごく乗り気だ。

 だが、どうやって?

 どこかの小説みたいに、植えたらすぐ実るなんてことはないんだが……。


 「そういえば、物置にやたらと農具がおいてありましたね」

 静が呟くように言う。

 確かに前の住人が揃えたものなんだろうが、都心の真ん中であんなに多くの種類の農具は要らない気がするんだよな。

 まぁ、だから殺風景な庭になっているのかもしれない。


 「じゃあ、光司耕してよ」

 「俺がやんの?」

 「最近太ってきたんじゃない?」

 確かに。寧々のご飯おいしいからな。

 俺も作るし、なんなら他の三人も作るようになってきている。

 どこかに行けば大量の食べ物を買ってくるし、俺もつい食べ過ぎてしまって、ベルトが少しきついんだ。

 みんなはヨガマット敷いてヨガやってるが、俺は最初に攣ってからやってない。

 興味はあるんだが、年取るとつらい。


 「まぁ、いいか。鈍ってるし」

 「上手く耕かせたら、ご褒美に踏んであげる」

 星羅が見せつけるように履いた黒いストッキングで、足をクイクイと動かす。

 「いいねー。あーしもやってあげるっしょ」

 手をワキワキさせるユイ。

 「では、微力ながらわたくしも」

 腕を組んで腰を回している。

 どうして庭を耕かすって方には向かないのだろうか。



 「くっふぅ……。ぐぁああっ……」

 腰痛い。腕痛い。肩痛い。汗止まらない。

 ほんの少しやっただけでご覧の有り様だよ。

 「がんばれー」「がんばれー」「がんばってください」

 ユイと星羅と静は縁側で声を掛けるだけだ。

 しかも寧々お手製の麦茶を飲みながら。解せない。


 「ご苦労様です」

 フェイスタオルを差し出す寧々。

 「ありがとう」

 「いえいえ。はい。麦茶です」

 「助かる」

 一息で飲む。火照った身体に心地いい。


 さて、続けるか。このまま休み切ってしまうと動けそうにないからな。

 これで結構痩せるんじゃなかろうか。

 そんなことを思いながら、鍬を振り落とすとガチッと何かに当たる音がした。

 「なんだ?」

 石だろうか? 或いは岩盤か。でもそんなに深く振り下ろしてないんだが……。


 「なんだこれ」

 「なんですかね、これ」

 あれからやたらと当たるので、スコップを使って掘っていく。中腰がきつい。

 そして出てきたのは青っぽい石と、緋っぽい石。それと半透明の石だ。他にも翡翠みたいな色とか紫とか様々な石が出てきた。

 しかも大量に。

 だが、どれも不揃いだが、丸い形をしていた。


 「綺麗だな」

 「そうですね」

 「捨てるのももったいないよな」

 「捨てるなんてとんでもない」

 トングサンダルを履いた星羅が慌てて駆け寄ってきた。


 「じゃあどうするんだよ」

 「んー。西側もそこそこ広いわよね」

 「あそこも広いな」

 広いというか、縦に長いんだよな。


 まぁ、こっちも日当たりもいいんだよな。

 「そっちに持ってって花壇にしたら?」

 「星羅がやるのか?」

 「なんで?」

 『なんで?』ときたか。まぁ、耕してたら虫とかミミズとか出るもんな。

 というかこれ、俺が運ぶのか?



 猫車で西側へ運んで置いておいた。

 今日一日でかなり痩せたんじゃないだろうか。

 なんとか植えられるくらい耕かした。あとは追加の土をまけばいいな。


 「光司、西側もお願い」

 「分かったよ」

 なんか今日、人使い荒くない?

 西側も耕かしたら、案の定いっぱい出てきた。

 この辺ってこんな石がいっぱい出る土地なんだろうか。


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