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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第二章

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番外編7 いちご狩りに行こう⑤


 と、言うことで、本日のメインイベントいちご狩りだ。

 受付で簡単な説明を受けて中に入る。

 しかし、休日とあって人が多い。

 まぁ、目立つから流石に見失うなんてことはないけどな。


 ユイは俺の横から離れずに、無造作にいちごを取っていく。

 意識していないはずなのに、どれもこれも形、大きさ、色と芸術品のようだ。

 「んー! おいしー! コージ、これいくらでもいけるっしょ」

 「それは良かったな」

 「ん。 コージも食べてる?」

 「食べてるぞ」

 「そう? じゃあ、あーしがとびきりのアタリ見つけてあげるよ」

 アタリってどれもアタリだろうに。


 「ほら、あーん……」

 「ちょ、恥ずかしいって」

 「いいから食べるし」

 なんで急にオカンみたいになるんだよ。


 「分かったよ。あーん……。!? うまっ! え、なにこれ、うまっ!」

 ユイが選んだものは確かに一つ。いや二つくらいうまさが飛び抜けていた。

 甘さと酸味。瑞々しさ。そして歯ごたえと後味の余韻も完璧だ。

 どれも同じ見た目しているのに。不思議だ。


 ニカッと笑うユイ。

 「そうでしょー。にししっ」

 「あっ! 唯さん、あーんするなんてずるいです」

 「寧々っちもすればいいじゃん」

 「そうします!」

 向かい側にいた寧々が急いで俺の横に来た。


 ユイが譲るように、少しだけ離れる。

 「じゃあ光司さん……」

 「寧々っち待つっしょ」

 「なんですか?」

 「それはまだ早いっしょ。こっちの方が甘みと酸味がちょうどいい感じ?」

 「なんで疑問形なんですかー」

 そう言いつつ、ユイの示したいちごを選んだ寧々。


 「まぁ唯さんが言うなら間違いはないでしょうけど……。!?」

 ひょいっと取って食べる寧々。そして感激のあまり言葉を失っていた。

 そして、ユイの選んだものを寧々なりに分析したのだろう。

 いくつか選んで食べた後、頷き確信したのか、一つ丁寧に選んで手で添えながら俺の口元に運んだ。


 「光司さん。はい、あーん」

 「あ、あーん」

 確かにうまい。甘すぎて、このまま糖尿になりそうだ。空気まで甘酸っぱく感じる。

 だが、そんな空気に酔いしれているのか、次々といちごを差し出してくる寧々。


 「ちょ、寧々っち大胆……」

 「ふふ。光司さん。あたしの愛をもっと受け取ってくださいね」

 「お、おう……」

 まぁハート形してるしな。

 そんな空気をぶち壊すように、俺の口元にあったイチゴをひょいと取って口に入れた星羅。


 「あっ!」

 「ふふん。これは私のよ」

 「ちょっと星羅」

 「もう。甘すぎてここだけピンクになってるわよ」

 「別にいいじゃないですか。ねぇ唯さん」

 「はは……」

 流石に気圧されたユイ。


 そして、俺の頬にいちごを付けたのが星羅だ。

 「わたしのはこれよ。召し上がれ」

 もう結構お腹パンパンなんだよな。まぁ食べるけどさ。


 「ほら、口開けて……あーん」

 「あむっ」

 うん。これもうまい。どれもこれも一級品レベルの味だ。よく見つけてくるよホント。

 「わたしが選んだのが一番よね?」

 そう言われてみればそうかもしれないが、どれもうまくてなぁ。


 そんな様子を向かい側で静が黙々といちごを食べながら眺めていた。

 静はこういう時、妙に一歩引いてるんだよな。

 今も俺の両頬に寧々と星羅のいちごが押し付けられている。


 「すまん。ちょっと休憩」

 「「「えー」」」

 えー。じゃないよ。俺ばっかり食べてるじゃん。


 「いいから。俺に構ってて食べてないじゃないか」

 「そうですけど……」「そうだけど……」

 「ほら、折角だし、もっと楽しんでこい」

 「はい」「はーい」

 寧々と星羅は口を尖らせながらも、まだ満足してないのか颯爽といちご狩りに戻っていった。


 「ユイはいいのか?」

 「ん? あーしはコージの横に入れればいいかなー」

 そんなイチゴよりも甘い言葉言われたらなぁ。寧々と星羅が知ったら怒るぞ?


 「では、もう片方はわたくしが控えましょう」

 「静」「静っち」

 リスみたいな口して、どんだけ食ってんだよ。


 「わたくしは元はとりましたよ」

 「「えっ?」」

 「ということで、唯さんも、光司ももっと食べましょう。ほら、あーん」

 「いや、ちょ……」

 「そだね。ほらあーん」

 静とユイが俺にいちごを差し出してくる。


 「…………」

 ユイと静の手を取って、互いの口に運ばせた。

 「「!?」」

 流石にもう無理。俺も元とったんじゃないかな?

 三十くらいまでは覚えてるんだが、そこから先は分からない。


 「ほら、二人も好きなだけ楽しんでこいよ」

 「もうー」

 「十分楽しんでるんですが」

 静は絶対、俺の反応を見て楽しんでるだろうな。


 「まぁ、あーしもちょっと余裕出てきたし? 2ラウンド目行こうかな」

 「わたくしは暫く光司で反応を……」

 「静っちもいくっしょ」

 「あっ……」

 ユイが気を利かせてくれて助かったよ。一個も入らないからな。


 それにしてもよく食べるよ、ホント。

 そういえば、自分で取って食べたの一個も無かったな。


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