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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第二章

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19 ただいまとおかえり


 帰ってきた。途中までは良かった気がする。


 帰りにスーパーで必要なものだけ買おうとしたのに、次から次へとお菓子やらジュースやらを入れてくるもんだから、途中からカートにカゴを乗せる羽目になってしまった。


 主にユイと星羅の二人が原因なんだがな。

 寧々は俺の横で微笑んでるだけだし、静は毛だらけなので、外で待たせた。

 スーパーを出ると、静から非難の言葉を浴びせられた。

 仕方ないだろう。食品を扱う場所でその毛量は流石に見過ごせない。

 どこかのファッションショーならありえなくもないが、そんな服で歩いてる人なんていないだろ?

 一応ユイが機転を利かせて、買ったお菓子を見せたら黙った頷いた。


 「寧々は何も買わなくて良かったのか?」

 「はい。食べ過ぎると太ってしまいますし、虫歯になりたくありませんから」

 「偉いぞ」

 「えへへ」

 「え、でも動けばよくない?」

 「そうよね。毎日走れば維持できるでしょ?」

 ユイと星羅が運動すればオッケーみたいなノリで言う。

 「いや、あたし運動はちょっと……」

 俺も分かる。なんであんなシンドイ思いしないといけないのか。

 俺と寧々は同じ価値観を持つもの同士として、話が合いそうだ。

 静がどっち派なのかは、黙っているので分からないが恐らく後者だろう。


 マンションの部屋に入る前に静を手で制する。

 「む。どうして入れてくれないのですか。俺たちの家、でしょう?」

 小首を傾げてかわいく言うが、そのまま入れるわけにはいかない。

 買い物袋の中からコロコロを取り出す。


 「なっ! そんな……。光司は鬼ですか! 悪魔ですか! 折角の猫さんの毛を纏っているのに、それを取れと言うのですか!」

 「そうだよ。そんなもんつけて家に入れるわけにはいかないだろ。というか何をそこまで頑なになるかが分からないんだが……」

 一体どんなこだわりがあるのだろうか。

 まぁ、説明されたところで理解はできないがな。


 静が言い訳をする前に容赦なくコロコロで毛を取っていく。

 「あ…ああっ……」

 そんな声を出すな。

 「ちょ、そこは……どこを触っているんですか光司……」

 全身満遍なく毛だるまになりやがって。

 感情を無にしてコロコロと毛を取っていく。もういいかな?

 「おし。もうないかな? じゃあ入っていいぞ」

 「恨みますよ光司」

 そんなドスの利いた声で言われてもなぁ……。

 「なぁ静」

 「なんです?」

 「最低限のマナーは守ろうな?」

 「……善処します」

 それ絶対守らないやつ。


 まぁいいや。とりあえず中に入ると、寧々がトテトテと近寄ってきた。

 「おかえりなさい」

 「ただいま」

 「「…………」」

 俺より先に静が言う。

 「……ただいま」

 「はい。こういうのいいですね」

 「ああ」

 「わたくしのはスルーですか?」

 空気読んでくださいよ静さんや。


 「あっ! あーしも言う! コージおかえりー」

 「ああ。ただいま」

 「おかえり光司」

 「ただいま」

 ユイと星羅も顔を少し朱らめて言った。

 俺より先に入っただけなのにな。

 隣を見ると、なぜか静が頬を膨らませていた。

 変なことしてるからそうなるんだぞ?

 「光司、ただいま」

 「ああ、おかえり」

 何故か満足げな顔をする静。


 四人はそれぞれ買ってきたものをしまいに部屋へ戻っていった。

 俺も買ってきたもので、使わないものは冷蔵庫にしまっていく。

 俺も少し疲れたな。主に頭が。

 ソファに座ろうと思ったところで昨日の事を思い出し、テレビを台ごと移動する。

 これでゲームしやすくなっただろう。配線回りだけ整理して、と。


 「光司ー」

 「どうした星羅?」

 「これ、ちゃんと持ってなさいよ」

 そう言ってカエルのぬいぐるみを俺の顔面に押し付ける星羅。

 「もう少し丁寧に扱えよ」

 「あら、そんなにわたしのこと大事にしてくれるのね」

 調子狂うな。だが、まぁそうだな。


 「そうだよ」

 「あ…うん……」

 自分で言ったんだから、責任持って回収してくれよ。

 そんなやり取りをしていたら他の三人も部屋から出てきた。

 「まったく。お熱いことで」

 「いいじゃないですかー。ねぇ」

 「そーだよ。…じゃあさ、あーしらもやってもらおーよ」

 「あら、それはいいですね」

 俺は聞かなかったことにして台所へ向かった。


 「あ、コージ逃げんなし」

 「そうですよー。折角踏み込んでくれたじゃないですか」

 「ふむ。星羅だけが徳をしたわけですか……」

 毎日そんなことやってたら、俺が俺じゃなくなりそうだからな。そんな俺は見たくないだろ?

 でもまぁ、たまにならやってもいいだろうと勝手に結論付けた。

 

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