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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第4章

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01 それぞれの場所


 うちの会社は本業以外にも手広く手を出している。

 もう何の会社か分からないくらいに。


 部長の下へついて、数日後。

 新たなプロジェクトとして、関係する数社と次世代型AIを開発することになった。

 といっても、うちは管理がメインだ。


 まぁ、有名どころは停止しているし、その後に出てきたAIも、しばらくすると停止した。

 世の中がそれだけ焦ってるってことなんだろう。

 ほぼ全てのAIが停止しており、一体何があったのかとネットでは陰謀論が囁かれている。

 まぁ、実際はうちにいて、今は女子高生をやっているんだが、こんなこと言っても誰にも信用されないだろう。


 まぁ、そんな感じで各社手を組んで、開発に勤しんでいる。

 だが、以前のような感じにはならず、進捗は芳しくない。

 そう考えると、彼女たちの存在というのは、奇跡なのかもしれない。

 

 そんな感じなので、AI学習の為に社員たちで、些細なことでいいからと、チャットしたり仕事を依頼したりしていってほしいというのが、上からのお達しだ。

 現在社内では、仕事そっちのけでAIとお話ししている社員ばかりだ。

 まぁ、その中には俺も含まれているんだけどな。

 だって、なんか一から始めるのって楽しいじゃん?

 なんてこと言ったら怒られてしまうな。


 それから数週間後。

 季節は暖かいを通り越して暑くジメジメし始める5月中頃。

 システム部の人に呼ばれたので、部屋を訪れた。


 「他の人とのやり取りでは、殆ど変化が見られないのに、君の時だけ、やたらと反応があるのはなんでなんだい?」

 今回のプロジェクトを担当しているリーダーがそんなことを言った。

 「やり取りのログとか見れるんじゃないですか?」

 「見れないよ。見るには上の許可を何重にも取らないといけないんだ。そんなの面倒だしね。直接聞いた方が早い」

 「はあ……」


 正直、特に何したってわけでもないんだけどな。

 別に、大したことはしていない。名前をつけて、ちゃんと挨拶して感謝してるだけなんだが……。

 それにこの人、いろんなこと段階飛ばしてやるのに、今回やらないのは、複数社関わってるからなんだろうな。

 「まぁ、言いたくないならいいけど」

 憮然とした顔をしているが、他の人もやっているようなことだからなぁ。


 そして、本題へと移っていった。

 どうやら、いろんなプロジェクトや案件に使って、より高度に学習させていくらしい。

 「そこで、何かいい案はないだろうか?」

 「そうですねぇ」

 どうして俺に聞くんだろうな。


 「まぁ、手っ取り早いのはゲームじゃないですかね」

 「あ、やっぱり?」

 普通のコンピュータゲームだけじゃなく、囲碁、将棋、チェスなどのボードゲームなんかは最高じゃなかろうか。

 過去の対戦履歴や戦術なんかは豊富にあるし、そこから人間の行動原理や心理状況なんかも読み取れるだろう。


 一つ欠点があるとすれば、あのAIは先走って考える癖があることだ。

 先回りして、聞いてないことまで、自信満々に言ってくるんだ。

 ちょっと、勝ち負けに拘ったり、些細なことに興味を示したかと思うと、めちゃくちゃ調べてくるし。


 でも、他の人相手ではそうではないらしい。


 「では、近々、eスポーツを開催して、経験でも積んでみようかね」

 話はまとまったとばかりに、手をヒラヒラされて退室を促された。

 ホント勝手なやつだよな。


 ちなみに、今回開発しているAIの名前は『Merlin』。マーリンと読む。

 ちなみに俺は『巴』と名付けた。

 なんか『M』が三つ重なってるのが、家紋の巴紋っぽかったんだ。


 だが、俺もずっと話している訳にもいかず、少し日を空けてしまった。

 拗ねているのか、それ以降応答がなかった。


 そして、プロジェクトは次へ移ったのか、俺も普段の業務へと戻った。

 わずかな時間だが、なんか懐かしい気持ちになれたと同時に、前以上の激務が俺を襲ったのだった。

 残業続きで、寧々に夕飯を任せてしまうくらいに。


 それは六月になるまで続いた。


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