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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第二章

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番外編5 いちご狩りに行こう③


 羽生パーキングエリアを出る。

 少し走ると、利根川を越えるアイボリーの鉄橋が見えてきた。

 俺、この橋も苦手なんだよな。

 いつも渋滞してるか、事故ってるかしてるし、横風も強くて怖いんだよな。

 なんてことを考えていたら、いつの間にか通り過ぎていた。


 「ふぅ……」

 「なに、疲れたの?」

 「いや、苦手なポイントを抜けただけだよ」

 「ふーん」


 そう言っただけなのに、窓枠に肘を乗せて微笑む星羅。

 どうしてそんな大人のお姉さんみたいな空気を出せるんですかね?

 まぁ、こっちも緊張しなくて済むんだけどな。


 「わたしがいるんだから、トラブルなんて起きないわよ」

 トラブルメイカーが何か言ってるな。

 まぁ、気が紛れていいか。


 佐野藤岡ICを超えたあたりで、星羅がお願いしてきた。

 「光司。次のサービスエリア寄って」

 「今度こそトイレか?」

 「うーん。まぁ……そうね……」

 当たったのか? まぁさっき寄ってなかったしな。

 そんな時間も経っていないのに休憩二回目とは……。

 今回も星羅の言う通りにしたら、いい場所に停められた。まるで最初から空いていたみたいに。謎だ。


 ユイと星羅がトイレへと向かった。

 その後、意を決して寧々も後を行く。そんな迷うことないのに。

 「静は大丈夫なんか?」

 「ええ。わたくしは飲み物飲んでませんから」

 「そうか」

 暇なので、お土産コーナーを見る。


 「光司も買うじゃないですか」

 「いや、まぁ」

 だってこの桜あんぱん好きなんだから仕方ないだろ?


 静はというと、レモン牛乳を手に取った。

 「レモン……牛乳?」

 「色がレモン色なんだよ。まぁなんというかミルクセーキみたいな感じかな。レモンのようなレモンじゃないようなフレーバーがほんのりと……」

 「???」

 静にしては珍しい顔をしている。


 「関東と針谷の二種類があるけど、大体こっちの方がよく見かけるな」

 俺も久しぶりなので手に取る。こんなに値段高かったっけ?

 「では多めに買っておきましょう」

 まぁそう言うと思ったよ。イチゴ味も合わせてカゴに入れる静。

 何かを察知したのかコーヒーは手に取らなかった。

 まぁ、少し苦いしな。

 そういえば、ぶどうとかブルーベリーとかメロンとかあった気がするんだけど、今って置いてないのかな?


 というか、さらにお菓子とか、佐野ラーメンまで入れてくな……。

 今日だけでどんだけ買うつもりなんだ? 配る相手もまだいないだろうに。

 トイレから戻ってきたであろう三人もなぜかお土産を手に持っている。


 さて行こうかと思ったら、なぜか車に乗らない。

 「どうかしたか?」

 「いや、ここに来たらラーメン食べるんでしょ?」

 「そうそう。佐野に来たらラーメン常識っしょ」

 「別に下降りてって言ってないしね」

 「そうそう」

 ユイと星羅のコンビは欲望に忠実だなぁ。


 「光司、行きますよ」

 俺の腕を掴んで引っ張る静と背中を押す寧々。

 「分かった。分かったからそんな押すなって」

 「いいじゃないですかー」

 「まだ朝ごはん前ですからね」

 朝からラーメン……。まぁ、お店ももうやってるしな。


 ということで、ラーメンを食べることにした。

 「やだもう、光司ったら、そんな音立ててー」

 「ですが、日本ではこれが作法なのですよ」

 「そうだぞ。そんな外国人観光客みたいなこと言うなよ」

 「まぁ、郷に入っては郷に従えよね」

 なんだかんだ言いつつも豪快に啜る星羅。


 「静は啜るの下手ね」

 「わたくしは上品ですので」

 「別に一気にいかなくていいんだぞ」

 「いえ、星羅さんにだけは負けたくないので」

 その言葉にニマニマと勝ち誇った顔をする星羅。

 そんな静を見ながらゆっくりとメンマを咀嚼していた。


 「美味しいですね」

 「何杯でも行けそうだよね」

 寧々とユイは普通に啜って食べている。

 まぁ、実際そのくらい上手いしな。


 「コージこれ家で作って」

 「無理」

 「即答!?」

 だってラーメンを家で作るってなったら、金かかるし、佐野ラーメンの麺は青竹打ちだからなぁ。

 麺以外はなんとかなるけど。……あ、お土産で買ったなそういえば。

 まぁ、ユイが希望するのは一からってことなんだろうけどさ。


 「光司さん」

 「どうした寧々?」

 「あたしも手伝います」

 ふんす! と鼻息荒く両拳を握る。寧々のいつものポーズだ。かわいいなぁもう。


 「手伝うってこれを?」

 「ダメですか?」

 「いや、いいけど」

 「ふふ。約束です」

 「あ、ああ」

 多分、寧々なら再現できるんだろうな。


 「あ、あーしもやる」

 「わたしもやってあげなくもないわよ」

 「変なアレンジしなければな」

 「!? し、しないよー……」

 「し、しないわよ。失礼ね!」

 二人とも俺の目を見て言ってみろよ。


 「ほ、ほらなんだっけ青竹……青竹踏み?」

 「そんなマッサージみたいな名前だっけ?」

 「青竹打ちな」

 「知ってるわよ。 !!」「そ、そうだし!」

 その時、星羅が何か閃いたって顔している。

 「帰ったら光司の足を青竹のように踏んでマッサージしてあげるわ」

 「俺の足はラーメンじゃないぞ?」

 「いいじゃない。どうせパンパンになるんだし」

 星羅はごまかすように言いながら、器で顔を隠すようにスープを飲んだ。

 ユイは「たはは……」と苦笑いしているが、目だけは俺を見たままだ。何か考えてるな。


 そんな中静だけは、黙々と食べ、器を持ってスープまで飲み切った。

 そして、器を置いて、手の甲で大胆に口元を拭った。

 「味見は任せてください」

 「いや、そこは静も作るところだろう」

 「何言ってるんです? わたくしは確認し、良くなるようにアドバイスをする方が得意なんですよ?」

 紙ナプキンで口元を拭きながら言う。

 「まぁ、変なもん作られるよりはいいか」

 「ちょっ! そんなこと言うならわたくしも作りますよ」

 「いや無理しなくていいぞ。うん」


 そこで、器を置いた寧々。

 「我が家の料理番はあたしですから、変なことはさせませんよ。ねぇ静さん?」

 「は、はい」

 なんだ。何をやったんだ?

 この様子だと前科があるな。

 だがまぁ、それを突っ込むのも無粋か。


 食べ終わり、店を出る。

 「ねぇ、こっちも食べたくない?」

 「確かに」

 ユイの提案に星羅がのる。

 「確かに。じゃねーよ。いちご、食べられなくなるぞ?」

 「わわっ。それは困る」

 「だろ?」

 「ですが、女子の胃袋を舐めてはいけませんよ。別腹ですから」

 「そ、そうよね」

 静がアホなこと言って、星羅が納得しかけている。


 「いちご食べ放題だぞ? いっぱい食えないぞ?」

 「仕方ありません。行きましょう光司」

 キリッと表情を引き締める静と、軽く肘打ちする星羅。

 ユイと寧々は苦笑いだ。

 最後にさのまるの銅像の前で写真を撮って、サービスエリアを後にした。


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