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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第二章

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22 餃子パーティ


 「うっま!」

 「うまうまー」

 「ちょっと静さん食べ過ぎです」

 「寧々さん。次も焼きますからお気になさらず」

 「それは俺のセリフだ」

 俺の口には殆ど入らないが、まぁ喜んでくれて何よりだ。


 「じゃあ次焼いてくるわ」

 「あ、光司さん。もう一回見てもいいですか?」

 「いいぞ」

 台所へ向かい、フライパンに油を引く。

 「これって米油の方がいいんですか?」

 「そうだな。まぁ理由はいろいろあるが、餃子にはこれがいいんだ。匂いや焼き目とかね」

 「間を離すのは?」

 「焼いてる時膨らむからね。くっつけて焼くと食べる時皮が破けるんだ。まぁギュウギュウにしなければそこまで酷くはならないけどな」

 ほんの少し隙間をあけて置いていく。

 そこに水をたっぷり回しかけていく。


 「お湯じゃないんですね」

 「お湯のがいいですよ」

 「え、じゃあなんで?」

 「だって、常に沸かしとかないといけないじゃないか。一応ぬるま湯だし、沸騰するから別に水でも構わない」

 いろんな方面から言われそうだが、水が無くなるまでやれば問題ない。どうせ蒸発するんだし。

 一瞬温度が下がってしまうだろうが、フライパンだってお店のように常に熱してないからな。

 あとは蓋をして放置。


 「寧々は食べてていいんだぞ?」

 「そうなんですけど、やっぱり覚えたいですし」

 「でも、食べ終わって待ちきれないみたいだぞ?」

 「え?」

 食べ終わったであろう三人がカウンターの前でまだかまだかと待っている。

 「ご飯も炊けば良かったな」


 音が油がはねる音に変わってきた。だが、まだこのままだ。

 早めに開けるとまだ焼き目が白いからな。

 「ねぇ、光司はビールとか飲みたくないの?」

 「めっちゃ飲みたい」

 「じゃあ……」

 「でも星羅も飲みたいとか言い出すだろ?」

 「そ、それはー」

 全く。誰に似たんだか。

 星羅が飲みたがるから、俺は飲まないんだ。お茶も美味いしな。


 蓋を開けると熱気がムワッと放出される。

 パチパチと焼ける音がする。

 ほんの少し、香りづけにごま油を垂らし、軽くフライパンを揺する。

 上に皿を乗っけて、手で持ってひっくり返す。

 少し油が残っている場合があるから、やる場所は考える。火傷しやすいしな。


 「ほいっ」

 「「「おお!」」」

 「本当にいい焼き色ですね」

 「だろ? ほーら、餃子焼けたぞー」

 「わーい。って何で子供扱いだし!」

 「いや待ちきれなさそうだったから」

 「だからって子供扱いはないわよね」

 「ええ。まったく」

 言葉の綾だよ。そんなに怒らなくてもいいだろうに。


 「そういえば、光司さんは変わった食べ方しますね」

 「ああこれか?」

 「はい。基本は醤油、酢、ラー油ですよね?」

 「まぁそうだな。俺の場合はそこに七味唐辛子や豆板醤なんか入れたりするけど」

 「辛そう。味なんか分からなそうね」

 「いや、分かるぞ」

 俺、辛いの好きだし。そもそもそのくらいは辛いうちに入らない。


 「でもそれはどうなのよ?」

 「業スーのごまドレッシングが合うんだよ。そこに麻辣湯用のラー油入れてもいいしな」

 まぁいろんな食べ方あるしいいじゃないだろうか。

 普通のタレ意外にも、酢と胡椒とかポン酢とか、あとは柚子胡椒つけるとかいろいろやってるみたいだし。好きに見つけたらいいんだよ。

 恐る恐るといった感じで俺の小皿につけて食べている。

 完全に疑っているな。でも合うだろ? それぞれ顔を見合わせている。

 「コージ、これ合うね」

 「だろ?」

 「悔しいけど認めてあげるわ」

 「別に無理しなくてもいいぞ」

 「む、無理してないわ」

 さて、そろそろ無くなる頃だな。焼いてくるか。

 今回は寧々と静が黙々と食べているからな。

 しかし、ペースが早い。熱くないのだろうか?

 いや、熱いんだな。ハフハフ言いながら箸を伸ばしている。

 そんな焦らなくてもまだたくさんあるんだから、無理すると口の中火傷するぞ?


 結局多めに作ったからか、五回も焼いてしまった。

 食べ終わって、満足そうにしている。

 「光司さん。これでお店やらないんですか?」

 「お店やるほどではないだろう?」

 「出来ますって! あたし手伝います」

 寧々が両こぶしを握って身を乗り出す。


 「あら、じゃあわたしはそこでコーヒー淹れようかしら」

 「あ、じゃああーしおにぎりやるー」

 「いいですね。では、わたくしはそこで猫カフェをやりましょう」

 「やらないぞ?」

 そもそもそんな異色なお店、保健所から怒られるだろう。やるつもりもないしな。


 「ほい、りんご」

 リンゴを剥いて出す。匂い消しにはリンゴがいいからな。それに部長から貰って余りまくってるんだ。

 「確かにりんごに含まれるリンゴポリフェノールがニンニクに含まれるアリシンと結合して匂いを軽減しますからね。キスの前には必要ですね」

 まだ覚えてたんだな。


 「でも、美味かったんだろ?」

 「「「「うん」」」」

 四人ともすぐに頷いた。

 「……じゃあ、キスはなしだろ」

 「星羅さん。どうして美味しかったらキスにしなかったんですか……」

 「わ、わたしのせいなの?」

 三人がゆっくりと頷いた。

 バカなことやってないでリンゴ食べとけ。後からくるぞ?


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