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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第二章

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番外編12 恋心はそっと隠して


 今日は入学式。

 あたし、喜築寧々は今入学式の会場で非常にドキドキしている。

 というのも、入学生代表のスピーチがあるからだ。

 正直、学長先生の長すぎる話も全然覚えてない。

 在校生代表として、この学園の生徒会長さんも長々と話していましたが、全く覚えてません。

 隣に座る唯は、目が死んでます。退屈そうですね。

 もう片方に座る星羅は、優雅に微笑んでますが、瞬きしてません。

 もしかして、寝てます?

 星羅の横に座る静をチラッと見る。

 あれは何かを採点してるのでしょうか?


 「では、続きまして、新入生代表スピーチに移ります。 喜築寧々さん壇上へ」

 「は、はい!」

 呼ばれて勢いよく立ち上がる。緊張して動けない。

 急に名前を呼ばれたものだからびっくりしてしまいました。

 「寧々頑張って」

 「寧々っちファイト!」

 「寧々さんなら大丈夫です。一発ぶちかましてきてください」

 「ぶちかますって……」

 でも、おかげで気持ちが楽になりました。

 階段を登って、スピーチの原稿を取り出す。

 「(すぅ……はぁ……)」

 よし。大丈夫。

 目の前には大勢の生徒さん達と保護者、先生方が座って、あたしを見上げていた。

 気圧されそうになるが、唯、星羅、静。そして光司さんの顔を思い出す。

 ……うん。大丈夫。


 「……私たちは今日、この学び舎の門をくぐりました。

 これからの三年間、私たちが向き合うのは教科書の中にある正解だけではありません。

 知ることとは、ただ情報を集めることではなく、その情報の先にある『心』に触れ、新しい世界を『築き』上げることです。

 時には自分を縛る古い殻を破り、見知らぬ誰かと手を取り合い、時には昨日までの自分とは違う『装い』で、新しい一歩を踏み出す勇気が必要になるでしょう。

 私たちは、一人ではありません。

 支えてくれる『家族』のような絆があり、導いてくれる『光』があります。

 その光に恥じぬよう、私たちはこの学び舎で、誰にも奪えない一生の知を、そしてかけがえのない友との時間を、 丁寧に積み上げていくことをここに誓います。

 令和◯年四月吉日

 入学生代表 喜築 寧々」


 ……ふぅ。上手く出来たでしょうか。

 そう一拍息を吐いて一歩下がると、全員が立ち上がって盛大な拍手を送ってくれた。

 あまりの出来事に目が回りそうになる。

 驚きと興奮が冷めぬまま階段を降り、席へ戻る。


 「寧々ったら大胆ね」

 「ふぇ?」

 一瞬何のことか分からなかった。

 「だってあれ、巧妙に隠してるけど、あれ告白でしょ?」

 「えっ!? そ、そんなつもりじゃ……!」

 「隠さなくてもいいのよ」

 「そうです。あのような方法わたくし達には思いつきませんでしたし」

 「そうそう。上手だったしね」

 「……でも、そうかもしれません」

 無意識にそうなってしまったのかもしれません。


 「これはもう完全に公開プロポーズっしょ」

 唯がニヤニヤしながら、そんなことを言う。

 「ふぇ!?」

 「わたしならもっと直接言うけどね?」

 「し、静さぁん……」

 「良いではないですか。寧々は少し躊躇ってますから、あのくらい問題ありません。わたくし達もグイグイいけるというものです」

 静の場合は、向きが違う気もするけど、素直に受け取っておきましょう。

 今は入学式の最中ですから。

 「それと、『誰にも奪えない一生の知』。ここだけ少し硬いですね。『誰にも奪えない学び』とか『一生の財産になる学び』の方が少し自然ですかね。まぁ、好みの問題ですね。私は今のままでも好きです」

 この人ホント素直じゃないですね。

 まぁ、そういうところが可愛くもありますが。

 「もういいじゃない。寧々のスピーチ完璧だったわよ」

 「わたくしは事実を述べただけです」

 「星羅と静はもっとイミフなこと入れまくってたじゃん」

 そうです。唯、もっと言ってやってください。

 「でも、寧々らしくてわたしは好きよ」

 「ええ。思わず拍手をせずにいられませんでした。はなまるをあげます」

 「はは……ありがとう……ございます……」

 そんな感じで入学式は終わり、その後のオリエンテーションも終わって自宅へ帰った。



 「コージ、寧々っちの告白どうだった?」

 「ちょ、唯さん!」

 家のリビングにてそう暴露されたのだがーー

 「……え? そうなのか?」

 「ほらね、寧々。光司はニブチンでしょー?」

 「な、何が?」

 「もっと直裁な言い方をした方がいいかもしれませんね」

 星羅と静が、光司さんを揶揄う。

 でも、いつか気づいてくれればいいかなって、あたしは思うの。

 だってその鈍さも愛おしいから。

 でも、唯のその過剰なスキンシップは見逃せません。

 「あ、そうだ。寧々何か欲しいものはないか?」

 「え?」

 「いや、スピーチ頑張ったから何かご褒美をって」

 欲しいものですか。そんなの決まってます。

 「では、頭ナデナデしてくれますか?」

 光司さんの横にピッタリくっついて座る。

 三人はそれぞれ違った反応をするけど、今日のあたしは頑張ったんです。

 これくらいのご褒美、バチは当たりませんよね。

 「そんなのでいいのか?」

 「ええ」

 これ以上は、二人っきりの時にしたいですからね。


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