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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第二章

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23 おかしい


 お風呂も歯磨きも終わり、おやすみ前の光司へのちゃちゃも済ませ、四人は寝室に集まっていた。


 それぞれの敷いた布団の上に座っている。

 静だけは両隣にカワウソとペンギンのぬいぐるみを置いていたが、寧々がカワウソを星羅がペンギンのぬいぐるみを勝手に抱きかかえていた。

 それを見て誇らしげに微笑む静。

 しかし、そんな中で一人興奮冷めやらぬのが唯だ。


 「ねぇおかしくない?」

 布団を思いっきりバンバンと叩く。

 「ちょ、落ち着いてください」

 寧々が落ち着かせようとカワウソのぬいぐるみを渡す。

 黙って受け取った唯は、抱きしめながら続ける。


 「だってさぁ、あーしらいっぱいいっぱい気持ち伝えたじゃん」

 「そうですね」「そうね」

 寧々と星羅が頷く。


 「でもさぁ、帰ってきてどう? 完っ全にパパじゃん! おとんじゃん!」

 「ええ。いろいろ誘導しすぎたのでしょうか」

 頬に手を当て困惑する静。


 「まさかの方向に突っ切ったわよね」

 ペンギンの頭をポスポスする星羅。すかさず取り返す静。


 「おかしい。おかしいよ」

 ドンとカワウソのぬいぐるみを立たせる唯。


 「でも、家族みたいでいいですけどね」

 「そうなんだけど、もっとこう…なんだろう。うまく言葉にできないけど」

 「分かります。でも……あれが、光司くんの答えなのかもしれません」

 ペンギンのぬいぐるみを慈しむように撫でる静。


 「もうあれは修正無理よ。やっぱりもっと強引に恋愛方面に持っていかないと」

 静の抱くペンギンを奪おうとするが躱される星羅。


 「コージは優しいから、引いちゃうんかなー」

 「かもしれませんね」

 「結局キス出来なかったしね」

 「あれは星羅さんの判断ミスです」

 カワウソのぬいぐるみと向き合うようにしてペンギンのぬいぐるみを置く静。


 「悪かったわよ」

 「あ……」

 星羅がそれをくっつけ、寧々が顔を朱らめた。


 「一番じゃなくていい。特別じゃなくていい。でも、ちゃんと見てほしい」

 唯が自分の方に二体のぬいぐるみを向けた。


 「分かります。でも、もしかしたらですけど、どこか信じきれてないのかもしれませんね」

 カワウソのぬいぐるみを取って抱き抱える寧々。


 「まぁ、実際現実離れしてるしね。そのうち追いつくわよ。問題はその後よね」

 ペンギンのぬいぐるみを掴んで静に渡す星羅。


 「そうですね。……この先のこと、……ちゃんと考えなければいけませんね」

 ペンギンのぬいぐるみを自分に向ける静。


 「では、光司くんには将来に不安がないよう、伝えないといけませんね」

 ペンギンのぬいぐるみをギュウっと抱きしめる静。


 「ちゃんと準備出来てるわよ」

 「あたしも問題ないです」

 「ねぇ、それでうまくいくの?」

 一人だけ懐疑的な唯。


 「きっかけにはなると思いますよ」

 唯にカワウソのぬいぐるみを渡す寧々。


 「あーしが言い出しっぺだけど、迷惑かけない?」

 「「「……」」」

 一瞬の静寂ののち、静が小さく「多分」と言って、ペンギンのぬいぐるみを渡した。


 「分かった。あーしも今の所それしか思いつかないし」

 四人の真ん中にぬいぐるみを置く唯。


 そして、手をサッと出すと、寧々、星羅、静と手を重ねた。

 「恩返しからの愛してるって言わせる作戦やるぞー」

 「「「おー」」」

 夜なので、声量は控えめだが、確固たる決意があった。


 「ところで、今日は寝るとこどうすんの?」

 唯が疑問に思って問う。

 「あー、今日はゲームしてないもんね。昨日と一緒でいいんじゃない?」

 星羅が何の気なしに言う。


 「抜け駆けしませんか?」

 静が感情のない声で問う。

 「無いわよ。ねぇ、寧々」

 「えっ!? あ、あー…はい」

 「じゃー、今日もコージのベッドで寝よっか静っち」

 「えっ!?」

 唯の問いかけに焦る静。


 「静っち、凄く抱き心地いいんだよ?」

 「だって、静。いいじゃない。光司のベッドで寝れてさー」

 「ま、まぁ、そうなんですけど……。あの、唯さん、今日はわたくしが抱く方でもいいですか?」

 「いいよー」

 ホッと胸を撫で下ろした静。


 「じゃあおいで子猫ちゃん」

 「にゃーん」

 「何やってんのよ」

 「あ、電気消しますよー」

 「「「はーい」」」

 こうして二日目が終了した。


 「ねぇ、静っちー」

 「なんですか?」

 「結構匂うね」

 「そ、それを言ったら唯さんも……」

 暗闇の中で、小さく笑い声が重なった。


 「美味しかったけど、毎日は流石に無理ね」

 「そうですねー。まぁいっぱい食べましたから、暫くはいいですかね」

 「でも、不思議とまた食べたくなるのよね」

 「分かります」

 「あ、あーしも思うー」

 「ちょっと唯さん。ゼロ距離でニンニク臭い息かけるのやめてください」

 「えー、でも静っちのが臭うよ?」

 「そうね。静いっぱい食べてたものね」

 「待ってください。星羅さんこそいっぱい食べていたではありませんか」

 「なにをー」

 そこで電気がついた。


 「もう一度議論する必要がありそうね」

 「ええ。どちらがより臭いか決めるべきですね」

 ベッドから降りた静と布団の上で仁王立ちする星羅。

 そんな二人を横目に唯と寧々はスマホを覗き込むようにして『匂い 消し方』と検索していた。

 

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