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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第4章

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23 明日もよろしくね


 「やっと完成したわね」

 「これをわたしたちが……」「凄い……綺麗……」「こんなところで告白されたら、頷いちゃうわね」「お茶会にも最適ですね」「花が喜んでるだす」


 みんなが思い思いに完成した庭園を眺めていく。

 まずは作った自分たちで、完成した庭園を堪能する。

 これ以上の贅沢があるだろうか。みんなそう感じていた。


 「修司もありがとね」

 「お、おう」

 地面で『へ』の形でうずくまる神崎先生。

 とうとう、限界が来たようだ。


 「あら、玲子ちゃん先生……」

 「なぬっ!」

 神崎先生は、その言葉で急に立った。


 「いないじゃないか」

 「でも、腰治ったでしょ?」

 「……まぁ……」

 そんなことを話していると、莉奈が星羅の袖を引っ張った。


 「今度はわたしたちの野菜、手伝ってくれるんでしょ?」

 「もちろんよ。ねぇ、先生?」

 「本物の農家の技術を教えてやろう」

 「うっ……」「うぅ……」

 ここで言う先生は、神崎先生ではなく、練馬で農家をやっている菊乃のことである。

 そして、その視線に莉奈と伊里愛がたじろんだ。


 「苗はうちで用意すっからなー」

 蘭子がニコニコしながら言った。


 「それは、そうと、そのお茶会ってわたしたちも参加できるの?」

 「そうね。してほしいんだけど……」

 今回は、自分を慕う人たちに報いたいと、星羅は考えていた。

 実際、こうして手伝ってくれた園芸部の仲間にも、報いたいのだが、少し毛色が違うのだ。


 そこで、星羅は考えた。

 こちら側の人間として参加してもらえればいいと。

 「星羅?」

 考え込んでいた星羅を伊里愛が覗き込んだ。


 「あ、ごめん。あの、さ……相談なんだけど」

 「なに?」「なんでしょう」「なあに?」「なにかしら?」「なんだす?」

 「メイド服って、好き?」

 その言葉に真っ先に頷いたのは志依莉だけだった。


 その後、星羅は家庭科室へと向かった。

 「待たせたわね、唯」

 「お、星羅、できたんだ」

 「もう、バッチリよ」

 「ふふ。そうなんだ。こっちも最終確認まで、済んでるよ。あとは、当日を待つのみだね……って、わっ!?」

 星羅が唯に抱きついた。


 「ちょ、ちょっとどうしたの」

 「ありがとう、唯」

 「ん。どういたしまして」

 そんな様子を尊いと言いながら、他の生徒たちが静かに眺めていた。


 「わたし、両方のファンクラブ入っててよかったー」「わたしも入ろうかしら」「あなた、片方しか入ってないの? 損よ」「わたし、ファンクラブの存在知らなかった。非公式の方しか」「それは聞き捨てならないわね」

 などと、小さく盛り上がっていた。


 そして、星羅と唯が、調理室へ行くと、いい匂いがした。

 「廊下まで香ってるねー」

 「完全にお店よね」

 そう言いながら開けると、香りはさらに強烈になった。


 「あ、星羅、唯さん」

 「寧々すごいわねこれ、いくつ焼いたの?」

 「多分、全部で千個はあるんじゃないですかね?」

 「多すぎよ」「焼きすぎっしょ」

 「あ、大丈夫ですよ。余ったらみんなで分けますから」

 チラッと周りを見ると、ここで作業していた生徒が、少しふくよかになっている気がした。


 最終確認はこれだけではない。

 既に、準備のできている静と早矢は、調理室の片隅で、優雅にお茶会をしていた。


 「あんたたちズルいわね」

 「味見をしていただけです」

 「予行演習をしていただけですよ」

 静は堂々としていたが、早矢は少し苦笑いをしていた。


 「早矢が買ってきたこの食器、ホントセンスがいいわよね」

 「ありがとうございます」

 ニッコリ笑顔で返した。

 当然、早矢も自信を持っていた。


 「で、静」

 「準備は出来ておりますよ」

 「え、もう?」

 「園芸部が撤収したタイミングで、設置しておきました。一応、テーブル、椅子、パラソルは確認しておいてくださいね」

 「気づかなかったわ」

 「全速力で行っちゃいましたからね」


 それを聞いて、少し恥ずかしそうにした星羅。

 そんな話を聞いて、調理室内は少しざわついた。

 あの星羅が走ったということに。

 いつも優雅に歩いているのにと、今回の星羅は本気であると、誰もが確信したのだった。


 そして、星羅は四人と、庭園へと戻った。

 「静、完璧じゃない」

 「当たり前です。星羅さんがちゃんとやっているのに、わたくしが些細なミスをするなどあってはなりませんからね」


 「相変わらず凄いわねアンタ」

 「まぁ、それはわたくしだけではありませんけどね」

 星羅は振り返る。唯、寧々、早矢も満足げに微笑んでいた。


 「みんな、ありがとうね」

 「それは、全部成功させてからにしましょう」

 「そ、そうね」

 早矢がそう言うと、星羅は目を瞬いた。

 そして、小さくニッと口角を上げると頷いた。


 「じゃあ、明日もよろしくね」

 「うっし」「はい」「ええ」「こちらこそ」

 星羅が手を出すと、四人もそこに手を置いた。

 そして、軽く下へ押して、星羅の掛け声とともに、宙へと手を上げた。


 「ところで、みんな執事服は好き?」

 星羅が、そう言うと、四人ともそれぞれ違った表情で頷いた。


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